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【社会】ビキニ被ばく労災認定を 高知元船員ら福竜丸以外の適用求め一九五四年に米国が太平洋のビキニ環礁で実施した水爆実験で、周辺海域で漁船に乗っていて被ばくし、後にがんなどを発症した高知県内の元船員やその遺族ら八人前後が船員保険での救済を求め、二月中に全国健康保険協会に申請する方針であることが分かった。 元船員らを支援する浜松市の聞間元(ききまはじめ)医師が十三日、高知県庁で記者団に明らかにした。実験による被害について長年調査している市民団体「太平洋核被災支援センター」(高知県宿毛市)によると、静岡県焼津市の第五福竜丸以外に、ビキニ実験で被ばくした船の乗組員に対する船員保険の適用例はないという。 聞間医師らによると、高知市の桑野浩(ゆたか)さん(83)ら七、八人で、船員保険による労災認定を目指す。今後、元船員の血液検査の結果のほか、申請に必要な保険記録や医師の診断書などを集めるとしている。同医師らは今月十日以降、元乗組員らと面談し、意向を確認していた。ビキニ水爆実験をめぐっては、二〇一四年九月に厚生労働省が第五福竜丸以外の延べ五百五十六隻(実数四百七十三隻)の検査結果を開示。うち延べ十二隻に一定線量以上の被ばくがあったが「がんなどのリスクが高まるとされる国際基準(一〇〇ミリシーベルト)より大幅に低く、健康被害が生じるレベルを下回っている」と説明している。 <ビキニ水爆実験> 1954年3月1日、米国が太平洋のマーシャル諸島ビキニ環礁で水爆「ブラボー」の実験を実施、住民や周辺海域にいた漁船の日本人乗組員らが被ばくした。爆発でサンゴ礁などが粉々に砕かれて舞い上がり、放射性物質「死の灰」となって風下に降り注いだ。静岡県焼津市のマグロ漁船、第五福竜丸の23人も被ばくし、半年後に無線長久保山愛吉さん=当時(40)=が死亡。補償問題は55年、米側が慰謝料200万ドル(当時7億2000万円)を支払うことで政治決着した。 PR情報
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