コイニーの月間決済額は24カ月で33倍に急伸、スマホ決済成長の鍵は?
資料提供:コイニー
Twitterの共同創業者、ジャック・ドーシー氏が編み出した「スマホのイヤホンジャックを使ったスワイプガジェット」が決済業界に激震を起こしたのは今からもう8年近く前、2008年のことだ。そんなスマートフォンを活用したモバイル決済の米Squareも昨年末に株式を公開した。IPO時の情報によれば、2015年上半期の売上は約5億6000万ドルに到達している。
この国内版として2012年10月にデビューしたのがコイニーだった。大型の調達や、そのSquareタイプのガジェットに注目が集まり、ローンチ当初は私たちもよく記事を書かせてもらっていたが、昨年はメディアへの露出を大きく減らしていた。
その理由がこれ、つまり地味な事業成長を重ねていたのだ。
コイニーは2015年末時点の月間決済額が、24カ月前に比較して33倍の伸長をしたと本誌取材に答えてくれた。同社代表取締役の佐俣奈緒子さんの話では、まだまだ伸びが予想され、さらに加速しそうということだった。
「伸びの要因は、医療、不動産、自動車というユーザーのクレジットカードニーズが高いけど使われてこなかった業種での営業にフォーカスしたことです。このために、カード会社の既存の審査ルール変更まで行いました」(佐俣さん)。
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使われている用途についてもなかなか興味深い。当初、スマホ決済の主戦場はモバイルという利点を生かした露店や小規模な店舗がイメージされていた。実際、米Squareはやはり小売り関連の事業者が最も多く活用していたようだ。IPO時の記事にはこのように書かれている。
2015年上半期にSquareは5億6050万ドルの売上に対して、7750万ドルの赤字を計上している。2014年の同社のグロスの決済流通額ボリュームは2307億8000万ドルだ。今回の申請で明らかになったこととして、(これは驚くべきことではないのだが)小売業が最も決済流通額が大きく、全体の21%を占めていることがわかった。小売業の決済流通額は、サービス業や飲食業、美容業、業務委託、輸送などを凌いでいる。(記事より引用)
一方コイニーは少しだけ様子が違う。佐俣さんはこのように教えてくれた。
「使われている用途については、医療だと動物病院、歯科、美容外科などの自由診療にあたる項目が多い業種での診察料、不動産は特にリフォーム。これはLIXILと全面的に組んでいます。自動車は粛々と整備向上などと積み上げて、車検の納車時の決済や中古車の決済などに使ってもらっています」(佐俣さん)。
小売り業というよりはもう少し客単価の高い事業者、特に自動車関連に順調に広がりを見せているのは意外だった。
具体的な金額は非公開だったが、この伸びの様子であれば公開される時期も近いかもしれない。国内スマホ決済の元祖がどのような伸びを示すのか、引き続き注視したい。
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