こんにちは、@kazscapeです。
今日は最近読んだ本の中から「デザイン思考」に関する本をご紹介。
21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由
「デザインとビジネスを繋げる 」活動でデザイン・イノベーションの世界で注目されている佐宗邦威(さそうくにたけ)氏による世界の最前線で実際に進められている「デザイン思考の本質と実践 」をわかりやすく、かつ体系的に解説している本。
論理が支配するのは「左脳」、直感とイメージに強いのは「右脳」と言われていますが、「デザイン思考」とは左脳と右脳の両方を活用したハイブリッドな思考方法のことだそうです。
デザイン思考的課題解決の4つのモード
著者は本の中で、デザイン思考には「4つのモード」があるといっています。
- リサーチ
- 分析
- 統合
- プロトタイピング
著者はそれぞれのモードについて、つらつらと「こうあるべき」と解説をするのではなく、それぞれを以下のような比喩でモードごとのイメージを紹介しています。
- 旅人
- ジャーナリスト
- 編集者
- クラフトマン
この表現だけでも、いかにもデザイン思考的に右脳に訴えかけ、すっと頭に落ちてくる感じがとても印象的です。
論理的思考とデザイン思考での課題定義の方法の違い
ビジネスの世界では、問題解決のための課題定義として、「〇〇が課題である」というような言葉で定義することが多いですが、デザイン思考では、「どうやったら〇〇ができるだろう」というように課題定義をすることで、ポジティブなパワーがチームにみなぎる道を選んでいます。
デザイン思考では、
- 学んだ様々なデータやアイデアを1度ばらばらにして、結びつけなおし
- ユーザーのものの見方のモデル化を行い、ストーリーとして語り
- 新たな世界観における課題の定義を行う
といった手順で課題を定義するのだそうですが、課題をばらばらにしてしまったり、ユーザーの見方でものを考えたりといったカオスの状態を恐れない。カオスの中から新しい発想が生まれるという考えで課題を定義するのだそうです。
日常の中に取り入れるデザイン思考
そんなデザイン思考ですが、どのようにして日常に取り入れたら良いのでしょうか?
著者は幾つかの場面を想定した日常使いのデザイン思考を解説しています。
忙しい日常の中でデザイン思考を実践するコツ
著者は6つのコツを紹介しています。
- 自分が創造力を持っていることを信じ続けることを強く決意する
- 日々、旅人のような気持ちで、周りの世界から新しい発見を探そうとする
- 常にリラックスし 、周囲にオープンな雰囲気をつくりだす
- ユーザーに寄り添い、共感しようとする
- まず、現場に行って観察しようとする
- 「なぜ」を繰り返す
「事件は会議室で起きているんじゃない!現場で起きてるんだ!!」の名言のごとく、私も5番目が好きですね。
自分一人で実践できる創造の習慣
とはいえ、いきなり他人を巻き込んで、「デザイン思考っていいんだよ」と言われてもちんぷんかんぷんですから、まずは自分一人ででも実践する方法として、現場の膨大な情報をブログに書いて発信し、それをネタに人に話す習慣をつけること。説明するために「なぜ」を考えざるを得なくなることから実践することを勧めています。
まさにこのブログがその役目としては最適ですね。
組織の中で創り出す力を発揮しやすい環境をつくるヒント
少しでも身についたデザイン思考を仕事に生かすために、組織での活用方法のヒントも紹介されています。
- まず、今あるプロセスの上に乗っけるやり方を工夫する
- 与えられた仕事に加えて、新しい創造的なアウトプットを乗せる
- 普段と違ったことを簡単に実験してみるやり方を探す
慌てずに少しずつ変化を生み出すといったところでしょうか。
デザイン思考を持った越境人材
著者は本の最後に、今後のビジネスにおいては「越境人材」が必要だと述べています。
越境人材とは、デザイン、エンジニアリング、ビジネスの3つの円の交わりを実現する人材のこと。自分の専門性がない分野についてもある程度相手の言語を理解して話すことができ、かつ簡単なプロトタイプくらいなら違う分野のものでもつくることができ、それをもっと専門性のある人に見せて課題解決に向けて動かすことができる基礎能力を持つ人のことと定義しています。
ソニーの井深大氏と盛田昭夫氏がエンジニアとマーケターの組み合わせによるパートナーシップであったように、これからの時代においては、自分の人生をかけて信じる新たなストーリーを具現化していく起業家と、社内外の様々なリソースを結びつけるイノベーションプロデューサーのコラボレーションが重要なのではないかと問うています。
まとめ
著者は本の最後に、先が見えない混沌とした時代を楽しく、幸せに生きるためのライフスキルとして、デザイン思考がこれからのビジネスマンの仕事の一部に溶け込んでいくことが必要ではないかと述べています。
ある一つの分野だけでなく、自分が持てる能力をフル稼働させていくことが楽しい人生への道なのでしょう。デザイン思考という方法論だけではなく、今後の人生観についても記された本のように感じました。
興味のある方は手に取ってみてください。
ではっ!