デビッド・ボウイさん死去　追悼

　【ニューヨーク共同】英国の世界的ロック歌手で、１０日に死去したデビッド・ボウイさん（６９）の訃報は世界中に伝わり、米ニューヨークの自宅や出生地ロンドンなどゆかりの地では１１日、熱心なファンが集まり、花を手向けて死を悼んだ。

　ニューヨーク・マンハッタンの自宅マンション前には、ボウイさんの写真やろうそくが花束やブーケと共に並んだ。真夜中に訪れ「ありがとうデビッド」とのメッセージを供えたファンの一人は英メディアに「本当に悲しく信じられない」と話した。

　ロンドンでも大勢のファンが突然の死を悼み、出身地の南部ブリクストンではボウイさんの壁画の前に花束が次々ささげられた。「この悲しみは言葉で表せない」などと書かれたメッセージカードも添えられ、ファンらはボウイさんのヒット曲を口ずさんだ。

　米ロサンゼルスでも、スターの名前を星形プレートに刻んだ歩道「ウオーク・オブ・フェーム」のボウイさんのスペースに、ファンらがろうそくなどを供えていた。

　ビートルズのメンバーだった故ジョン・レノンさんの妻オノ・ヨーコさんはメッセージを発表し「ジョンとデビッドはお互いを尊敬し合っていた。２人の知性と才能はよく調和していた」と振り返った。

　ボウイさんが所属した米ソニー・ミュージックのＣＥＯダグ・モリス氏は１２日、「デビッド・ボウイは空前絶後なアーティストでした。超越的な作品で数えきれないほどのミュージシャンに影響を与え、世代を超えた世界中のファンを魅惑しました。ソニー・ミュージックの大切な家族と言える彼に哀悼の意をささげ、音楽史における悲しい１日を、ファンの皆さまと共に彼に思いをはせながら過ごしたいと思います」などとする声明を発表した。

　同社は、ボウイさんの６９歳の誕生日だった今月８日に、３年ぶりのニューアルバム「★（ブラックスター）」を発売した。

　【ベルリン共同】ドイツのメディアは１１日、ボウイさんが冷戦時代の１９７０年代に当時の西ベルリンに滞在し、代表曲「ヒーローズ」をレコーディングしたことを紹介した。８７年にはベルリンの壁の近くでコンサートを開催し、多くのファンを集めた。ドイツ外務省はツイッターで「さようならデビッド・ボウイ。今やあなたはヒーローの仲間入りをした。壁の崩壊を助けてくれてありがとう」とつぶやいた。

　「ヒーローズ」では、ベルリンの壁の壁際で銃声が響く中、キスをする恋人たちの姿を歌い上げた。壁は６１年、東ドイツ政府が国民の西側への逃亡を阻止するために建設し、突破を図った多くの国民が射殺された。８９年に、民主化運動の高まりを受け崩壊した。