「水爆」実験:日本が韓国に銃を向けるケースとは

インタビュー:ペニンシュラ・モニター・グループ代表ロー・ダニエル氏

「水爆」実験:日本が韓国に銃を向けるケースとは

 安倍晋三首相が「独自の北朝鮮制裁」を検討している。北朝鮮向け送金の原則的・全面的禁止がその中心だ。ペニンシュラ・モニター・グループ代表のロー・ダニエル氏(62)=写真=は「中国から入ってくる資金は北朝鮮全体に行き渡るが、朝鮮総連経由で入ってくる日本円は金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党第1書記の懐にそのまま入る。北朝鮮の政権にとって、きつい衝撃になるだろう」と語った。韓国人の同氏は香港科技大学教授、一橋大学研究員などを経て、現在は東京で国際政治リスクコンサルティング会社を運営している政治経済学者だ。

-日本の制裁はどのような効果があるか。

 「規模からすると、言うまでもなく中国の方が大きい。中国が北朝鮮を封鎖したら『酸素供給の停止』だ。しかし中国が実際にそうする可能性は低い。日本の制裁は、規模は小さいものの金正恩第1書記を直撃する。60代後半の黄炳瑞(ファン・ビョンソ)人民軍総政治局長が30代前半の金正恩第1書記の前で震えている理由は『恐怖とカネ』だ。日本から入ってくる資金は、金氏一族が最も容易に引き出して使える統治資金。賄賂の分配に問題が生じたら、忠誠心が揺らぎかねない」

-韓日安全保障協力の危険性は。

 「北朝鮮の挑発抑止という点だけを見ると、韓日安全保障協力の拡大は利益だ。しかしこれは、既に深刻化している韓国内部の分裂をさらにあおりかねない。日本に関するかぎり、韓国社会はまだ感情の整理がついていない。一部には、両国の国交を正常化した1965年体制すら否定しようとする動きも見られる。こうした雰囲気の中で韓日安全保障協力は、『利益なのか損なのか』と冷静に問うよりも、まずは取りあえず反対することから入るべきもののように見えるだろう」

 「日本が改憲して『普通の国』になることは(是非はさておき)引き戻し難い流れだ。だからといって、日本が韓半島(朝鮮半島)を攻撃する可能性は低い。日本が韓国に銃を向けるケースは二つ。韓半島に韓国とは全く異なる統一国家が誕生し、日本と衝突する場合と、南北がどちらも親中国家と化して日本が孤立する場合だ」

-韓国が留意すべき点は。

 「スウェーデンは地政学的に不安定だが、中立を守って繁栄してきた。冷戦時代、西側・ロシアどちらとも距離を置く合理的な計算をしていたからだ。北朝鮮の場合も、見た目は『中国と北朝鮮は唇歯(互いに利害関係が密接であること)』だが、金日成(キム・イルソン)主席は死の間際、金正日(キム・ジョンイル)総書記に『中国を信じるな』と言った。旧韓末に韓民族が直面した選択と、似た状況にある。経済は困難で、北朝鮮の核問題は解決せず、米国の力は落ちているのに、日本は徐々に声を強めてきている。韓国人は、それに反発してますます親中に傾く公算が大きい。国民を統合できる指導者を切に必要としている」

東京=金秀恵(キム・スヘ)特派員
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 「水爆」実験:日本が韓国に銃を向けるケースとは

right

関連ニュース