2016年1月13日17時07分
13日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相と民主党の山尾志桜里氏が、首相のパート労働についての国会発言をめぐり論戦を繰り広げた。詳報は次の通り。
山尾氏 1月8日の予算委員会で首相は夫50万円、妻が25万円という例え話をされた。パートの実態や女性が働く環境をご存じじゃない。相当感覚がずれているという声が広がっている。首相はパートで25万とは言っていないとおっしゃったが、質疑を繰り返し見ましたが、どう見ても妻25万円、パートが前提としか文脈のなかで読めない。今日は認めたらどうか。
首相 本質を見ない枝葉末節な議論ですね。私はマクロ分析についてどう経済の指標を見ていくかを分かりやすく話した。総雇用者所得と平均の賃金との考え方の違い、どちらがどういう指標であるか。あるいは現在、平均の実質賃金が上がっていないという指摘があったので、それは景気回復局面においては例えばパートの方が新たに働き始めるということを説明させていただいた。高所得者だけであれば、働いていない人が多くても平均賃金は高く見えるけれども、社会全体で足していけばそうではないということを証明しようとしたわけです。
私は妻の例を出したわけですが、私が50万円で例えば妻を10万円と言った方が、50足す10で(平均が)30ですぐ割りやすかったわけですが、妻の10万というのも、妻にとっても「なんで、あなたの半分以下だ」と言われるわけですから、実際に妻もいま仕事をしておりますから、50万円と25万円という例を出したわけですが、私は妻がパートで働き始めたらと言ってはいない。大切なテレビ(中継)入りの委員会でこうしたことばっかりやっているようでは、民主党も支持率が上がらないのではないかと心配になってくる。
山尾氏 支持率の心配をしていただかなくて結構です。以前からパートが増えるから賃金が下がるという一貫した主張を首相はされている。少なくても2014年2月から2年間、一貫している。なぜ今回だけ妻がパートじゃなくなるのか。
首相 たまたま私がそのときに25万という表現を使ったわけであります。別に10万と言ったってよかったわけで、大切なことは枝葉末節なことで揚げ足を取り合っているよりも、パートの時間給を上げることですよ。我々はパートの時間給を上げているじゃないですか。
山尾氏 分かりやすい説明ではなくて、ずれている説明なんです。パートで働く女性がどれぐらいの賃金をもらっているか首相が認識しているかは、決してささいなことではない。
もう一つ気になっている(首相の)発言を指摘します。「景気がよくなったから働こうかなと思ったら」というところです。景気がよくなったから、今まで働いていなかったけど、そろそろ本格的に働こうかなと思った主婦は私のまわりで見たことありません。景気が悪かったり、生活が苦しいから。いま首相、「いっぱいいるよ」と(ヤジで)おっしゃいましたか。多くのパートの主婦は本当に生活が大変だったり、家計をやっぱり支えなくてはいけないから働くんです。景気がいいから、「あらそろそろ働こうかしら」「お得だわ」なんていう主婦は少ないんです。
首相 景気が悪い時はですね、働きたくてもなかなか職がないんですよ。その認識がなければ、経済は語れないと思いますよ。民主党政権時代よりも安倍政権になってはるかに、全県で有効求人倍率は改善している。そういうところをしっかりと見て、なぜそうなったかということをよく分析をしなければ、将来いつになるか、分かりませんが、民主党が政権をとったとしてもまた、もとの木阿弥になるだけですよ。
山尾氏 パートタイム白書に主婦パートの働く目的の内訳がある。なんで働いているのか。8割が生活維持と家計補助のために働いています。2割が生活向上です。つまり8割が働かないと暮らしていけない、生活向上で、趣味とか旅行とか、もう少しさらにゆとりを楽しもうと働く主婦、こういう人たちは景気がよくて給料がよければ「働こうかしら」と、「あんまり低い給料ならちょっとね」となると思うけど、8割の人は給料が低かったら働くのやーめたなんて状況で働いていない。この感覚のズレを率直に受け止めて修正していただかないと、(首相が掲げる)「女性活躍」や「希望出生率1・8実現」なんてできないと思う。
一般の女性、主婦、子育て世代の感覚と、本当にずれまくっていると、正直思います。一番問題だと思うのは、ずれたことを認めないことだと思う。ずれを認めないで、前のめりになって言い逃れを続けていると、正直、見苦しいと思うし、国民の政治不信も高まる。一番大事なのは、そのずれを修正できないと、必要な政策の軌道修正ができなくて、この国にとってよくない。
首相 最初からずれているとおっしゃっているんですが、私の発言を強引にすり替えている。妻がパートだということを言ったことはありません。本質はしっかりと仕事を作ることではないでしょうか。枝葉末節な議論はもうやめた方が、いいんだろうと思う。
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