記事詳細
【高論卓説】
無謀にも格付けなしでスタートするAIIB トリプルA以外は願い下げ!? 背景には中国政府のメンツが…
実際にAIIBがどのように運営されるのか、その執行体制や経営の実情を点検しないことには格付け会社は判断のしようがない。一方で中国はトリプルA以外の格付けは願い下げと考えている、ということで「無格付け」での調達という判断になったのだろう。
韓国が異例ともいえる積極的な関与を見せたのは、中国に徹底的に協力する姿勢を示すことで副総裁ポストを得るといった思惑からではないか。中国は巨大な経済力を武器に、国際経済のルールをじわりと変質させようとしている。その現状は最近上梓した拙著「米中経済戦争 AIIB対TPP」で詳述した。2016年は、巻き返しを図る米国と中国との攻防が一段と激しさを増すことになりそうだ。(西村豪太)
にしむら・ごうた「週刊東洋経済」編集長代理 1992年に東洋経済新報社入社。2004年から05年まで北京で中国社会科学院日本研究所客員研究員。45歳。東京都出身。