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ニホンウナギ どうなる国際的な取り引き規制1月9日 19時27分
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漁獲量の減少傾向が続き、国際機関から絶滅危惧種に指定された「ニホンウナギ」を巡り、資源を守る取り組みが重要になるなか、ことしは、絶滅のおそれがある野生生物の国際的な取引を規制する「ワシントン条約」の会合が予定され、「ニホンウナギ」の規制が議題に上るのかが焦点となります。
「ニホンウナギ」は、この30年間、漁獲量の減少傾向が続いていることなどから、おととし、国際自然保護連合から絶滅危惧種に指定され、資源の保護が課題になっています。こうしたなか、ことしは9月に、南アフリカで、絶滅のおそれがある野生生物の国際的な取引を規制する「ワシントン条約」の会合が3年ぶりに予定され、「ニホンウナギ」の規制が議題に上るのかが焦点となります。
水産庁によりますと、日本で消費されているウナギは、およそ80%を何らかの形で輸入に頼っているため、仮に国際取引が規制されれば、国内のウナギの流通量が大幅に減少するおそれがあります。このため水産庁は、「ワシントン条約での規制は回避したい」という立場をとっていて、国内での自主管理によって養殖できる量を制限しながら、食文化も資源もいずれも守れるようにしたいとしています。
一方、野生生物の国際取引を監視しているNGOは、「規制がないままでは乱獲が進むおそれがある」として国際取引の規制は不可欠だと主張しています。
ことし9月のワシントン条約の会合は、181の国と地域によって開かれ、どこか1つの国か地域がことし4月27日までに提案すれば、「ニホンウナギ」の規制が議題として取り上げられることになります。
国際自然保護連合のメンバーの1人として、「ニホンウナギ」の絶滅危惧種への指定に関わった、中央大学の海部健三助教は、「国際規制の対象となるのか、ならないのかにかかわらず、日本は、ウナギの資源を守る具体的な取り組みを進めていかなければならない時期にきている」と指摘しています。
水産庁によりますと、日本で消費されているウナギは、およそ80%を何らかの形で輸入に頼っているため、仮に国際取引が規制されれば、国内のウナギの流通量が大幅に減少するおそれがあります。このため水産庁は、「ワシントン条約での規制は回避したい」という立場をとっていて、国内での自主管理によって養殖できる量を制限しながら、食文化も資源もいずれも守れるようにしたいとしています。
一方、野生生物の国際取引を監視しているNGOは、「規制がないままでは乱獲が進むおそれがある」として国際取引の規制は不可欠だと主張しています。
ことし9月のワシントン条約の会合は、181の国と地域によって開かれ、どこか1つの国か地域がことし4月27日までに提案すれば、「ニホンウナギ」の規制が議題として取り上げられることになります。
国際自然保護連合のメンバーの1人として、「ニホンウナギ」の絶滅危惧種への指定に関わった、中央大学の海部健三助教は、「国際規制の対象となるのか、ならないのかにかかわらず、日本は、ウナギの資源を守る具体的な取り組みを進めていかなければならない時期にきている」と指摘しています。
ヨーロッパウナギ すでに規制対象
ウナギの国際取引の規制を巡っては、「ヨーロッパウナギ」が、2008年に、国際自然保護連合から絶滅危惧種に指定され、次の年から「ワシントン条約」による国際取引の規制の対象となっています。
「ヨーロッパウナギ」は、当時、中国経由で日本に多く輸出されていたことから、「ワシントン条約」の会合では、EUを代表してドイツがみずから国際取引の規制を提案していました。
「ヨーロッパウナギ」は、当時、中国経由で日本に多く輸出されていたことから、「ワシントン条約」の会合では、EUを代表してドイツがみずから国際取引の規制を提案していました。
ウナギ 不透明な取り引き
水産庁によりますと、日本は、養殖に用いるウナギの稚魚のおよそ半数を海外からの輸入に頼っています。輸入先で最も多いのは、香港で、およそ80%を占めています。
しかし、水産庁や専門家によりますと、香港ではウナギの稚魚の漁はほとんど行われていないため、別の国から香港を経由して日本に輸入されているとみられるということです。この際、原産地の情報はなく、実際の原産地がどこなのかは、明確には分からないということです。
