2015年に話題になったデザインに対する考え方が深まる5つの記事
デザインにはトレンドがあり、その時々で話題になるテーマが変わります。
今回は2015年の間に話題になった、デザインに関する考え方が深まる記事を5つほどご紹介します。
未来に向けたデザインの変化を表すトレンドから、デザインを使った問題解決、Appleのフォント、オリンピックのロゴ問題まで2015年はデザインに関連する話題がつきませんでした。
目次
JR西日本が始めた酔っ払い線路転落防止策が海外で話題
まずは、海外でも話題になったJR西日本が始めた酔っ払い線路転落防止策のお話です。
酔っ払っいの人身事故の件数が、ここ10年(2013年まで)の間に4倍にも増加しているというデータがあります。
線路に対して、平行に歩いている際に足を踏み外すパターンが多いと思っていたのですが、転落事故の全体の約6割近くが線路に突然歩き出してそのまま転落していることが判明しました。
その対応策として行われたのは、ベンチの配置自体をデザインしなおすというシンプルなものでした。酔っ払った人がいきなり歩きだしても大丈夫なように、ホームに横向きになるようにベンチの向きを変えたのです。
JR西日本では2015年1月の新大阪駅を発端に、広い駅を中心にベンチの配置換えを行っています。デザイン1つで問題を解決する良い事例でした。
ワイヤーフレーム通りにデザインしてしまうデザイナーさんへ
こちらの記事は、2015年10月22日にWebクリエイターボックスに投稿された記事です。
どうしてもワイヤーフレーム通りにデザインしてしまうデザイナーに向けた内容で、Webデザイナーとしての経験が浅いうちに直面する問題とその解決策を具体例をあげながら説明しています。
例えば、このようなアイコンと文章の組み合わせレイアウトのワイヤーフレームがディレクターから上がってきた際に
このままデザインしても一見問題はないのですが、最低限の要素は変更せず「可読性をあげる」デザインにするためにアイコンを左、右にテキストと配置しています。このようにデザイナーとしての見解を持ちながらデザインをすることの重要性を語ります。
そして、デザイナーだけではなくディレクターに向けての提案として、ワイヤーフレームは極力シンプルにするということもあげています。作り込まれすぎたワイヤーフレームを渡してしまうと、余計な固定観念をいだいてしまいデザイナーさん本来のデザインを引き出すことができない場合があるからです。
▷ ワイヤーフレーム通りにデザインしてしまうデザイナーさんへ
デザインの未来を示す15の変化
これからの「デザイン」の役割とそれを取り巻く環境の変化に関して、btrax社が考える変化を提示しています。
環境の変化の速度が速まっている現代で、ロジックだけでは説明できない事象が増えています。
そんな時代だからこそ経営者やマネージャーなどのリーダー層の人たちにとっても、デザイン的な考え方が重要になってきています。
特にアメリカでは、大企業の間デザインの重要性が高まっており、デザインという言葉自体も「絵を描く」という単純な行為を指す言葉から、戦略をたてるためにデザイン的な考え方を利用するなど業績に直接影響を与えるレベルにまで昇華されてきています。
また日本を含め、世界的に見ても高齢者の数が増加しているポイントをあげ、若者向けに作られる事が前提であったデザインを高齢者視点に合わせることで新しいビジネスチャンスになることを提示しています。テクノロジーを活用した、新しいバリアフリーが実現がせまっているかもしれません。
記事の中で登場する、15のリストを掲載しておきます。
1. 全ての企業にとってデザインがより重要になる
2. 役員や社長もデザイン感覚が必要になる
3. 企業価値にもデザイン力が影響する時代に
4. クリエイティブ性を重要視したオフィス環境
5. 個々のデザイン性よりも全体のエクスペリエンス
6. 独学でデザインを学ぶ必要性が高まる
7. エンジニア経験を持つデザイナーの重要性
8. クリエイティブ/技術職の境界線がどんどん少なくなる
9. デザイナーはデータを理解し活用しなければならない
10. 行動心理学も重要な知識
11. デザイナーと呼ばれなくなる職業
12. 広告やマーケティングがデザインのプロセスの一つになる
13. 少数向けのデザインと大衆向けのデザイン
14. 高齢者向けデザインの重要性
15. デザインに”完成”は無い
詳細が気になる方は下記の記事から。
なぜ「五輪とリエージュのロゴは似てない」と考えるデザイナーが多いのか?
2015年、ベルギーのグラフィックデザイナー、オリビエ・ドビ氏が、自身がデザインしたロゴマークに類似するとしてロゴマークの使用禁止を求めたことから始まったオリンピックのロゴマークの盗用疑惑騒動。そして 2015年9月1日、佐野研二郎氏がデザインした2020年東京オリンピックのエンブレム使用中止が決定しました。
本来行われるべき冷静な議論がなされていない状況の中、THE GUILD代表でUIデザイナーの深津貴之氏がデザインの観点から、この問題を冷静に分析し、2015年9月7日に寄稿した記事です。Facebookでは短期間で7万件以上もシェアされ、デザイン業界と世間一般の「類似性に関するギャップ」についての認識を広めることとなりました。
まずはじめに彼はこの問題の原因を、デザイナーと世間の間にある「類似性のギャップ」と仮定し、このギャップを埋める方法を2つ提示しています。
1つは「デザイナーが市民にわかりやすく説明すること」そしてもう1つは「市民がデザインについて理解すること」でした。
ただ、問題の根本的な責任はデザイン界側にあるとし、その理由を十分な透明性や説明なしに、委譲された権限を行使したからだとも指摘しました。ネット上では背景を考慮しない的外れな議論が多数行われる中、デザインの背景を理解し問題点を整理しながら、冷静な分析を行っている記事として大きく話題となりました。
▷ なぜ「五輪とリエージュのロゴは似てない」と考えるデザイナーが多いのか?
Apple の新フォント San Francisco の秘密
2015年9月17日に、町野 明徳氏がMediumに投稿した記事です。
Apple製品(OS X El CapitanとiOS9)から標準フォントが「Helvetica Neue」から「San Francisco」に変更されました。
ヘルベチカ(Helvetica)は、1957年に、スイス人デザイナーのマクス・ミーディンガー氏とエドゥアルト・ホフマン氏によって作られたサンセリフのローマ字書体。
Yosemite から OS X のシステムフォントが Helvetica に変更された時に、「Helvetica はよくない」という声も少なからず上がっており、その中心となる理由は「Helvetica」は文字のサイズが小さい場合に判読しにくいということにありました。
Apple Watch のような、小さな画面のデバイスでも文字が潰れないようにするための変更であるとみられています。
「Helvetica」はデジタルデバイスが登場する前に作られたフォントであり、「San Francisco」は様々なデバイス上で文章を読みやすくするために作られた「デジタルネイティブ」なフォント。
この記事では、「Helvetica」の弱点から、「San Francisco」の持つ可能性を含め、Appleがフォントを変更した理由のバックグラウンドに迫っています。
▷ Apple の新フォント San Francisco の秘密
最後に
いかがでしたでしょうか?
デザインに関する考えが深まる5つの記事をご紹介しました。今後creiveでは、定期的に話題になったデザインのトレンドをキャッチアップしていきますので、引き続きよろしくお願いいたします。
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