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[FT]インド国鉄、巨大な官僚機構から走り出す改革

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2016/1/13 6:30
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 スレシュ・プラブ氏は1年余り前にインド鉄道相に就いたとき、130万人の従業員とそれ以上の年金受給者、総延長が地球1周半に相当する線路、そして2万1000本の列車を擁する帝国を受け継いだ。

 プラブ氏とインドの双方にとって残念なことに、これほど並外れた規模――インド国鉄より人員が多い組織は数少ないが、一つは中国の人民解放軍だ――には、悪名高い官僚主義が付いてくる。例えば、2等寝台車の洗面所のマグカップを鎖で壁につなげておくべきかどうか決めるのに18カ月かかったし、携帯電話の充電場所に関する決定はヒエラルキーのまさに頂点で下される必要がある。

駅で電車を待つムンバイの通勤者ら。混雑もインドの鉄道の深刻な課題だ=AP

駅で電車を待つムンバイの通勤者ら。混雑もインドの鉄道の深刻な課題だ=AP

 プラブ氏は組織に関する巨大なケーススタディーと呼べる状況にどっぷりつかり、スピードを上げる必要性を認め、「これらは、我々が意思決定を加速しなければならない簡単な問題だ」と言う。多くの人は、彼が前進を遂げることを頼りにしている。「こうした官僚主義を取り除けるのは大臣だけだ」と言うのはアナント・スワループ氏。「鉄道相直轄の市民の不満担当エグゼクティブ・ディレクター」という見事な肩書を持つ高官だ。

 インドが経済の秩序を立て直し、ナレンドラ・モディ首相の「メーク・イン・インディア(インドでものづくりを)」キャンペーンがただのレトリックではなく現実になるためには、インドはインフラを改善する必要がある。だが、鉄道以上に改善を必要としている分野はない。

■世界で最高レベルの運賃

 インドの製造業が競争力を欠く最大の理由の一つは、輸送網の欠点にある。世界銀行のある調査は、インドの物流コストは同行が評価する本来あるべき水準より2倍ないし3倍高いと指摘している。8000本の貨物列車の運行速度は平均わずか時速25キロで、乗客が旅客鉄道を助成するよう意図されていることもあって、世界で最高部類に入る運賃を支払わねばならない。

 「『メーク・イン・インディア』は成長率を加速させ、成長のあり方を変えることができる」とプラブ氏は言う。「我々は効率性を高め、コストを削減しなければならない」

 鉄道の財務状況は悪い。売上高の55%が賃金と手当の形で従業員に回されており(5年前の36%から上昇)、最近のプロジェクトの62%は利益率がマイナスだったからだ。

 「過大な約束がなされ、約束の履行が足りない傾向があった」。モルガン・スタンレーのアナリスト、アクシェイ・ソニ氏は最近こう指摘し、プラブ氏の登場で変化が間もなく訪れる可能性があると主張した。「主に政治的なバラマキのために歴史的に利用されてきた低迷気味の鉄道省に、彼は新しい思考をもたらした」

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