合法的に入手したと認証された象牙に限って販売などを認める日本の登録制度を所管する政府の指定機関の担当者が、登録をせずに象牙を売るにはどうしたらいいかを指南したとの調査結果を、米国の環境保護団体「環境調査エージェンシー(EIA)」が12日までにまとめた。
EIAは、販売業者の間にも不正が横行しているとの結果も公表。「抜け穴が多い日本の制度が、密猟による違法象牙が流通する温床になっている」と指摘した。
日本では、印鑑などに加工される前の「全形を保持した象牙」について、財団法人の自然環境研究センター(JWRC)が、1989年の国際取引禁止前に入手したものだと証明されたものなどについて登録票を発行。これがあれば合法品として販売できる。
象牙の所有者を装ったEIAの覆面調査員が昨年、JWRCの担当者に相談。規制後に入手し、全形をとどめているが一部に彫刻がある象牙について、登録票なしで売れるかどうかを相談したところ、担当者は「彫刻があって全形を保持していないと警察などに言い切っていただくんですね」などと、登録票なしで売る場合の言い逃れ方を教えた。EIAはこうした会話の録音を公表した。
また昨年夏に、調査員が「規制後に入手した登録票がない象牙を売りたい」との虚偽の商談を取引業者に持ちかけたところ、対象にした37業者のうち11業者が「外部に一切漏らさないことにして」などと言って無登録象牙を購入する意向を表明。19の業者が「文章はうそを書くのです」などと虚偽登録の方法を指南したという。
EIAはワシントン条約の委員会が開かれているジュネーブで12日に記者会見し、詳しい調査結果を発表する。
丸川珠代環境相は12日の閣議後の記者会見で、「自然環境研究センターの対応について精査し、問題のある対応がなかったか確認している。問題があれば適切に処理したい」と述べた。〔共同〕
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