クリニックのWebサイトのブランドチェック10項目

安定した医業経営を維持するために、常に一定の新しい患者さまを獲得し続ける必要があります。以前までは、道路看板、電話帳などの広告が有効でしたが、インターネットが普及した今、患者さまのクリニック選択の方法が変わり、ほとんど効果がなくなりました。

スマートフォンで手早く欲しい情報が得られる今、Webサイト上で患者さまの求める価値を表現できていないクリニックは、たとえ患者さまの自宅や職場から最寄りのクリニックであったとしても選ばれなくなったということです。つまりクリニック経営にとってWebサイトの存在価値は非常に大きくなっているといえるでしょう。

今回は、今あるクリニックのWebサイトを評価するための10項目を紹介します。ぜひWebサイト改善のヒントに活用してください。

1. Webサイトの目的が明確でユーザーが行動をおこしやすくなっているか



クリニックのWebサイトの目的は、多く場合、来院予約や診療の相談をきっかけに新規の患者さまを獲得することでしょう。ユーザーに来院予約、診療相談を行ってもらうためにどのような機能(問い合わせフォームなど)が提供されていますか?その機能はどこのページにいても、すぐに確認できるものですか?

スマートフォンでのアクセスが増えた今、全般的に多くのページを閲覧するユーザーが減ってきています。「連絡先はお問い合わせページに書いてあるから大丈夫」とは思わず、ユーザーがどのページからでも容易にアクションを起こせるような機能を準備するのがいいでしょう。

2. 新規の診療予約やお問い合わせが定期的にきているか



新規の診療予約やお問い合わせがきていないとすれば、Webサイトが有効に機能しているとは考えられません。おそらく、全く更新していないか、更新頻度が少ないWebサイトになっているのではないでしょうか?まずは、見に来てくれたユーザーのことを一番に考え、情報に過不足がないかチェックしましょう。

3. スマートフォンやタブレットで読みやすいデザインになっているか



前のコラムでも述べましたが、アクセス解析をとられているクリニックさまは、スマートフォンからのアクセスの多さを感じておられることでしょう。今やスマートフォンでWebサイトを閲覧する人の方がだんぜん多いのです。
スマートフォンで検索してたどり着いたページが、パソコン版のレイアウトで文字が小さく読みづらいデザインであったとしたら、ユーザーの情報収集意欲を削いでしまいます。コンテンツが読みやすく、指での操作に最適なデザインを提供する必要があるのです。

4. 得意とする治療法が分かりやすく明示されているか



ユーザーは多くの場合、複数のクリニックのWebサイトを閲覧し、その中から選択をします。その時に、どこのWebサイトにも載っているような内容や抽象的な表現しか掲載していないようでは見向きもされません。ユーザーは自分の抱える症状に対して適切な治療を施してくれるだろうと感じるクリニックを選択します。したがって得意とする治療法があれば、それに関してはどこのクリニックにも負けないくらいの情報提供を行うという気構えでコンテンツ制作に取り組みましょう。

5. 同一エリアの競合クリニックWebサイトとの差別化は図れているか



クリニックの種類や地域にもよりますが、首都圏では間違いなく数年前よりも競争が激しくなっています。そんな時代の中では、同一エリアと同等の情報量では不十分で、特定分野だけでよいので競合を圧倒できるコンテンツをつくる必要があると考えます。「◯◯ならこのクリニック」と思われるだけの情報を整備しましょう。

6. メインのターゲットを定めて情報発信しているか



100人に向けて情報発信するのではなく、特定の1人に向けて情報発信した方が、結果的に多くの人に伝わるということは広告の基本です。そのためもメインとなるターゲットを絞り込み、その人にとって心地よく、誠意が伝わるトーンで、ビジュアルデザインや文章表現・内容を考えなければなりません。

7. 院長、スタッフの顔、人柄が見えるコンテンツを用意しているか



全く院内の雰囲気の伝わらないWebサイトでは、ユーザーは不安を感じます。そこに働く人やその想いが、安心、共感に繋がります。写真も素人が手軽に撮ったものでは、逆に悪い印象を与えてしまいかねません。プロのカメラマンに頼むと、もちろんコストはかかりますが、院長、スタッフの人柄をも写真で表現してくれます。撮影はコストではなく投資と考え、プロに頼むようにしましょう。

8. ソーシャルメディアでのお問い合わせ窓口を用意しているか



Facebook、Twitter、LINE、Instagramなどさまざまなソーシャルメディアが流行しており、複数のメディアを使いこなす人も少なくありません。ユーザーにとって使い慣れたメディアにお問い合わせ窓口があれば、最初の敷居もぐっと下げることができます。運用を維持、継続できることが条件になりますが、可能な範囲のソーシャルメディアに対応すべきだと考えます。

9. Webサイトのアクセス状況を定期的に調べているか



アクセスの分析なくして、Webサイトの改善は成し得ません。まずは定期的にアクセス状況を確認する習慣をつくりましょう。ただ、アクセス分析はただトータルのアクセス数や平均滞在時間などを見ていればよいというものではなく専門性の高いものです。知りたいことは、Webサイトに訪れた全ユーザーの平均値ではなく、来院に繋がったユーザーの行動パターンではないでしょうか?来院に繋がったユーザーの行動パターンを把握するにはアクセス解析のどこの数値を見ればよいでしょう?まずは自分で考え、行き詰まりを感じるようであれば専門家に相談しましょう。

10. 意図する検索キーワードでの流入を獲得できているか



アクセス分析の中の一項目で、とても重要なのが「検索キーワード」を知ることです。クリニックの特徴から「こういうキーワードで検索してWebサイトに訪問して欲しい」というキーワードが必ずあるはずです。検索キーワードとは、「ユーザーの悩み事」と置き換えることもできます。その「悩み事」に対する“満足行く答え”がWebサイトに掲載されているかを確認してみてください。

まとめ

クリニックのWebサイトのブランドチェック10項目、いかがでしたか?Webサイトは徹底した患者さま目線で情報を整備する必要があるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。10項目に絞ったことで改善のヒントが考えやすくなっていると思います。インターネットの中で選ばれるクリニックになるには、改善のサイクル(PDCA)をスタートさせ、それを止めないことです。ぜひこの10項目を参考に、改善への取り組みをスタートしてください。


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この記事を書いたのは

今川 正也

今川 正也 いまかわ まさや

Webサイト運用コンサルタントの今川です。クリニックを経営されている皆さまへ、Webサイト運用に役立つコラムをお届けします。