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法華狼の日記

2016-01-12

[]ここ最近に語られてきた被害者の多様性とは何だったのかということ

拉致問題を政治利用していたと民主党に質問され、安倍晋三首相が反駁した答弁が話題になっている。記事タイトルで「安倍首相マジ切れ!」としている

【衆院予算委員会】安倍首相マジ切れ! 民主議員「拉致を政治利用したのか」との質問に「私が言っていることが真実だとバッジをかけて言う」とも(1/4ページ) - 産経ニュース

緒方氏は、拉致被害者蓮池薫さんの兄、蓮池透さんによる著書『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社)に「拉致問題はこれでもかというほど政治利用されてきた。その典型例は安倍首相だ」などとする一説があるとして、首相に認識を尋ねた。

 首相は「いちいちコメントするつもりはない。家族会にもその本に強い批判がある。大切なことは北朝鮮に対して一致結束し、すべての被害者を奪還するために全力を尽くすことだ」と述べた。

一般論として、被害者が複数いればそこには多様性があり、被害者間で意見がわれることもあると認識しておくべきだろう。

今回はじめて公表されたわけでもない被害者の「第三の声」*1を、被害者組織から否定されていることだけをもって切りすて、一致結束を優先させるのは個別の被害者の抑圧にならないか、ということを思った。


ちなみに、2015年12月21日に外国特派員協会でおこなわれた蓮池透氏の会見を見返すと、2015年12月28日に発表された日韓合意にまつわる表現を先取りしているかのようだ。

拉致被害者家族の蓮池透さんが会見【全文1】

どういう状況になったら解決と言うのか。それを家族や国民に周知して、そしてかつ北朝鮮と合意を得なければゴールが一致しないという状況では、この問題は進展しないと考えています。現在はそれが非常に曖昧な状況にあります。全員が帰ってくれば解決なのか、あるいは安否確認がされれば解決なのか。そういう意味では昨年のストックホルム合意というのは非常いい加減な合意であったというふうに私は思います。

拉致問題と慰安婦問題を比べてみると、安倍政権のふるまいは不整合ではなく、むしろ一貫性はある。国家対国家という枠組みを優先して、個別の被害者の異論を切りすてるという方向で。

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