「ほんまに助かるわ!」
特別清掃事業 “生きがいの場”の役割果たす
大阪市西成区あいりん地区
特掃は、地区内の55歳以上の高齢日雇い労働者を対象に就労機会を提供する事業で、道路清掃や草刈り、保育所遊具のペンキ塗りなどの作業を実施している。輪番登録制で登録者は1550人。作業日数は1人当たり月5回で、日給は5700円だ。
「ほんまに助かるわ!」。清掃を終えた男性(68)はすがすがしい表情でこう語る。特掃に参加して5年半。普段は、同NPOが市から委託を受けて運営する「シェルター」(緊急的な一時宿泊所)で生活しているが、「お金が入ったら、簡易宿泊所に泊まるつもりや」と言って笑顔を見せた。
「働くことで社会参加する。それが社会の一員としてベターだし、健康的で人間的な生活が送れる」。同NPOの山田實理事長は、就労による自立支援の重要性をこう強調する。また同NPOでは「大事なことは、ただ働くだけではなく、健康面も支えて自立した生活ができるかどうか」だとして、登録者の健康診断も実施している。毎朝血圧を測る習慣がついた登録者もいて、健康管理の意識も向上しているという。
そして、山田理事長は「ホームレスに限らず、スキル(技能)が高くないと雇用されない時代になっている。結果として、高齢者や無技能者などが吐き出されていく」と厳しい現状を指摘すると同時に、「根本的な自立支援のため、今後は、そうした人も対応できる新しい雇用の仕組みが必要だ」と強調していた。
1万人切ったホームレス数
高齢化や若年化 新たな課題も浮き彫りに
安定した雇用の場の確保やホームレス化の防止といった、ホームレスの自立の支援などに係る総合的な施策の策定と実施に関する国の責務を明確にしたホームレス自立支援法は、2002年に10年間の時限立法として成立。今年8月に期限切れの予定だったが、継続支援が必要との認識から5年間の延長が決定した。
この間、全国のホームレス数は減少を続け、厚生労働省の概数調査では9576人(今年1月現在)となり、1万人を切った。減少理由については、同法に基づき、各自治体ごとにシェルターや、一定期間入所して就労による自立をめざす「ホームレス自立支援センター」の設置が進んだほか、釜ヶ崎支援機構など民間支援団体の取り組みが「一定の効果を挙げた」(同省社会・援護局の金子雄一郎課長補佐)と分析している。
加えて、ホームレスの気質変化も浮き彫りになっている。西成区にある「自立支援センター西成」の担当者は「若年層の中には、仕事に対する執着がなかったり、人間関係を形成するのが苦手な利用者も見受けられる」と語る。同センターには現在34人が入所して自立に向けて努力しているが、「今後は若年層や気質の変化への対応が求められる」と指摘する。
今後、同法延長と合わせ、生活実態調査も参考に基本方針の見直しを進めることとしており、金子課長補佐は「引き続き支援策を推進していきたい」と語っている。
公明、ホームレス支援を一貫してリード
公明党は、他党に先駆け国会で初めてホームレス問題を取り上げるなど一貫して支援策の推進に取り組んできた。
ホームレス自立支援法についても、党内にプロジェクトチーム(PT)を立ち上げて検討を実施。法案作成段階から中心的な役割を果たすなど、制定を力強くリードしてきた。また、今年8月に同法の期限を迎えるに当たり、再び、党内にホームレス自立支援PT(佐藤茂樹座長=衆院議員)を立ち上げ、関係団体と今後の支援の在り方について意見交換を重ねるなど、同法延長に向け尽力してきた。
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