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韓国が対抗措置 北朝鮮向け宣伝放送をきょう再開
1月8日 4時25分

韓国が対抗措置 北朝鮮向け宣伝放送をきょう再開
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北朝鮮が核実験を行ったことへの対抗措置として、韓国政府は8日正午から、軍事境界線の近くで大音量のスピーカーを使って北朝鮮向けの宣伝放送を再開します。韓国軍は北朝鮮側がスピーカーに向けた砲撃など強く反発する可能性もあるとみて、最高レベルの警戒態勢をとっています。
北朝鮮が核実験を行ったことについて、韓国大統領府は7日、対抗措置として北朝鮮向けの宣伝放送を8日正午から再開すると発表しました。
宣伝放送は、南北の軍事境界線の近くに設置した大音量のスピーカーを使って、韓国のニュースや音楽それに人権の重要性などを北朝鮮の住民や軍人に伝え、韓国がより発展していることをアピールするものです。
去年8月、北朝鮮が非武装地帯に埋めた地雷が爆発して韓国軍兵士が大けがをしたことをきっかけに、韓国政府が11年ぶりに再開しましたが、その後中断していました。
放送が再開されれば、北朝鮮指導部は宣伝放送によって北朝鮮内部の結束が乱れることを懸念していて、強く反発すると見られます。
韓国軍は、北朝鮮軍がスピーカーに向けた砲撃など強硬な行動を起こす可能性も排除できないとみていて、軍事境界線近くの地域に兵器や兵士を配備するなど、最高レベルの警戒態勢をとっています。

北朝鮮向け宣伝放送 これまでの経緯

北朝鮮に対する宣伝放送は、南北の間で交流が活発化した際に回数が減り、その後、南北の軍の将官級会談で非難放送を含む宣伝活動を全面的に中止することで合意していました。
しかし去年8月、北朝鮮が非武装地帯に埋めた地雷が爆発して韓国軍の兵士2人が大けがをしたことをきっかけに、パク・クネ(朴槿恵)政権が11年ぶりに放送を再開しました。
これに対して北朝鮮は強く反発し、放送をやめなければ「軍事的行動を開始する」と通告したうえ、前線地帯でいつでも戦闘が可能な警戒態勢をとる「準戦時状態」に入るなど緊張が高まりました。
しかし、その後、南北の高位級の会談で北朝鮮による挑発などを意味する非正常な事態が発生しない限り、宣伝放送を中断することで合意していました。

宣伝放送再開 市民には賛否

韓国政府が北朝鮮向けの宣伝放送を8日正午から再開することを決めたことについて、韓国の市民からは評価する意見が多い一方で、もっと慎重に対応するべきだとの声も聞かれました。
60代の男性は「北朝鮮に弱い姿勢を見せると、何をしても大丈夫だと思われるのでとてもいいことだと思います」と話し、宣伝放送の再開を評価していました。また、30代の女性も「韓国が何もしなければ北朝鮮はまた何かするので、姿勢を見せなければならないと思います」と話し、韓国政府が強い姿勢を示すことを評価しました。
一方で、60代の男性は「宣伝放送の再開は短期的にはいいことですが、長期間行われることになると、緊張が高まることに対して国民の間にも不安が高まってしまうだろう」と話していたほか、20代の女性は「北朝鮮の挑発に簡単に乗らないで、強硬策より懐柔策を使って対応して欲しいです」と話し、韓国政府に慎重な対応を求める声もありました。

国連報道官 双方に冷静な対応呼びかけ

韓国政府が北朝鮮向けの宣伝放送を8日正午から再開することを決めたことについて、国連のデュジャリック報道官は7日の記者会見で、「韓国と北朝鮮が歩み寄り、緊張を高めないことを望む」と述べ、双方に冷静な対応を呼びかけました。

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