日本独自の制裁追加を検討開始
政府は7日、核実験を行った北朝鮮に対して、日本独自で制裁を追加する検討を始めた。北朝鮮への送金報告や現金持ち出しの届け出義務の強化などが念頭にあるとみられる。国連安全保障理事会が制裁強化のための新決議を採択することで合意しており、新決議に基づく新たな制裁の内容を見極めながら調整を進める。
菅義偉官房長官は7日の記者会見で「我が国独自の措置も含めて、北朝鮮に対する断固たる対応をいま検討している」と述べた。菅氏は具体的な内容について「経済制裁、人の移動の禁止、金融などいろいろな考え方がある」と例示した。
政府が日本独自の措置として検討する送金報告や現金持ち出しの届け出義務強化については、制限額を引き下げることを想定している模様だ。もともとは300万円超の送金報告と10万円超の現金持ち出しの届け出義務の制裁を実施しており、この限度額を引き下げる案が念頭にあるとみられる。
送金については、人道支援目的を除く送金の全面禁止措置が、自民党拉致問題対策本部が政府に提出した要請書に盛り込まれている。10万円以下の送金を除外している。政府関係者は追加制裁について「自民党の提言もあり、あらゆる選択肢を検討する」と指摘。別の政府筋も「金融制裁は考えられる」と述べた。
独自制裁の追加や復活については、政府内には継続中の拉致被害者の再調査への影響を懸念して慎重論もある。今後、北朝鮮側の出方をうかがいながら検討を進める。【小田中大】