竹下 それだけ責任を感じていたんだと思います。私も心が折れそうになったことがありました。
特に、最終問題で賞金を10万円に届かせるため、出場者の方があえてはらさんではなく、倍率の高い私に賭けてきたときは、ものすごいプレッシャーでした。
巨泉 僕はそれがわかって倍率を付けていた。はらクンを2倍、景子ちゃんを4倍にしたら、最終問題はオッズが倍になるから、4倍と8倍でしょう。「倍率ドン」、「さらに倍!」と言いながら、「景子ちゃんに3本来るな」と思ったときは、最低2本は来たね。
竹下 そういうときに限って、外してしまうんですよね。
自分の持ち点がゼロになってご褒美がもらえないのはいっこうに構わないけれど、出場者が学生さんで「部の活動費の足しにしたいんです」とすがるような目で賭けてくれたときなどは申し訳なくて……。番組が終わった後、一人楽屋で泣いたこともありました。
副島 長山藍子さんも21問連続不正解だったときに涙を流されていました。それがちょうどCMに入ったときだったのですが、さすがの女優魂ですね。鼻をすすりながら「あら、せっかくなら本番中に泣けばよかったわ」って。
たかがクイズ番組と思わず、景子さんも、藍子さんも本気でやってくれたのが嬉しかったです。
竹下 現場にはいつも良い意味での緊張感がありましたから。『クイズダービー』は収録でしたが、一切編集はなし。「ごめんなさい、もう一回」と私たち解答者も絶対に言わないし、現場のスタッフさんも言わなかった。
毎回TBSホールには抽選で当たったお客さんが詰めかけ、ライブのような感じで巨泉さんが司会進行をしていく。手を抜くということはなかったですね。
副島 最後は5、4、3……とかならずスタッフが秒を読み、巨泉さんの「それではみなさんごきげんよう。また来週」で終わっていました。
巨泉 やっぱり生と同じように録る良さはあるよね。編集した番組とはリズムがまったく変わってくる。あと、『クイズダービー』の良さは、やらせを一貫して排除したことだね。僕は、「八百長じゃないか」と言われないように一番気をつけていました。
「はらたいらは事前に問題を知っているんじゃないか」、「3択は景子ちゃんに答えを教えてるんじゃないか」と言われていたから。司会の僕だって問題を見るのは、いつも収録の直前。15分ぐらい前に自分で解きながら問題に目を通し、オッズもそのときにパッと決めていた。それなら答えを教えようがない。
竹下 私が受けた質問の中で一番多かったのも「台本は無いんですか?」。やっぱりみなさん、そういう目でご覧になっていたようです。
副島 でも、誰にも問題は教えませんでした。和田アキ子さんがゲスト解答者で出演されたとき、「問題を教えろ!」と首を絞められた作家がいましたが、それでも断ったそうです(笑)。解答者として出演した日本社会党の元委員長、佐々木更三さんも「教えてくれないのか」と驚いていました。
八百長を疑われたけれど…
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