昨季限りで現役を引退した元中日の山本昌氏(50)が12日、都内で開催された新人研修会に出席。「先輩プロ野球選手からプロ野球の後輩へ」のテーマで講師を務めた。
山本氏が入団したのは32年前と、ルーキーたちが生まれるはるか昔だったこともあり、まずは自らの球歴を紹介。プロ5年目に開花した苦労話が終盤に差しかかると、少しずつ“本題”へとシフトしていった。
走り込みの大切さや「ナイターになるとボールが速く、捕手が小さく見える。カクテル光線でサインも見づらい。特に投手は『ナイター慣れ』することが大事」はまだ序章。「多分、6年後ここにいる3分の1はいないでしょう」と言い切ると、「初めて給料が何十万も出て、舞い上がっていろいろするよりも…。思ったよりも時間はないよ。5年という時間は意外と早く来ますよ」と警鐘を鳴らした。
ここから「一軍と二軍の差は『平均点』の差。調子の悪いときにいかに力を出すかがプロ野球選手」「晩年、40歳からは『何が普通なのか』を意識した。厳しさと向き合う方法は『仕方ない。これが普通なんだ』と思うこと」と金言が続々。そして最後、「これは監督、コーチには言ってほしくない」と前置きしつつ飛び出したのが、「まともにキャンプを過ごしたら壊れます。どこかで抜いて要領よくやらないと」と“手抜きのススメ”だった。
これも「絶対に無理をしてはいけない」という意味の裏返し。「まだ君たちはアテにされてはいないし、すべての選手が一軍に来てもらえたら儲けものと(首脳陣は)思っている。大事なのはキャンプが終わったあとの1か月。ここでケガなく実戦ができたら、みんなそこそこ通用します」と、32年間戦い抜いたノウハウを現実的な視点で説いた。
「みんなのこと、応援しています」と、穏やかな笑みで締めくくったレジェンド左腕。ルーキーたちのまなざしも真剣そのものだった。
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