匠の遺志継ぐ極太九条ねぎ商品化 京都の高校生、さらなる挑戦
桂高(京都市西京区)の生徒が、亡くなった地元農家から受け継いだ極太九条ねぎの商品化に取り組んでいる。太さは通常の九条ねぎのおよそ2倍で、「ねぎあん」と呼ばれる粘液が多く、甘みが強いのが特徴だ。今月は実際にねぎの食感を生かした麺製品が発売された。多くの人においしさを伝えようと、今後もさらなる展開を目指す。
極太の九条ねぎは京都府の「農の匠(たくみ)」に認定された南区の農業今井博敏さん=故人、享年78歳=が栽培していた。府農林センター(亀岡市)によると、現在は流通が少なくなった黒種系の品種で、他農家の九条ねぎに比べても太さや柔らかさが際立っていたという。今井さんが2012年に亡くなった後、同高の松田俊彦教諭が遺族から種子を譲り受け、大学のゼミ形式で農業技術を学ぶ「京の伝統野菜を守る研究班」の生徒たちと育て始めた。
栽培は予想以上に手間がかかった。白い根元が日光に当たると変色するため頻繁に土を盛って覆い隠さなくてはならない。養分を全体に行き渡らせるよう、一度掘り出して干し、再び植える作業も必要だった。
14年秋に初めて収穫。桂うりの商品化に協力してもらった京都高島屋(下京区)のバイヤーに売り込んだ。早速、京都のフランス料理店へ提供され、同店地階で販売するフレンチ風弁当の具材に採用された。
第2弾は食品会社「冨美家」(中京区)が開発した調理用うどん。極太九条ねぎと鶏肉を一緒に焼き、うどんに乗せて味わう商品で、19日まで京都高島屋地階と洛西高島屋(西京区)で販売している。担当者は「食感が柔らかく、だしと合わせることで甘さが際立つ。とろりとしたねぎあんがまた良い」と絶賛する。
2年土田歩さん(17)は「世界中の人にこのおいしさを伝えたい」とさらなる商品化を目標に掲げる。1年橋本美月さん(16)も「今井さんの志を継ぎ、極太九条ねぎのいいところを引き出す」と意欲を燃やしている。
【 2016年01月13日 21時30分 】