鎌倉大仏、55年ぶりおそうじ大作戦!スペシャリスト6人が手で磨く

2016年1月13日6時0分  スポーツ報知
  • 13日から約2か月間、拝観できなくなる鎌倉大仏

 国内有数の観光名所として知られる鎌倉大仏(神奈川県鎌倉市)の状態調査と清掃作業が13日から始まり、一般参拝客の拝観は3月10日までできなくなる。1959~61年に行われた「昭和の大修理」以来、55年ぶりとなる大規模事業。風雨にさらされた汚れやサビを落とすクリーニングは、文化財保護のスペシャリスト6人が手作業で行う。2か月後の3月11日には、“若返った”大仏様がお披露目されることになりそうだ。

 55年ぶりの「大補修」は、約500年間にわたり風雨にさらされ続けている鎌倉大仏のサビを落とす、またとないチャンス。ツールとして用いられるのは、最新鋭の機器などではなく「人の手」だった。

 前回の大修理では、免震工事と首回りの補強を実施。50年が経過した2011年に再び補修を行う予定だったが、東日本大震災のため延期に。さらに5年の月日を経て、ようやく実現することになった。

 今回の総工費は約6500万円。補修作業を担当する東京文化財研究所保存修復科学センターによると、13日から約2週間にわたって大仏像の現在の状態を詳細にチェック。雨水の影響のほか、亀裂やサビの進行など損傷がないか最先端の技術で調べ、今後の定期的メンテナンスのためのデータも取った上で、クリーニング作業に移行する。

 高さ13・35メートル(台座部分含む)に及ぶ大仏像だけに、通常なら全て手作業で清掃するのは極めて困難。大仏を本尊とする高徳院が毎年2度、高圧放水による洗浄を行っているが、今回は大仏像の周囲に足場を組んで全体をシートで覆っての清掃となるだけに、より繊細かつ緻密な手作業でのクリーニングが可能となった。

 同センターの総勢6人の職員が、水とアルコールを混ぜた液体を塗布し、像に付着した汚れやサビ、鳥のフンなどを一つひとつ研磨して落としていく。センターの関係者は「もちろんピカピカにはなりませんが、きれいになったね、というところまでにはしたいです」と話している。

 鎌倉は年間約2200万人(14年度)が訪れる屈指の観光都市。3月10日まで予定している清掃期間中は、一般客による拝観は休止となる。当然、参拝客の足が途切れるだけに、地元の商店などにとっては大きな痛手だ。

 目の前に店舗を構える甘味処「いも吉館大仏店」のスタッフ・伊藤績さんは「大仏様頼みなので正直苦しいところですが、しょうがないです。あきらめ半分ですね」とため息を漏らす。10年、来日中の米オバマ大統領が拝観した際は「オバマッ茶ソフト」を売り出して話題になったが、さすがに同商品の販売は既に終了。伊藤さんは「でも、大仏様がきれいになったと話題になれば、さらに多くのお客さまに来ていただけると思いますので」と拝観再開後に期待を寄せていた。(北野 新太)

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