こうした状況について、野生生物の国際取引を監視しているNGOの「トラフィック・イーストアジア・ジャパン」の白石広美さんは、「現在のウナギの取り引きには不透明な部分があり、国際的な取引の規制がないままでは、乱獲が進むおそれがある」と指摘しています。
しかし、水産庁や専門家によりますと、香港ではウナギの稚魚の漁はほとんど行われていないため、別の国から香港を経由して日本に輸入されているとみられるということです。この際、原産地の情報はなく、実際の原産地がどこなのかは、明確には分からないということです。
こうした状況について、野生生物の国際取引を監視しているNGOの「トラフィック・イーストアジア・ジャパン」の白石広美さんは、「現在のウナギの取り引きには不透明な部分があり、国際的な取引の規制がないままでは、乱獲が進むおそれがある」と指摘しています。
この冬から日本独自の自主管理
水産庁は、国際的な取引の規制によらない日本独自の自主管理として、この冬から新たな取り組みを始めています。
水産庁は、ウナギの養殖を新たに国の許可制とし、業者ごとに養殖用の池に入れることができる稚魚の量に上限を定めています。そして、それぞれの業者に池に入れた稚魚の量を、毎月、報告するよう求め、上限を守っているかデータベースで管理する新たな仕組みを作りました。水産庁は、こうした取り組みによって、今シーズンは、国内で養殖される稚魚の量を、2年前と比べておよそ20%減らすことができるとしています。
水産庁の長谷成人次長は、「国際的な取引の規制が行われれば、経済的な影響も大きい。日本としては自主的に取り組むことで、資源を守り、日本の産業も食文化も守っていきたい」と話しています。
水産庁は、ウナギの養殖を新たに国の許可制とし、業者ごとに養殖用の池に入れることができる稚魚の量に上限を定めています。そして、それぞれの業者に池に入れた稚魚の量を、毎月、報告するよう求め、上限を守っているかデータベースで管理する新たな仕組みを作りました。水産庁は、こうした取り組みによって、今シーズンは、国内で養殖される稚魚の量を、2年前と比べておよそ20%減らすことができるとしています。
水産庁の長谷成人次長は、「国際的な取引の規制が行われれば、経済的な影響も大きい。日本としては自主的に取り組むことで、資源を守り、日本の産業も食文化も守っていきたい」と話しています。
生態調査も本格化
「ニホンウナギ」の稚魚は、毎年1月ごろ、日本周辺の沿岸にたどり着き、漁の最盛期を迎えます。これに合わせて、「ニホンウナギ」の生態を調べる研究者の調査も本格化しています。
このうち、神奈川県平塚市の相模川の河口付近では9日未明、北里大学などのグループが、「ニホンウナギ」の稚魚の調査を行いました。グループでは、水中にライトを入れて明かりで誘い、稚魚を網ですくって調べていました。
「ニホンウナギ」を巡っては、おととし、国際機関から絶滅危惧種に指定されたものの、詳しい生態や生息数は分かっておらず、今後の保護の在り方を検討するために、現在、北里大学など日本と台湾の研究者が協力して、日本と台湾の合わせて10か所で生態調査を進めています。
北里大学海洋生命科学部の吉永龍起准教授は、「ニホンウナギの資源が減っていることは間違いないが、本当の実態や原因は明確には分かっていない。これまでは、漁獲量を通じるしか資源の動向を知る方法がなく、研究者が協力して科学的により詳しく実態の把握を進める必要がある」と話しています。
このうち、神奈川県平塚市の相模川の河口付近では9日未明、北里大学などのグループが、「ニホンウナギ」の稚魚の調査を行いました。グループでは、水中にライトを入れて明かりで誘い、稚魚を網ですくって調べていました。
「ニホンウナギ」を巡っては、おととし、国際機関から絶滅危惧種に指定されたものの、詳しい生態や生息数は分かっておらず、今後の保護の在り方を検討するために、現在、北里大学など日本と台湾の研究者が協力して、日本と台湾の合わせて10か所で生態調査を進めています。
北里大学海洋生命科学部の吉永龍起准教授は、「ニホンウナギの資源が減っていることは間違いないが、本当の実態や原因は明確には分かっていない。これまでは、漁獲量を通じるしか資源の動向を知る方法がなく、研究者が協力して科学的により詳しく実態の把握を進める必要がある」と話しています。