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オバマ大統領 任期最後の一般教書演説
1月13日 12時51分

オバマ大統領 任期最後の一般教書演説
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アメリカのオバマ大統領は、日本時間の13日午前11時すぎから、任期最後の施政方針を示す一般教書演説を行い、深刻な不況を克服したことなど、過去7年間の成果を強調するとともに、過激派組織IS=イスラミックステートなどによるテロへの対策に全力を尽くす決意を示しました。
一般教書演説は、大統領が今後1年間のアメリカの内政・外交の施政方針を示すもので、任期あと1年となったオバマ大統領にとって最後となります。オバマ大統領は12日夜(日本時間の13日午前11時すぎ)、アメリカ議会の本会議場で上下両院の議員などを前に一般教書演説を行いました。
この中で、オバマ大統領は、まず「この7年間の進展を可能にしたのはわれわれの勇気だ。それによって、深刻な不況を克服した」と述べました。そして、雇用の改善や医療保険制度改革、それに地球温暖化対策を巡る国際的な合意など、大統領就任以降の成果を強調しました。また、「第1の優先課題は、アメリカの国民を守り、テロリストのネットワークを追い詰めることだ。アルカイダとISはわれわれの直接の脅威だ」と述べ、先月、カリフォルニア州でテロ事件が発生し国民の間にテロへの不安が広がるなか、対策に全力を尽くす考えを強調しました。
さらに、アジア重視政策を掲げるオバマ大統領は、去年10月に大筋合意したTPP=環太平洋パートナーシップ協定の発効に向けて、議会に対し早期に合意内容を承認するよう求めましたが、北朝鮮による核実験や中国の海洋進出の問題については言及しませんでした。

党派対立乗り越え結束して前進を

一般教書演説でオバマ大統領は、「この7年間の進展を可能にしたのはわれわれの勇気だ。われわれがともに行った選択の結果だ」と述べ、事実上の国民皆保険を目指した医療保険制度改革の実現など、大統領就任以降の成果を強調しました。そして、「まだやらなければならない仕事を前進させるため、私は働きかけを続ける」と述べて、銃による犯罪から子どもたちを守ることを挙げ、銃規制の強化に取り組んでいく考えを強調しました。
また、オバマ大統領は、ことし11月に行われる大統領選挙に向けて、野党・共和党で支持率がトップのトランプ氏がメキシコからの移民やイスラム教徒に対する過激な発言を繰り返していることを念頭に、「われわれは人種や宗教で人々を標的にする政治を拒絶しなければならない。それは間違っている」と述べて強く批判しました。そのうえで、「われわれが望む未来は手の届くところにある。われわれがともに取り組み、建設的な議論を行い、政治を立て直せば実現する」と述べ、党派対立を乗り越え、結束して前進するよう呼びかけました。

「アメリカは地上で最も強力な国家」

一般教書演説で、オバマ大統領は、「われわれの敵が強さを増し、アメリカが弱くなっているという論調が聞かれる。しかしアメリカは地上で最も強力な国家であり、われわれの軍は歴史上、最強だ。あらゆる重要な問題について、人々が頼って来るのは中国やロシアではない。われわれだ」と述べ、国際社会でアメリカの影響力が低下しているという指摘は当たらないと反論しました。そして、オバマ大統領は、「世界の警察官であることをやめながら、いかにしてアメリカの安全を維持し、世界を導いていけるかということだ」と述べ、同盟国や友好国などと役割や負担を分担しながら指導力を発揮するべきだという考えを改めて強調しました。
さらに、「第1の優先課題は、アメリカの国民を守り、テロリストのネットワークを追い詰めることだ。アルカイダと過激派組織IS=イスラミックステートはわれわれの直接の脅威だ。アルカイダのオサマ・ビンラディン容疑者の殺害に成功したように、正義は成し遂げられる」と述べ、先月、カリフォルニア州で乱射テロ事件が発生し、国民の間にテロへの不安が広がるなか、対策に全力を尽くし、ISの壊滅を目指す考えを強調しました。
また、オバマ大統領は、アメリカがテロ組織と関係がある疑いで大勢の外国人を収容してきた、キューバにあるグアンタナモ収容所について、「閉鎖に向けた作業を続ける。施設の維持には多額の予算がかかり、不必要であり、施設の存在はわれわれの敵を駆り立てるだけだ」と述べ、収容所の閉鎖を目指す決意を改めて示しました。

TPP承認手続きへ議会の審議促す

一般教書演説で、オバマ大統領は、去年10月に大筋合意に達したTPP=環太平洋パートナーシップ協定について、協定の発効に向け承認の手続きを急ぐよう議会に審議を促しました。
オバマ大統領は、一般教書演説の中で、TPPによって1万8000に上る品目の関税が削減され、アメリカからの輸出が増えることになる、と指摘しました。さらに、「TPPによってアジアのルール作りは中国ではなく、アメリカが担うことになる」と述べ、アジアでの主導権を握るうえでもTPPは極めて重要だと強調しました。そのうえで、「強いアメリカを作るためにもTPPを承認してほしい」と訴え、協定の発効に向けた承認の手続きを急ぐよう議会に審議を促しました。
一方、リーマンショックでアメリカ経済が深刻な不況に陥っていた2009年からこれまでの7年間の大統領としての経済運営について、「1400万人以上の新たな雇用を産み出し、自動車産業は過去最高の業績となった。今のアメリカはかつてないほど好調で、世界で最も強じんな経済になった」と述べました。ただ、その一方で、富や所得が一部の層に集中し、格差が拡大していることなどを課題に挙げ、最低賃金の引き上げや、所得の低い世帯に対する減税措置、2年制のコミュニティー・カレッジといわれる学校の授業の無償化の実現などに意欲を示すとともに、効率を高めるインフラ投資の推進なども打ち出しました。

世界の課題 同盟国なども責任分担を

一般教書演説の中で、オバマ大統領は、外交政策について「地球規模の懸念については、世界の国々にも共に取り組むよう促し、応分の負担をさせる」と述べ、アメリカ1国で世界の課題に対処するのではなく、同盟国や友好国にも責任の分担を求める考えを改めて強調しました。そして、「イランを核保有国にさせないため、制裁と規律ある外交を組み合わせた結果、イランは核開発を後退させ、世界は新たな戦争を免れた」と述べ、イランの核開発問題でみずからの手腕が最終合意に導いたとアピールしました。
また、「50年にわたる孤立化政策はキューバの民主化に失敗し、アメリカの中南米での影響力を後退させた。だからこそ、われわれは、外交関係を回復し、旅行や商取引の扉を開き、キューバ国民の生活向上にかじを切った」と述べ、キューバとの国交回復を歴史的な成果だと強調しました。
オバマ大統領は、さらに「200近い国を導いて、歴史上最も野心的な地球温暖化対策の合意をまとめた」と述べ、フランスで開かれた地球温暖化対策の国連の会議、COP21で議論を主導したことを自身の外交の重要な成果の1つと位置づけました。
一方で、アジア政策については、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の合意をアピールしましたが、核実験を強行した北朝鮮や、南シナ海で人工島を造成する中国との対立、それに日米関係などについては、直接の言及はありませんでした。

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