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【大相撲】

安美錦、鶴竜から金星 37歳3カ月は昭和以降5番目

2016年1月13日 紙面から

◇初場所<3日目>

安美錦(左)が押し出しで鶴竜を破る(冨永豊撮影)

写真

(12日・両国国技館)

 平幕の安美錦(37)=伊勢ケ浜=が、記録ずくめの金星を挙げた。結びの一番で横綱鶴竜(30)=井筒=を破った。安美錦は8個目の金星獲得。37歳3カ月での金星は昭和以降で5番目の年長記録だ。横綱白鵬は松鳳山を力強く寄り切り3連勝。横綱日馬富士は碧山を寄り切って連敗を免れた。大関陣は琴奨菊が新関脇嘉風を寄り切り、3連勝とした。稀勢の里が宝富士を寄り切って白星先行。照ノ富士は逸ノ城、豪栄道は小結栃ノ心の寄りにそろって敗れ、初黒星を喫した。横綱、大関陣の勝ちっ放しは白鵬と琴奨菊の2人。

 大歓声と座布団が祝福する土俵の上で、安美錦が胸を張った。2009年5月場所で朝青龍から奪って以来の金星は、新入幕以来最長の金星で史上5位の高齢記録。「5位なの? 上は誰? 架空の人じゃないの?」と笑わせた幕内最年長のベテランは、ちゃめっ気たっぷりの安美錦節で喜びを表現した。

 「DAIGO風に言ったらKYだね」

 どういう意味? きょとんとする報道陣に「金星、やったねだよ。きのうから考えてた。それは冗談だよ」。DAIGOと北川景子が結婚会見で明かした「KSK(結婚してください)」を即座にアレンジするのもベテランの技だ。

 昨年12月の冬巡業では腰を痛め十分な稽古はできなかった。膝をはじめ体はボロボロ。この日の結びの一番が「最後の結びになるかもしれないと思って取ったから。もう味わえないと思って。新年の目標は、来年も関取で新年を迎えること。無事に1年取れれば」という覚悟のもとだった。

 支えてくれたのは13年6月に結婚した絵莉夫人と2人の子供。「結婚してから金星を取ってないから。横綱に勝つとこ見せたいなって。嫁さんも一生懸命やってる。飯を作ったり、(ジムの)送り迎えとか。自分の時間を削ってやってるし。ちょっとは恩返しできたかな」。絵莉さんはアスリートフードマイスターの資格を取得して食生活から支えてきた。13年10月に生まれた長女は「負けたらオレより落ち込んでる」とか。

 昨年5月には次女も誕生。物心つくまでやれる? と言われると「(そこまでやると)記録を作っちゃうよ」と笑顔で否定するが、結婚してから目標に掲げてきた三役・三賞・金星はこれで達成した。ただ、次女に見せられたのはまだ金星だけだ。今場所の活躍しだいで史上3位(戦後)の高齢三役、史上5位の高齢三賞も実現する。

 「この年で、こんなこと味わえると思わなかった。いつやめてもおかしくないから。いつでもきょうが最後と思ってやっている」。そう言わず、いつまでもしびれる相撲を見せてほしい。 (岸本隆)

 

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