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■油彩
Q1  クサカベの油絵具と他社の油絵具の違いはどこにあるのでしょう。
Q2  油絵具はなぜ高価格なのですか。絵具の値段は何によって決まるのですか。
Q3  油絵具の混色制限はあるのですか。
Q4  油絵具とアクリル絵具は混ぜて使ってもよいですか。両者を併用するとき、何に注意したらよいでしょう。
Q5  ジェッソは油彩の下地に使ってもだいじょうぶですか。
Q6  いちど描いた油彩の画面をジェッソで塗りつぶして下地をつくってもだいじょうぶですか。
Q7  油絵具は色によって乾燥に早い遅いがあるようですが、どうしてですか。
Q8  油絵具を早く乾かす方法を教えてください。ドライヤーの風をあてると、早く乾きますか。逆に乾燥を遅くする方法はありますか。
Q9  クサカベの「超速乾メディウム」は他社の速乾メディウムと併用できますか。
Q10  油絵具をしばらくぶりに使おうとしたらキャップが固まっていました。どうにかなりませんか。
Q11  白には何種類かありますが、いちばん白いホワイトはどれですか。
Q12  油彩につかわれる各種のホワイトの使い分けを教えてください。
Q13  油絵具のジンクホワイトが乾燥したあと、上から加筆しようと思ったら絵具がすべったようになってうまく乗ってくれません。どうしてでしょうか。
Q14  油絵具各種の黒の使い分けを教えてください。
Q15  ピグメントで油絵具を自作したいと思います。ピグメントに対して、どのくらいの量の油を加えたらよいでしょう。
Q16  パレットや筆についた油絵具が固まってしまいました。もとどおりになりませんか。
Q17  油絵具に使用期限はありますか。

Q1: クサカベの油絵具と他社の油絵具の違いはどこにあるのでしょう。
A: 油絵具の構造はもともとシンプルです。そして作家それぞれの技法に適応できるためには、絵具を使うのにわざわざ取扱説明書を読まなくてもよいような、各社共通したスタンダードな使い方ができなければいけません。

しかし、50年前のクサカベ油絵具と、現在のクサカベ油絵具は同じものではありません。新しいすぐれた性能をもつ顔料が開発されると、使用顔料を新しく置き換えてきましたし、時代の要求が、早く乾燥をする絵具を望むことにより、今のクサカベ油絵具は昔より、しっかりと早く乾くようになっています。有害性のつよい絵具のかわりに、環境に配慮した絵具の開発もおこなってきました。

クサカベには三つの油絵具ブランドがあります。やや練り調子が硬くて現代美術表現が要求するパフォーマンスをそなえたクサカベブランド、やわらかく濃厚な調子で古典的表現にマッチしたミノーブランド、極限までに顔料濃度を高めたハイエンドに位置するギルドシリーズです。奥深い色調で構成された、三つのブランドにより、幅広い作家の表現指向と好みに対応できるのです。
 
違いを求めるよりも、絵具の理想を求める真剣な姿勢からつくられる油絵具は、おのずと使う側にとっての、品質の違いとして感じられるでしょう。
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Q2: 油絵具はなぜ高価格なのですか。絵具の値段は何によって決まるのですか。
A: 家庭用塗料や学童用水彩絵具にくらべて、油絵具はたしかにいくらか高価です。そのひとつの理由は、高価な原料を高濃度で使うことにあります。これは、発色を最良の状態に引き出すためです。また、油絵具に使われる顔料は、学童用絵具に使われているものの数倍の値段がするものを使っている場合もあります。そうした顔料を混ざりものの少ない状態で作れば、絵具も高価になるはずです。

 もうひとつの理由は、油絵具の製造費です。ご存知のように油絵具はたくさんの色数があり、少量多品種の生産になってしまうのです。一度にたくさん製造できる学童用絵具とちがって、どうしても製造コストが高くついてしまいます。
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Q3: 油絵具の混色制限はあるのですか。
A: 混色制限とは、顔料の成分同士が化学反応をおこして変色するために、混ぜることをタブーとしたものです。ところが、これらの絵具の混合実験をしてみると、実際には変色はおこらないのです。現代のよく精製された顔料は、そんなに簡単に反応するほど不安定ではありません。

