【萬物相】韓半島とB52

【萬物相】韓半島とB52

 1961年、米国ノースカロライナ州の上空で24時間体制の哨戒飛行を行っていたB52爆撃機が、燃料漏れのため墜落した。乗員8人のうち5人が脱出したが、残る3人は死亡した。B52は威力2.5メガトンの水素爆弾2発を積んでいた。これはTNT爆薬250万トンに相当する。広島に投下された原爆の100倍を超える威力だ。2発のうち1発は落下傘が開き、少し壊れただけだったが、もう1発は音速を超えるスピードで地面に激突し、ばらばらになった。

 実に幸いなことに、核爆発は起こらなかった。六つの安全装置のうち五つが壊れていたが、最後の一つが大災厄を防いだ。66年にはスペインの上空でB52が空中給油機と衝突、墜落した。核爆弾3発のうち、海に落ちた1発は米軍がどうにか探し出した。しかし地表に落ちた2発は、一帯を放射能で汚染した。冷戦時代、B52はソ連に核の報復を行う戦略兵器の「三本柱」の一つだった。そのため核兵器を積んで空を飛び、このような事故が起こった。

 B52は52年に初飛行した機種で、「還暦」を超えている。出動するとなると「高齢者虐待」というジョークまで登場する。超音速機B70、B1、B2ステルス機が挑戦状を突き付けても、主力戦略爆撃機としての立場が揺らぐことはなかった。故障が少なく、いつでも出動できるのに加え、絶えず改良されてきたからだ。B52は、ベトナム戦争はもちろん湾岸戦争、イラク戦争でも活躍した。湾岸戦争だけでも、およそ80機が2万5000トンもの爆弾を投下した。これは、多国籍軍が投下した爆弾の40%を占める。

 各紙はきのう一斉に、B52が韓国空軍のF15Kに護衛されて太白山上空を飛ぶ写真を1面に載せた。B52は武力を誇示して北朝鮮を圧迫し、グアム基地へと戻っていった。B52は、韓半島(朝鮮半島)に危機が訪れるたびに出動してきた。76年の板門店ポプラ事件では、ポプラの伐採に際して3機が出撃し、示威を行った。北朝鮮軍はさらなる挑発をすることなく、非常にまれなことに、金日成(キム・イルソン)主席が謝罪した。B52のおかげだった。

 B52は、2500キロ離れた目標を毛抜きでも使うように正確に攻撃できる巡航ミサイル、地下100メートルの壕(ごう)も破壊できるバンカーバスターなどを搭載する。すさまじい威力故に、金日成主席・金正日(キム・ジョンイル)総書記にとっては恐ろしい存在だったことだろう。しかし金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は、果たしてどういう考えを持っているのだろうか。米空軍は、B52を2045年まで飛ばす計画だという。90歳過ぎまで米国の中心的戦略アセット(兵器)であり続けるということになるが、金正恩第1書記を脅かす効果がどれほどあるのかは分からない。米国がどんな武力の誇示をしても、北朝鮮の頑固な核開発を防げずにいるではないか。B52が展開する時になると、むなしいという思いも抱く。

ユ・ヨンウォン論説委員・軍事専門記者
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