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豊田市、税改正ショック 頼みの法人住民税、半減予想

 昨年末に政府が閣議決定した2016年度の税制改正大綱の影響で、愛知県豊田市の大きな収入になっている法人住民税が、14年度決算額の57%にあたる211億円も減ることが市の試算で分かった。自治体間の税収格差を減らす仕組みが強化されるためで、トヨタ自動車の企業城下町として裕福な豊田市が、一転して大幅な収入不足に陥る恐れが出てきた。

 税制改正では、企業から自治体に支払われる法人住民税の一部を国がいったん徴収(国税化)する割合を増やし、貧しい自治体へ手厚く再分配する。徴収割合は現行の約1割から段階的に5割にまで引き上げられ、貧しい自治体はより多く分配されるようになるが、裕福な自治体は国から取り上げられるばかりで「損」する立場だ。

 さらに、企業の競争力を高める名目で法人税率が下げられ、収入そのものが減る。これを加味して豊田市が試算した結果、14年度決算で全収入の2割に当たる370億円あった法人住民税は、税制改正の影響が最大限出てくる18年度以降、159億円しか入らなくなることが判明した。

 「損」する自治体への負担軽減策として国が新たに交付金を支給するほか、消費税率10%への引き上げで自治体の税収も増える見込みだが、豊田市はそのプラス要素を差し引いても、市の財布(一般会計)の1割に当たる約160億円を失う計算となる。

 かつてリーマン・ショックによるトヨタの業績悪化で豊田市の法人住民税は一時的に激減したが、今回は恒常的に減るだけに市への影響は計り知れない。市幹部は「国税化ショックだ」と危機感を口にする。

 市は廃止できる事業や増収策を挙げるよう各部署に指示し、対策を検討し始めた。ただ市は税収を頼りに豊田スタジアムなど多くの公共施設を整備してきただけに、税収が減れば将来的に維持費などが重くのしかかる恐れがある。

(中日新聞)

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