正確な極軸合わせをめざして
前述べたように、北極星の見えない南側の団地ベランダの手すりに赤道儀を据え付けての写真撮影です。
極軸を正確に合わせるのがなかなかの苦労です。北極星を利用したガイド望遠鏡で合わせる方法はネットでもたくさんありますが、北極星が見えないところの極軸あわせの実践記はほとんどありません。大分合ってきましたので参考になることがあるかもしれませんので少し詳しく述べてみます。
ガイド用望遠鏡に十字線入りのアイピース(ライト付き)をセットして、明るい星を十字線の中心へ入れて極軸あわせの準備します。ガイド望遠鏡は焦点距離1300㎜口径65㎜マクストフカセグレン 十字入りアイピースオルソー6㎜ で、1300÷6=216.6で 約217倍です。倍率が高いほど正確にできるということです。
鏡筒の長さ40センチ位で小さくとてもよいです。鏡筒ホルダーで固定します。その下にガイドマウントを取り付けて赤道儀のプレート版に取り付けています。
極軸は高度と方位の2ヵ所の調節をします。どちらを先にやってもよいと思いますが、まず高度調節をします。
十字線の一つを東西線に合わせます。これはモータードライブを作動させないでだまってみていると星が東から西へ動いていきますその線上に星が動いていくように十字線を合わせればオーケーです。ねじで動かないように固定します。これはアイピースを回して調節するだけです。いよいよ高度の調節。十字線の中心に星を入れて、わざとピントをぼかします。星が大きくなって合わせやすくなります。東の星をガイドに使用して行いました。赤道儀のモータードライブを作動させると、極軸の高度が合っていないと、星が北や南へ逃げていきます。
赤道儀の高度調節ねじを回して角度を高くしたり低くしたりして、南北方向に星が動かなくなるまで根気よく続けます。修正しすぎると今までと反対方向へ動き始めるので、何回も何回も修正して北や南に逃げていくのが止まるまで直します。繰り返しますと、星を十字線に合わせてモーターを動かししばらくそのままにしておくと星が十字線から離れていきます。そこで極軸を高く(低く)していき様子を見ます。この作業を何回も続けて動かなくなるまでやっていくということです。
極軸が高すぎるか低すぎるかは、極端に高くしたり低くするとその動きがわかってきます。
北へ逃げるのは高すぎるとかは図を書いて考えればわかりますが、望遠鏡、天頂プリズムなどで倒立像正立像の南北が変わってしまい考えるのが煩わしいので、動きだけで判断します。動きだけで合わせられます。
星が南北線上をほぼ動かなくなったら一応高度の調節は終わりにします。
高度がほぼあったら今度は方位の修正です。高度が合っても星は十字線の中心で止まっていません。方位があってないからです。モータードライブを作動させても東や西に星は逃げていきます。方位の微動ねじを動かして修正します。方位も極端に東よりあるいは西よりにすると星の逃げる方向が逆になります。星を十字線の中心に入れてモーターを作動させて逃げる方向を確認しながら何回も何回も修正を繰り返します。だんだん合ってきたら十字線から星が逃げる距離が小さくなり、時間がたってもアイピース内に星が見つかるようになります。このことは、はじめはしばらくすると星がアイピースの視野からすぐ見えなくなっていましたが、修正の結果、誤差が少なくなったせいです。この状態になると、真の極軸にかなり近くなっています。修正もほんのわずかにしてさらに精度をあげます。
私はまだ完璧ではなく時間がたつとアイピース内の端に動いていく状態です。十字線上から離れているので高度も方位もまだきっちりあっていないことがわかります。修正作業は根気がいるのでさらに今後も精度アップをはかる予定です。
なお、正確な極軸あわせは星雲などの撮影が目的です。撮影鏡筒、カメラなしで上記のように極軸をセットしたところ、いざ撮影になってみると重さが加わってのせいだと思いますが極軸が狂っていました。赤道儀に写真機なども据え付け撮影のできる状態で極軸あわせをします。
極軸あわせの実践でわかったことは下記の通りです。
1,赤道儀を必ず水平にする。(水準器が必要)
2,高度と方位を分けて合わせる。どちらも2方向の動きを見て修正する。
3,すべて撮影状態で行う。(撮影の時の重さで行う)
4,赤道儀に乗せてある、ガイド鏡、鏡筒、カメラなどの重さのバランスをとり、モーター
に負担をかけない。
5,クランプなどしっかりしめてガタのないように気をつける。
6,それでも、強風の時は鏡筒が動いてガイドが流れ星が点にならず失敗する。
強風は避ける。
7,撮影の時、星雲や星のピントはしっかり合わせる。合っていないと星がふくれ
星雲がぼける。
12月18日撮影 ペンタックス105EDHF 直焦点 タカハシ90S赤道儀
ニコンD70(天文用に改造カメラ)
1分露出 2枚合成(合計2分ステライメージ5で処理)
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