ニュース詳細
東日本大震災で被災の3県 沿岸部の人口減少進む1月12日 18時25分
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東日本大震災の被災地、宮城、岩手、福島の3県の国勢調査の速報値が12日までに出そろい、東日本大震災や原発事故の影響で、いずれの県でも震災前に行われた前回の調査に比べて、沿岸部の多くの自治体で人口が減少していることが明らかになりました。
国勢調査は、人口や世帯数などを調べるため5年に1度行われていて、今回は東日本大震災のあと初めてとなります。
12日までに3県が発表した速報値によりますと、去年10月1日現在の人口は、宮城県が233万4215人と、震災が起きる前の平成22年10月に行われた前回調査に比べて0.6%減ったほか、岩手県が127万9814人と、3.8%、福島県が191万3606人と、5.7%、それぞれ前回より減少しました。
人口の減少率を市町村別に見てみますと、宮城県では女川町が37%と最も高くなったほか、岩手県では大槌町が23.2%と最も高く、震災の津波で甚大な被害を受けた多くの自治体で、人口の流出が深刻化していることを示しています。
一方、福島県では、全域に避難指示が出ていて、「準備宿泊」の人などを除くと人口がゼロとなっている自治体以外では、去年9月にほぼ全域に出されていた避難指示が解除されたばかりの楢葉町が87.3%と減少率が最も高くなっています。続いて、おととし10月に一部で避難指示が解除された川内村が28.3%となっていて、長期にわたって避難指示が続いていた自治体で、人口減少の割合が高くなっています。
12日までに3県が発表した速報値によりますと、去年10月1日現在の人口は、宮城県が233万4215人と、震災が起きる前の平成22年10月に行われた前回調査に比べて0.6%減ったほか、岩手県が127万9814人と、3.8%、福島県が191万3606人と、5.7%、それぞれ前回より減少しました。
人口の減少率を市町村別に見てみますと、宮城県では女川町が37%と最も高くなったほか、岩手県では大槌町が23.2%と最も高く、震災の津波で甚大な被害を受けた多くの自治体で、人口の流出が深刻化していることを示しています。
一方、福島県では、全域に避難指示が出ていて、「準備宿泊」の人などを除くと人口がゼロとなっている自治体以外では、去年9月にほぼ全域に出されていた避難指示が解除されたばかりの楢葉町が87.3%と減少率が最も高くなっています。続いて、おととし10月に一部で避難指示が解除された川内村が28.3%となっていて、長期にわたって避難指示が続いていた自治体で、人口減少の割合が高くなっています。
仙台周辺に人口流入の傾向
前回調査に比べて0.6%、人口が減少した宮城県では、仙台市を除く沿岸部の14の市と町では減少率が6%に上り、津波で被災した沿岸部で人口流出が深刻化していることを示しています。
一方、大和町では前回より13.5%人口が増えたほか、富谷町は9.7%、仙台市も3.5%、それぞれ人口が増加し、仙台市やその周辺の自治体に人口が流入する傾向にあることが分かります。
今回の結果について、宮城県の村井知事は「仙台市周辺に、人を引きつけるマグネットの役割を果たしてもらいながら、県全体の人口を増やす施策をとることが大切だ。県外に避難した人も一定数いると見られ、そうした人たちにも戻ってもらえるよう取り組みたい」と話しています。
一方、大和町では前回より13.5%人口が増えたほか、富谷町は9.7%、仙台市も3.5%、それぞれ人口が増加し、仙台市やその周辺の自治体に人口が流入する傾向にあることが分かります。
今回の結果について、宮城県の村井知事は「仙台市周辺に、人を引きつけるマグネットの役割を果たしてもらいながら、県全体の人口を増やす施策をとることが大切だ。県外に避難した人も一定数いると見られ、そうした人たちにも戻ってもらえるよう取り組みたい」と話しています。
人口減少の町 今とこれから
宮城県山元町は、東日本大震災の津波で町の面積のおよそ3分の1が浸水して636人が犠牲になり、2200棟余りの住宅が全壊する被害を受けました。
震災のあと、沿岸から最大で2キロの範囲が、住宅を新築する際などに制限がかかる「災害危険区域」に指定されました。また、町内を通るJR常磐線は1キロほど内陸に移設する工事が進められ、今も運休したままです。
震災後、町を離れる人が相次いでいて、かつてJRの駅があり、その周辺に町内で最も大きな住宅街が広がっていた地域には今、空き地が目立っています。
こうしたことから、今回発表された町の人口は1万2314人と、震災の前に行われた前回の調査に比べて4400人近く減り、減少率は前回の人口のおよそ4分の1にあたる26%に達しました。
かつての駅の近くに住む女性は「近所の人もいなくなり寂しいです。電車がないので生活していくにはかなり不便になりました」と話していました。また、かつての駅の近くで、ただ1つ残ったスーパーを営む男性は「店の売り上げは震災前の半分以下です。駅もなくなり暮らしている人の人数が減っているので必然的に減りました」と話していました。
