昔の相場の格言に「万人が万人ながら弱気なら、のぼる理をふくむなり」(三猿金泉秘録)というのがあります。

たとえば原油安を考えてください。

かつて原油価格が高かった時、中東の産油国の外貨準備がどんどん積み上がりました。その頃、我々は「これは所得の転移(transfer)だ。我々の富が、あいつらの処へ持って行かれてしまう!」とこぼしたものです。

いまサウジアラビアはオイルマネーをすごい勢いで取り崩し始めています。その背景には(損をして安値で石油を叩き売りしてまで、米国のシェール業者の息の根を止めてやる!)という固い決意があるからです。

でも、ちょっと待って!

かつて原油価格が高かったときは、アメリカの消費者も高いガソリン代に苦しみました。それが消費にも影を落としました。

するとですよ……

今みたいにガソリン代が安くなっているとき、サウジアラビアの外貨準備がどんどん減っているときは、われわれのポケットに紙幣がねじ込まれているのと同然だ…という考えは、おかしいですか?

1

今年のクリスマスは、米国東部が記録的な暖冬だったので「専門店の業績はメタクソだろ」というのがコンセンサスでした。ところがギャップを除いて12月の既存店売上比較は事前予想より上で入って来ました。

3

「ヨガパンツが透け透けで、エロいことになっている!」という大事件で業績を落としていたルルレモン(LULU)でさえ、むっくり業績が持ち直しているではないですか!

消費は米国経済の7割を占めます。

米国企業の売上高に占める、中国を含むアジア全般は10%以下です。

アメリカの製造業が米国経済に占める割合は15%程度です。

するとフツーに考えて、いまの米国株は中国の減速から来るネガティブ要因を恐れ過ぎているし、原油安から来るメリットを評価しなさ過ぎと思うけど、いかが?