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中国の買い占めで国産木炭に脚光 群馬・中之条町の高山林業 リニア、EV、HV向け量産へ
リニアモーターカーや電気自動車(EV)、ハイブリッドカー(HV)などの先端製品の心臓部を支えているのは古風な素材、木炭。還元剤として永久磁石生成に使われているが、世界市場での中国の買い占めで、脚光を浴び始めたのが国産木炭だ。量産体制やコスト面で課題は残るものの、昨年11月には出荷が開始され、利用拡大に期待がかかる。
(前橋支局 久保まりな)
先端技術の粋を集めた心臓部のモーターには、“最強の永久磁石”ネオジム鉄ボロン磁石が使われている。原料のフェロボロンは合金鉄製造の国内トップ、新日本電工が国内で唯一生産し、その生成に木炭は不可欠。中国との争奪戦の中で、同社が白羽の矢を立てたのが、群馬県中之条町の高山林業だ。
「還元剤として炭素が必要なので石炭でも可能ですが、不純物が多く磁力の効果が薄れてしまう」(同社の深澤和生参与・内部統制部長)。還元効率からも木炭が最適という。
同社ではこれまで、工業用木炭を中国や東南アジアから全量輸入していた。しかし、中国が国内での過剰伐採を押さえるために輸出を禁じ、輸入に転じたため、東南アジア産を中心に世界的な供給不足に陥った。