この人口減少は、町の財政に深刻な影響を及ぼしています。税収は震災の前より2割ほど減り、今年度は基金を7億円ほど取り崩してやりくりしています。
人口減少に歯止めをかけようと、町はおととし対策本部を設置し、大規模な子育て支援施設を建設したり子育て世代に補助金を出したりして、若い世代の受け入れを増やそうとしています。しかし、今回の国勢調査の結果を踏まえ、人口に応じて支払われる国からの地方交付税が大きく減ることになれば、再来年度には基金が底を尽く見通しで、町は危機感を募らせています。
山元町の後藤正樹企画財政課長は「震災の影響が甚大だったことを改めて実感しました。町の魅力を県内外にアピールして地域を活性化していかなければならない」と話していました。
震災のあと、沿岸から最大で2キロの範囲が、住宅を新築する際などに制限がかかる「災害危険区域」に指定されました。また、町内を通るJR常磐線は1キロほど内陸に移設する工事が進められ、今も運休したままです。
震災後、町を離れる人が相次いでいて、かつてJRの駅があり、その周辺に町内で最も大きな住宅街が広がっていた地域には今、空き地が目立っています。
こうしたことから、今回発表された町の人口は1万2314人と、震災の前に行われた前回の調査に比べて4400人近く減り、減少率は前回の人口のおよそ4分の1にあたる26%に達しました。
かつての駅の近くに住む女性は「近所の人もいなくなり寂しいです。電車がないので生活していくにはかなり不便になりました」と話していました。また、かつての駅の近くで、ただ1つ残ったスーパーを営む男性は「店の売り上げは震災前の半分以下です。駅もなくなり暮らしている人の人数が減っているので必然的に減りました」と話していました。
この人口減少は、町の財政に深刻な影響を及ぼしています。税収は震災の前より2割ほど減り、今年度は基金を7億円ほど取り崩してやりくりしています。
人口減少に歯止めをかけようと、町はおととし対策本部を設置し、大規模な子育て支援施設を建設したり子育て世代に補助金を出したりして、若い世代の受け入れを増やそうとしています。しかし、今回の国勢調査の結果を踏まえ、人口に応じて支払われる国からの地方交付税が大きく減ることになれば、再来年度には基金が底を尽く見通しで、町は危機感を募らせています。
山元町の後藤正樹企画財政課長は「震災の影響が甚大だったことを改めて実感しました。町の魅力を県内外にアピールして地域を活性化していかなければならない」と話していました。
人口増加の町 今後は
宮城県富谷町は震災の前に行われた前回の調査からおよそ4500人増加し、初めて5万人を超えました。
仙台市の北隣に位置し、仙台市のベッドタウンとして昭和40年代から住宅団地の開発が進んできました。東日本大震災のあとは、沿岸部から移り住む人も増えています。
人口の増加に対応しようと、去年の春には、町内で8番目となる小学校が新たに開校し、来年にかけては保育園も2つオープンする予定です。増え続ける人口を見込んで、大型のショッピングセンターが次々に進出し、それが、生活のしやすさにつながって、若い世代の町への流入が加速していて、町民の平均年齢は39.2歳と、県内で最も若くなっています。
今回の調査で人口が5万人を超えたことで、富谷町はことし10月に単独で市に移行する予定で、準備作業を急ピッチで進めています。ただ、比較的早く開発された団地では高齢化も進んでいて、市に移行したあとは、企業誘致や雇用の充実を進め、仙台市のベッドタウンから脱却することが求められています。
富谷町の若生裕俊町長は「これまでは仙台のベッドタウンで人口が増えてきたが、人口増が止まって現役世代も減少すれば財政基盤が弱くなる。市制移行後は、将来の人口を見据えて商工業の充実や雇用の創出など地方創生を進めていく必要がある」と話しています。
仙台市の北隣に位置し、仙台市のベッドタウンとして昭和40年代から住宅団地の開発が進んできました。東日本大震災のあとは、沿岸部から移り住む人も増えています。
人口の増加に対応しようと、去年の春には、町内で8番目となる小学校が新たに開校し、来年にかけては保育園も2つオープンする予定です。増え続ける人口を見込んで、大型のショッピングセンターが次々に進出し、それが、生活のしやすさにつながって、若い世代の町への流入が加速していて、町民の平均年齢は39.2歳と、県内で最も若くなっています。
今回の調査で人口が5万人を超えたことで、富谷町はことし10月に単独で市に移行する予定で、準備作業を急ピッチで進めています。ただ、比較的早く開発された団地では高齢化も進んでいて、市に移行したあとは、企業誘致や雇用の充実を進め、仙台市のベッドタウンから脱却することが求められています。
富谷町の若生裕俊町長は「これまでは仙台のベッドタウンで人口が増えてきたが、人口増が止まって現役世代も減少すれば財政基盤が弱くなる。市制移行後は、将来の人口を見据えて商工業の充実や雇用の創出など地方創生を進めていく必要がある」と話しています。