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思想家・太田竜氏の「革命」一代  妄想家か、辺境の擁護者か(1/2ページ)

2009年7月23日14時38分

写真:太田竜氏太田竜氏

 5月19日に78歳で亡くなった思想家・太田竜氏は、その振幅の大きい活動で人々を戸惑わせてきた。新左翼の革命理論家から、「ユダヤの支配」を糾弾し、「爬虫(はちゅう)類的異星人が地球を支配している」と説いた陰謀論者へ。変転を突き動かしたものは「妄想」か、それとも「辺境」への視点だったのだろうか。

 10代から左翼運動に身を投じた太田氏は1957年、革命的共産主義者同盟結成に参加する。中核派、革マル派などの前身である。その後、第4インターナショナル日本支部委員長に、さらに分派し、それも脱退した。創設した組織を次々と割っては新組織を立ち上げ、主張はそのたびに過激に先鋭になった。

 70年頃からは琉球、アイヌといった「辺境」に着目し独自の革命論を追究し始めた。三菱重工ビル爆破事件を起こした東アジア反日武装戦線にも思想的影響を与え、70年代半ばに、マルクス主義は「帝国主義美化の反革命的思想体系である」として決別。80年代には自然食やエコロジー運動に傾倒し、参院選や都知事選に出馬。90年代以降の著作は、陰謀論や国粋主義の立場のもので占められていた。

 めまぐるしい思想遍歴。太田氏とともにアイヌ像損壊事件で指名手配されたこともある元日本赤軍の足立正生氏は「あいつほど、組織を作っては壊し、決別を繰り返してきたやつはいない」と振り返る。教育学者の五十嵐良雄氏も突然「おまえは反革命だ。今後一切の関係を絶つ」と絶縁された。しかし五十嵐氏は「琉球もアイヌも、存在はしているが問題として認識されていなかった。彼は問題を発見する天才だった」と太田氏をなお評価する。

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