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重い作品
油彩画は重ね塗りができるので、水彩画との違いやその長所を強調するのであれば、重厚に描くべきである。それだから油絵らしいと言えるのももとっもなことで、あえて薄く塗る場合は、細密描写をする場合に限る。不必要に厚塗りをした作品も考えものだが、薄く塗りすぎて、水彩画や印刷物のようになるのもどうかと思える。厚く塗る場合は、マチエルとしての効果を残す場合で、ごてごてしたペインティングナイフの跡や筆跡を残すのであれば地塗りも必要かも知れない。超現実主義やリアリズム系の作品は以外にキャンバスの編目が見えなくなるまで地塗りをしている作品が多い。
地塗りは必要か
久々に地塗りをしないで描いてみると、平面としての抵抗感は無いが、絵の具の発色が良い。描き方によっては地塗りをしないで描いても大丈夫なようだ。ただ作品をデジカメなどで撮影すると、色の微妙な調子の幅や油彩画独特の重厚さが出ない。調子良く描ければ複雑な色合いよりもイキイキした発色になることもある。やはり描き進み具合や場合によるのかも知れない。できるだけ描法は一定にすべきだが。
中国の油彩画
中国の西洋画家の画風を調べるために、インターネットで検索してみると、人文>絵画のカテゴリーで解りやすく表示されていた。しかし、何故か画像の降り方が大変遅い。日本国内の画像を見る時は早いのだが、中国のHP画像は遅いために10年前の速度にもどったような感じがする。兎に角、時間がかかるため、米国サイトを調べた方が良いかも知れない。
2mm厚ガラス板が割れる危険性
昨日、初めてガラスが割れていたという連絡を受けた。
P10号の作品である。絵の具が完全に乾いている状態なので、絵のほうに損傷はないが、割れることもあるのだという事を実感した。梱包方法に問題があるのではなく、トラックのスピードとショックによるものが多い。或いは荷済み方法で注意しなかったためかもしれない。ガラスが割れる危険性が客観的に2.1%になった。
絵の具の性質に頓着しなかった画家
佐伯祐三と三岸好太郎は絵の具の使用方法に無関心だった。描き進み具合が悪いと、ペインティングナイフで画面上の絵の具を混ぜ合わせたり、削ったりした画家だ。注意して見ると絵の具の亀裂や泣き(滲みや下地の浮き)がそちこちに見られるし、変色も激しい。
もし絵画の耐久性を考えるのであれば、油絵の具の性質を知っていて使用した方が良いのだが、芸術は塗り絵とは違うので感動を主体とするなら無頓着であっても良いのかも知れない。
しかし、私の経験からジンクホワイトは使い方が良くないと亀裂を生じさせるという事と、パーマネントホワイトは黄ばむ場合があるという事が30〜20年前に描いた自作を調べて解った。
パーマネントホワイトに関しては、変色度を調べるために、1年間も時々陽の当たる玄関口に飾っておいたが、退色や変色はしていず、黄ばむ原因が紫外線ではないという事が解った。
しかし、20年前にベニヤ板に実験的に塗ったパーマネントホワイトは、場所によって少し黄ばんでいる所もあった。平らにナイフで塗った後、油が表面に浮いて、その油が黄ばんでいる様子だった。それでパーマネントホワイトの使用方法にも注意が必要な事が解った。それらは、カタログや説明書などには無いので、無意識に気になっていた事である。
油彩画の黒と白
ピーチブラックやアイボリーブラックは1週間前後で乾くのではなく、厚みを付けると20日以上もかかる。厚さの度合いによってホワイト系の絵の具よりも乾きが遅いため、混ぜないで使用する場合は用心した方が良いかも知れない。冬場は1ヶ月もかかるので。
ファンデーションホワイト
ファンデーションは、仕上げ用には使用できない。黄変度がホワイト系で最大なため、その上から黄変度が最小のジンクホワイトを塗り重ねるしかない。しかし、ジンクホワイトは固着力が弱いために亀裂か剥離をきたすかも知れない。これはまだ試していない。ファンデーションの上からジンクを塗り、それがしっかりと定着するのであれば、最良の方法かも知れない。とにかく、黄ばみが最も少ないのがジンクホワイトなので、部分的に永続性のある純白を強調するならジンクホワイトを仕上げ用に使用するしかないようだ。
乾きの遅い絵の具
乾くまで一週間前後かかる絵の具にアイボリーブラック、ピーチブラック、ブライトレッド、バーミリオンヒュー、クリムソンレーキ、イエローオーカーなどがあるが、それらの絵の具は価格がAタイプなので頻繁に使用せざるを得ない。
2日で乾くのはビリジャンヒューなどである。地塗り用であれば使用したことのないファンデーションホワイトが速乾性、固着力と発色の点で最適かも知れない。明日から地塗り用にファンデーションホワイトを使用する事にした。
油絵の具の白
油彩画の白に何を使用しているか。20年以上前はジンクホワイト(亜鉛)が一般的だった。ジンクホワイトはポッピーオイルを混ぜないと固着力が比較的弱いので、亀裂が入ったり隔離する場合がある。乾くのに20℃前後の室内で1週間はかかる。最近のパーマネントワイト(チタニウム)やチタニウムホワイトは固着力が強いが乾くまで10日以上かかるので、シッカチーフ(速乾)剤を少量混ぜざるを得ない。シッカチーフは白を黄変させやすいので白い部分を描く時には注意が必要である。何も混ぜないのが一番よいのだが、何も混ぜないと完全に乾くまで20日かかる季節もある。早く乾き、黄変せず、固着力が強いホワイトは今の所無い。
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