宮城沿岸部、人口3.5%減…住宅再建遅れ
宮城県は12日、東日本大震災後初となる国勢調査の速報値(昨年10月1日現在)を公表した。沿岸部の14市町と仙台市若林、宮城野両区の人口は5年前の前回調査より3.5%減少し、津波による被害と復興の遅れの影響が表れた。中でも女川町は37.0%(3717人)減で、原発避難自治体を除く震災被災地で最大の減少率となった。
女川町は37%減
県全体でも1万3950人(0.6%)減の233万4215人と過去最大の減少率となった。女川町に次いで減少率が大きいのは、南三陸町29.0%(5054人)▽山元町26.3%(4390人)。減少人数が多いのは石巻市1万3590人(8.5%)▽気仙沼市8572人(11.7%)で、いずれも沿岸部だった。一方、仙台市は復興工事関係者の拠点となっていることや避難者の流入などにより、沿岸部の若林、宮城野両区も含めて増加傾向となり市全体で3.5%増だった。
村井嘉浩知事は12日の記者会見で「復興需要が落ち着けば、人口減少に拍車がかかる。対策を取らないと県が衰退する」と危機感を示した。
女川町は町民の1割近くが津波の犠牲となり、住宅の約7割が全壊した。須田善明町長は人口大幅減の理由を「平地がなく造成が必要だったため、宅地や住宅の供給が他の自治体より半年から1年遅れたから」と話した。ただ今後は復興とともに町に戻る人が増えるとの見通しを示し、「町外から来る人を増やすなどコンパクトでも活力ある町は作れる」と述べた。【川口裕之、百武信幸】