［社説］米国の世界戦略、北朝鮮核の解決を最優先にする時だ . JANUARY 13, 2016 07:39. . 米下院が、北朝鮮の４度目の核実験を受け、１３日に対北朝鮮制裁実施強化法案（Ｈ.Ｒ.７５７）を通過させる予定だ。共和・民主両党が超党派で発議した同法案は、北朝鮮への現金流入を阻止することが核心だ。北朝鮮の核とミサイル、兵器開発と取り引き、奢侈品の調達、マネーロンダリング、人権蹂躙などに関与した個人や企業を米大統領が指定して制裁できるよう対北朝鮮金融制裁を大幅に強化する内容を含んでいる。特に、北朝鮮と取り引きする第３国の政府や企業、個人にも米政府が制裁を加えられるよう「セカンダリー・ボイコット（secondary boycott）」を適用する可能性も開かれている。対イラン制裁よりも強制性は低いが、米国が対北朝鮮制裁の穴である中国との不法取り引きを事実上統制することで、北朝鮮の金脈を絶つことができる。

北朝鮮が４度目の核実験を実施して７日後に対北朝鮮制裁実施強化法案を通過させる米国の迅速な対応は驚くべきだ。北朝鮮の核を頭上に載せて暮らす韓国の国会は、第１７代で初めて発議された北朝鮮人権法がそのままで、いつ可決されるか分からない。対北朝鮮制裁実施強化法案は、中国が対北朝鮮制裁に線を引いた現在の状況では、北朝鮮を圧迫する有効な手段だ。

韓国は、米国の対北朝鮮制裁実施強化法案の通過が２００５年のバンコ・デルタ・アジア（ＢＤＡ）制裁の時のように実効性のある結果につながることを期待する。米財務省は、ＢＤＡを「マネーロンダリング金融機関」に指定し、同行にあった北朝鮮の統治資金２５００万ドルを凍結した。６者協議の北朝鮮側首席代表だった金桂寛（キム・ゲグァン）第１外務次官は、「金融は血と同じだ。金融が止まれば心臓が止まる」と凍結解除を訴えた。北朝鮮が２００７年に段階的に非核化を含む２.１３合意に同意したのも、ＢＤＡ制裁がそれだけ効果があったからだ。

しかし、ＢＤＡ制裁も２００７年４月に解除された。米国の世界戦略で、北朝鮮核はイランやシリア問題に比べて優先順位で後ろにあるのが事実だ。昨年１０月の韓米首脳会談で、両国は「北朝鮮核問題を最高の緊急性と確固たる意志を持って扱うことで合意」したが、４度目の核実験が起こるまで、事実上、何の手も下さなかった。

法案発議者の１人であるエド・ロイス下院外交委院長は１２日、東亜（トンア）日報とのインタビューで、「北朝鮮の核が米国を狙っていることが明確となった」と述べた。４度目の核実験後、北朝鮮核問題を見る米国の朝野の見解が変わりつつある。当然に変わらなければならない。北朝鮮が核実験直前に潜水艦発射弾道ミサイル（ＳＬＢＭ）の発射実験をし、「小型化した水爆」であることを強調した理由は自明だ。核弾頭の先は米本土に向かっている。

１３日午前１０時３０分に行われる朴槿恵（パク・クンヘ）大統領の国民への談話と記者会見の３０分後に、米国のオバマ大統領が最後の国政演説をする。北朝鮮は、オバマ大統領の任期中に３度の核実験と３度の長距離ミサイル発射を強行した。オバマ政府が北朝鮮核の対応戦略として出した「戦略的忍耐」は、事実上、失敗と判明した。オバマ大統領は、残る任期に全方位的な圧迫で、北朝鮮核問題の解決に実質的な成果を上げなければならない。