クサカベでは、ウルトラマリン(遊離硫黄という反応しやすい物質を含むおそれがある)と含鉛顔料を使ったシルバーホワイトやファンデーションホワイトの混色制限を、チューブに記号で表示していますが、これも実験の結果、変色するのを観察していません。昔の顔料は、不安定な物質を含んでいたため、変色することもあったのでしょうが、現代ではその心配はほとんどないようです。混色は自由におこなってよいでしょう。
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Q4: 油絵具とアクリル絵具は混ぜて使ってもよいですか。両者を併用するとき、何に注意したらよいでしょう。
A: 油絵具は油性でアクリル絵具は水性ですから、両者を混ぜようとしても混ざってくれません。画廊でみかけた絵が、油絵具とアクリル絵具の併用で描かれているように記されていたので、両者が混ぜられるように思われたのですか。

併用と混合はちがいます。乾いたアクリル絵具の上に油絵具を描き重ねることはできますが、油絵具の上にアクリル絵具は重ねられません。この原則を守った技法が、油とアクリルの併用技法です。このとき、油絵用の画用液は油絵具専用にアクリル用メディウムはアクリル専用に、というように媒材の使用も水と油をきっちり使い分けなければいけません。
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Q5: ジェッソは油彩の下地に使ってもだいじょうぶですか。
A: アクリル樹脂塗膜を油彩の下地にすることには、かねてから、慎重な意見があります。いっぽうで市販のキャンバスに塗られる下地塗料のかなりの部分がアクリル系である今日、意識してジェッソを塗らなくても、自然にアクリル下地を実行することが多くなっています。

 ジェッソを油彩の下地にする場合、守っていただきたいことがあります。それは、ジェッソを塗ってから、油彩で描きだすまでに、72時間以上間をあけて養生させることです。水分が抜ける前に油絵具を重ねると、あとから蒸発してくる水分が、油絵具の層を押し上げて、層の剥離をまねくおそれがあります。
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Q6: いちど描いた油彩の画面をジェッソで塗りつぶして下地をつくってもだいじょうぶですか。
A: 油の上に水は塗り重ねられない、という原則からははずれることになり、本来、決してすすめられることではありません。
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Q7: 油絵具は色によって乾燥に早い遅いがあるようですが、どうしてですか。
A: 顔料の種類によって、油の乾燥を早めるものや遅らせるもの、影響をあたえないものがあるためです。

色ごとに乾燥する早さの違いがありすぎると使いにくいというわけで、絵具メーカーは、乾燥の遅いものに乾燥促進剤を加えて、乾燥スピードがなるべく一様になるように調整していますが、完全に調整しきれない部分が乾燥スピードの差として感じられます。

また、乾燥促進剤による修正は各メーカー同じではないので、絵具の乾燥速度はメーカーごとに若干異なります。
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Q8: 油絵具を早く乾かす方法を教えてください。ドライヤーの風をあてると、早く乾きますか。逆に乾燥を遅くする方法はありますか。
A: 油絵具の乾燥は、水彩のように水分が蒸発することで乾くのとは違い、酸素との化学反応によるものですから、ドライヤーの風をあてても効果はありません。乾燥促進剤である「シッカチーフ」を使うか、速乾性効果のある溶き油かメディウムを使うかのどちらかになります。

 乾燥を遅くするほうですが、乾燥促進剤のはいっていない溶き油を自作して使うくらいしか方法はありません。樹脂では「ベネチアテレピン」が乾燥の遅いものとして利用できます。この樹脂単独では使えませんから、かならずポピーオイル、テレピンなどとミックスして使います。ミックスする割合がわからない場合は、「グレージングバニス」が調合済み溶き油としては、最も乾燥の遅い溶き油なので、これを使ってください。
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Q9: クサカベの「超速乾メディウム」は他社の速乾メディウムと併用できますか。
A: メディウムの構成要素は、「樹脂」「溶剤(これを含まないものもある)」「乾燥促進剤」「増粘剤」です。各社、これらの要素の種類と量がそれぞれちがいます。

