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つながらないホットライン…対中外交間違った?

北朝鮮の「水爆実験」を受け、国家安全保障会議で指示を出す朴槿恵大統領=ソウルで2016年1月6日、AP

 【ソウル大貫智子】北朝鮮の核実験を受け、韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権の中国重視路線がメディアの批判にさらされている。昨年9月、北京での「抗日戦争勝利70周年記念式典」軍事パレードを首脳同士が一緒に参観したことで、中韓両国の「蜜月」ぶりが目立っていたが、核実験後、中国との温度差が表面化したためだ。

     核実験後の8日に行われた電話協議で、韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相が対北朝鮮制裁で協力を求めたのに対し、中国の王毅外相は対話を通じた解決を強調した。また昨年末に設置した中韓両国防相間のホットラインによる協議は、核実験後に韓国側が要請したが、中国からの回答待ちで、結果的には機能しなかった。

     韓国では、北京での軍事パレードの席順などから「中国は北朝鮮よりも韓国を重視している」との楽観的な見方も広がっていたが、冷水を浴びせられた形になった。

     これに対し、韓国の保守系大手紙は「虚構だと明らかになった『歴代最上の韓中関係』」(12日付の朝鮮日報社説)などと、朴政権の対中外交は成果がなかったと批判した。

     韓国外務省報道官は12日、「朴政権の対中外交は失敗との指摘がある」と質問され、北朝鮮の核実験をめぐり中韓間で立場に違いはないと強調したうえで、「韓国と中国との友好的な関係は、朝鮮半島統一の過程で重要な戦略的資産」と述べるなど釈明に追われた。

     峨山(アサン)政策研究院の崔剛(チェガン)副院長は「中国は北朝鮮問題で韓国が望むように動くという期待感が強すぎた」と指摘。ただ、「これを機に韓日の安保協力を進めるべきだが、依然として『中国をあまり刺激すべきでない』という声は根強いだろう」と話し、当面、朴政権は日米韓3カ国の連携を前面に出しつつ、中国重視路線を大きく変えることはないとの考えを示した。

    中韓両国の主なできごと

     1950〜53年 朝鮮戦争 中国は北朝鮮に義勇軍を派遣

     88年 ソウル夏季五輪に中国が正式参加

     91年 韓国と北朝鮮が国連同時加盟

     92年 中韓国交樹立

     2003年 中国が韓国の最大の輸出相手国に

     05年 6カ国協議で北朝鮮の核廃棄などをうたった共同声明採択

     13年 朴槿恵大統領が日本より先に中国を国賓訪問

     14年 習近平国家主席が北朝鮮より先に韓国を国賓訪問

     15年 朴大統領が中国の「抗日戦争勝利70周年記念式典」軍事パレード参観/中韓自由貿易協定発効

     16年 北朝鮮が4回目の核実験

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