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韓国が宣伝放送再開 反発必至

 【ソウル米村耕一】北朝鮮による核実験への対抗措置として、韓国軍は8日正午(日本時間同)、南北軍事境界線付近の十数カ所で大型拡声機による対北朝鮮宣伝放送を再開した。北朝鮮が拡声機を狙った砲撃などに踏み切る可能性もあり、韓国側境界線付近の軍や警察は警戒態勢を強化している。

 放送には経済発展した韓国の状況や、核実験により北朝鮮の経済状況がより困難になるなどと批判する内容が含まれ、Kポップなども流す。境界線付近の北朝鮮軍人や住民に動揺を与える狙いで、北朝鮮が強く反発するのは確実だ。

 宣伝放送は、昨年8月4日に韓国軍兵士2人が重傷を負った地雷事件を受けて韓国軍が11年ぶりに再開。北朝鮮側は激しく反発を見せた。同月20日には韓国軍が「北朝鮮側が境界線付近で砲撃した」と発表し、数十発を反撃する事態に発展した。

 北朝鮮は直後に境界線付近での「準戦時状態」を宣言したが、22日から4日間行われた南北高官協議で、北朝鮮側が地雷事件について遺憾表明することと、韓国側は宣伝放送を中断することに合意した。ただ、放送中断は「非正常な事態が起きない限り」となっていた。韓国政府は核実験を「非正常な事態」と判断し、再開に踏み切った。

 8日は金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の誕生日。この日に合わせた放送再開は、北朝鮮がもっとも敏感に反応する「最高指導者への冒とく」と取られる可能性があり、昨年8月以上に激しい反応を示すのではないかと懸念する声も出ている。

 韓国政界の反応も割れている。与党セヌリ党は放送再開を支持しているが、最大野党「共に民主党」は「核問題の根本的解決にはつながらない」と否定的な見方を示した。

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