それぞれを任意に混合すると、その配合バランスがくずれて、しわの発生など思わぬトラブルを招くことがありますので、メディウムは単独で用いるほうがよいでしょう。メディウムに他の画用液を加える場合も、テレピンのような揮発油でうすめるくらいにして、なるべく他の油は混ぜないようにします。
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Q10: 油絵具をしばらくぶりに使おうとしたらキャップが固まっていました。どうにかなりませんか。
A: 以前は開きにくいキャップは、ライターの火などであぶればよい、といわれてきましたが、それはキャップが金属でできている場合に限ります。今は、プラスチック製のキャップが主流なので、火であぶると、キャップが溶けてしまいます。「プライヤー」というペンチに似た工具がありますから、これを使ってあけてください。チューブの肩の部分をしっくりつまんで、キャップをプライヤーではさんでゆっくり回してあけます。

 あかなくなった時の対処よりも、事前の対策のほうがたいせつです。絵具をしまうときには、チューブの口から絵具がはみださないように、ネジ口部分をきれいにしてから、しっかりとキャップをしめましょう。絵具は接着剤と同じようなものなのです。
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Q11: 白には何種類かありますが、いちばん白いホワイトはどれですか。
A: よく、雪景色に適したホワイトはどれですか、とかたずねられますが、特にそのように作られているホワイトがあるわけではありません。

 光学的にはチタニウムホワイトがいちばん白いのですが、人間の目には、いくぶん青味がかっていたほうが白さを感じます。そうなるとジンクホワイトのほうが見た目には白く感じるということになります。画面上の色の対比とか調子といった表現技法が白を演出するのだと思います。
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Q12: 油彩につかわれる各種のホワイトの使い分けを教えてください
A: 使い分けというよりも、どれを選択するかになると思います。現在絵具に使われるホワイトの顔料の種類は、鉛白(シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ジンクホワイト)、酸化チタン(チタニウムホワイト)といったところです。日本画では胡粉のようなものも含まれますが、洋画では主にこの四種類が比較されます。
 
 鉛白は古くからある白色顔料で、どの時代においても重要視されてきたホワイトです。とくに時間とともに形成される堅牢な塗膜は、他の白色顔料にはない特質です。画家がこの顔料に対してはらうべき健康上の注意としては、反復的に顔料を吸い込まないようにする程度の若干の配慮ですみます。バーミリオンやカドミウム顔料のような含硫黄顔料との混色で黒ずむといわれますが、現代の精製度の高い顔料においては、その心配がありません。

 酸化亜鉛は冷たい印象のホワイトで隠蔽力があまりなく、混色の際ににごりが少ないので扱いやすいせいか、わが国では人気があります。このホワイトの欠点は塗膜が弱いことです。乾燥過程で油と反応して、しばしば亀裂や剥落をひきおこします。このホワイトを下地に使うことはさけるべきです。いっぽう、酸化亜鉛は油が乾く際にできる有色物質を中和するはたらきがあるため、白さを保つホワイトになります。

 酸化チタンはこれといった欠点をもたないホワイトで、工業的にはもっとも需要のある白色顔料です。絵具としては着色力と隠蔽力がたいへん大きく、混色するとややにごりやすいために、扱いにくいとされるきらいがあります。

 なお、パーマネントホワイトというのは酸化チタンに体質顔料を加えて、着色力と隠ぺい力をやわらげたものです。初心者用セットに組み込まれていて一般化するようになりましたが、黄化の程度はチタニウムホワイトよりやや強くなります。
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Q13: 油絵具のジンクホワイトが乾燥したあと、上から加筆しようと思ったら絵具がすべったようになってうまく乗ってくれません。どうしてでしょうか。
A: ジンクホワイト特有の欠点です。こちらでも述べましたが、酸化亜鉛は油と反応し、乾燥後は他の物質の接着をうけいれないような性質をもっています。すべるのを無視して絵具を乗せても、絵具の剥落を招いてしまいます。このような性質のために、ジンクホワイトは塗り重ね最上層に限ってつかわれるべき、との指摘がされるわけです。ジンクホワイトを使って、剥落をふせぐには亜鉛石鹸が生成する前、つまり生乾きのときに塗り重ねる方法もありますが、亀裂のリスクが消えたわけではありません。

