サムスン電子の半導体工場で従業員が白血病などを発病した問題が、9年近くを経てようやく事実上の妥結に至ったようだ。
「サムスン電子白血病問題の解決に向けた調停委員会」は11日、サムスン電子、被害者家族や市民活動家でつくる家族対策委員会、被害者家族が加わる「半導体労働者の健康と人権を守る会」(略称パンオルリム)の3者が12日、法律事務所・地平のオフィスで「労災予防対策」に関する最終合意書に署名すると明らかにした。3者は独立した「オンブズマン委員会」を設立し、半導体工場での疾病再発を防ぐための活動を行うことで合意したとされる。
サムスン電子半導体工場での白血病問題は2007年3月、器興工場(京畿道竜仁市)で働いていた女性従業員のファン・ユミさん(当時22歳)が急性白血病で死亡したのを機に世間に知られるようになった。その後、白血病やがんを発病した社員・元社員らが相次いで労災を申請したり会社を相手取って行政訴訟を起こしたりした。事態が長期化したため、民間の調停委員会が構成され、仲裁に当たってきた。
サムスン電子は昨年8月、1000億ウォン(現在のレートで約98億円)の社内基金を立ち上げて被害者への補償に充てることを発表。これまで、独自の審議を経て100人余りに代表取締役の名前の謝罪文を添えて補償金を支給した。87日にわたりソウルのサムスン電子社屋の前で座り込みを行っていた家族対策委のチョン・エジョン氏も先月、補償案に同意して補償金を受け取った。サムスン電子の関係者は「これまでに150人余りが補償金を申請し、今では申請者がほとんどいない」と述べ、補償は最終段階に差し掛かったと説明した。
サムスン電子工場での白血病問題の争点は、大きく分けて「謝罪」「補償」「労災予防策」の三つだった。会社側は「謝罪と補償の手続きが順調に進んでおり、このほど予防策にも合意したため、事実上、約9年にして問題が解決したことになる」と話している。
だが、被害者家族2人や市民活動家らでつくるパンオルリムは「被害者全員と合意していないサムスンの一方的な補償案を受け入れることはできない」と反発している。調停委も「まだ最終合意に達したわけではない」としている。