みなさんも経験がありませんか?つい、うっかりして、通勤電車やバスの中、飲食店など、さまざまな場所で落し物をすることがあります。平成26年度、警視庁には約357万件もの落とし物(遺失物)が届けられたそうです。
落とし物のベスト3は何だと思いますか?
1位:衣類(56万枚)
2位:傘(39万本)
3位:証明書類(34万枚)
大量に届けられる落とし物の中には、珍しいものもあるようです。
杖・入れ歯・補聴器
きっと、お年寄りによる落とし物なのだろう。日常的に使われる物であるため、早々に持ち主の元へ戻されることが望まれる。
拳銃
所持禁止物品という落とし物には、拳銃、刀、覚せい剤が並ぶが、申し出れば即座に逮捕されるため、持ち主はまず名乗り出ることはなさそうだ。
ちなみに北海道警察の落とし物ホームページには、都市部でもライフルや散弾銃の落とし物が並ぶ。おそらく狩猟の際の落とし物なのだろう。
飼い主の分からない迷子のペット
「くび輪やかん札がある場合」又は「拾われる前まで飼われていたと思われる場合」については、飼い主の調査をしますので、今までどおり交番や警察署へ届けてください。
そして、一番珍しいものが「遺骨」
JR構内での落とし物の中で「遺骨」が多いというニュースを聞いたことがあります。遺骨を電車の網棚の上に忘れる・・・、という状況はいかがなものでしょうか?
警察に届けられた遺骨は保管期間3ヶ月以内に落とし主が名乗り出ることはほとんどなく、寺などに引き取られている。自治体が預かる無縁仏の遺骨も急増している。
このような状況を小谷みどり・第一生命経済研究所主任研究員は、「納骨はお金がかかるし、無縁仏を受け入れてくれるお寺を探すのも手間がかかるので、意図的に『落し物』にしたのだろう。
合葬墓や散骨など、墓を守らなくても故人を供養できる仕組みがあるのに、こうした引き取り手のない遺骨が増えているのは、少子化や核家族化で遺骨の継承が難しくなり、お骨への思い入れが減っていることの表れかもしれない」
意図的に落し物にするとは・・・世知辛い世の中ですね。
うっかり落とし物をしたら、どうする?
まず、近くの警察署、交番、駐在所に「遺失届」を出しましょう。
◆警察署の管轄は問わず、どこの警察署、交番、駐在所にも届け出が可能です。
◆電話での届け出も可能です。近くの警察署の「会計課」宛に電話をしましょう。
◆電車、バス内、駅、飲食店、建物の中で落とし物をしたと思われる時は、その施設を管理しているところにも問い合わせをしましょう。(※駅やデパートなどでは、届けられた落とし物を一時保管し7日以内に警察署に届け出をだすことになっています)
◆クレジットカード、銀行のキャッシュカードを含む財布ごと落とした場合は、カード会社や銀行にも必ず連絡をしましょう。
警視庁のHPから「落とし物検索」が利用できます
こちらの警視庁のHPからご利用願います
落とし物を拾ったら、どうする?
その落とし物を、すみやかに落とし主に返還するか、警察署または交番に届けてください。拾った日から7日以内に届け出をしないと、落とし主が分かったときに報労金(お礼)を受け取る権利や、落とし主が分からなかったときにその落し物をもらう権利(所有権)がなくなります。
(※落とし物に、持ち主の連絡先や名刺などが入っている場合、なるべく速やかに連絡をしましょう。)
遺失物法が改正されました
落とし主がわからない、又は取りに来なかった落とし物が、拾い主のものになる期間は6か月から3か月になりました。そのため、警察での保管期間も6か月から3か月となり、落とし主が落とし物などを探せる期間も3か月になりました。
拾い主による、落とし物の引取り期間は権利が発生してから2か月間です。警察から落とし物の引取りについて、改めて通知はしないため「拾得物件預り書」や「お知らせハガキ」を大切に保管してください。
※万が一、落とし主が現れなかった場合、3ヶ月の期限を過ぎると、所有権が届け主に移転します。その後、2か月以内に必ず受け取りに行きましょう。
落とし主は、拾い主に対して謝礼をする義務がある?
法的には遺失物法28条1項に定めがあり、落とし物の返還を受ける場合、拾い主に対して5~20%のお金(報労金)を支払うことになっています。
また、なんと「落とし物の保管費用」などについても支払う必要があります。現実には報労金を請求されない場合も多いですが、それはあくまで拾い主の好意であって、法的には報労金を支払う「義務」があるのです。
落とし物を拾って届けてくれた人には、義務と言うより感謝の気持ちを表すために「報労金」は気持ちよく渡したいですね。