 ジンクホワイトを使わなくても乾性油を使いすぎた場合、乾燥後、絵具をはじきます。これは乾いた後の油の分子構造が「ロウ」そっくりなものになるためです。この場合は「ルツーセ」を使って乾いた絵具の表面を活性化することがありますが、溶き油としての乾性油は使いすぎないようにすべきです。
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Q14: 油絵具各種の黒の使い分けを教えてください。
A: 黒にはアイボリーブラックランプブラックピーチブラックマルスブラックがあります。

 アイボリーブラックはポピュラーな黒色絵具で、顔料は動物の骨を焼いて作られるところからボーンブラックと呼ばれます。元来は象牙を焼いていたものですが、現在は牛骨が使われます。温かみのある黒で、着色力、隠ぺい力はあまりありません。単独の塗りはきれいですが、混色ではややにぶいグレートーンになります。乾燥が遅い、亀裂が入りやすい、カビのはえやすいなどの傾向があります。

 ランプブラックは昔、ランプから採取したススだったので、この名があります。絵具メーカーによってその性質は若干異なりますが、おおむね着色力の強い黒です。アイボリーブラックよりも混色に適していて、もっと使われてよい黒だと思います。

 ピーチブラックまたはバインブラックは元来、植物炭の黒だったのですが、現在では原料の供給と分散の困難なことから、一部の海外メーカーから販売されているだけです。かわりに別の顔料による代替物が、この名で流通しています。クサカベでは、油絵具のピーチブラックはカーボンブラックとプルシャンブルーの混合色で、顔料単体で販売しているものは銅とクロムの複合酸化物です。他にアニリンブラックなどが使われる場合もあります。いずれも青味のある黒で、白と混合すると冷たい透明感のあるグレーをつくります。

 マルスブラックは黒色の酸化鉄で、乾燥性のよい絵具となります。白との混色では物質感のあるグレーをつくります。この顔料は磁気テープによく使われました。
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Q15: ピグメントで油絵具を自作したいと思います。ピグメントに対して、どのくらいの量の油を加えたらよいでしょう。
A: ピグメント、つまり顔料がどのくらいの油を必要としているかは、顔料によってさまざまなので、一定の量を決めることはできません。顔料ごとに、加える油の量を感覚で測りながら練っていくことになります。

顔料に少しずつ油を滴下したら、ナイフでていねいに混ぜながら、好みの硬さまで持っていきます。あせって一度にたくさんの油を加えたり、混ぜかたが雑だったりすると、油が過剰にはいってしまうので、最初は慎重に作業してください。慣れてコツをつかむと、以外にかんたんです。
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Q16: パレットや筆についた油絵具が固まってしまいました。もとどおりになりませんか。
A: これももとどおりにすることはできません。油絵具の硬化は一方通行です。絵具はあきらめなければいけません。道具のほうですが、リムーバーKのような剥離剤で、絵具自体ははがせます。しかしパレットの塗装もはがれ、このまま使うと、絵具の油分を必要以上に吸い取ってしまいます。リンシードオイルで拭きこむとパレットの機能は回復しますが、たいへん時間がかかります。筆も、絵具が固まった時点で傷んでしまっています。

 筆やパレットを気持ちよく使うには、描き疲れていても毎日の掃除と手入れを欠かさないということ以外にないのです。できれば、パレットに残った絵具はきれいに掻きとり、ブラッシクリーナーをふくませた布で拭きこんでおきたいものです。
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Q17: 油絵具に使用期限はありますか。
A: 食品のような一定の使用期限はありません。保管条件さえよければ、30年くらいは使えます。一方、条件が悪ければ早いうちに固まって使えなくなってしまいます。保管の条件とは絵具を空気から隔絶することです。開封後の品質は個人の責任において管理してください。
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