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【大相撲】

御嶽海が先輩・遠藤に恩返し

2016年1月12日 紙面から

御嶽海(右)が押し倒しで遠藤を破る=両国国技館で(冨永豊撮影)

写真

◇初場所<2日目>

(11日・両国国技館)

 ファン待望の御嶽海(23)=出羽海=と遠藤(25)=追手風=の北信越勢ホープ初対決は、御嶽海があっさりと押し倒した。当初の声援は遠藤の方が大きかったが、御嶽海が現在の勢いの差を見せつけた。一方の遠藤は、両足けがの深刻さをうかがわせた。2場所連続8度目の優勝を目指す横綱日馬富士は、平幕松鳳山の逆転のすくい投げに屈し初黒星。横綱白鵬は安美錦を、横綱鶴竜は宝富士をともに押し出して、2連勝とした。

 スピード出世で番付を駆け上がってきた若手注目株同士の一番に、自然と力が入った。御嶽海が控えで待っていると、前の2番に連続で物言いがついた。土俵に上がる直前、気持ちを奮い立たせようと声を出す。「ワーッ!」。切れかけた集中力を再び高めた。

 館内に飛び交う声援は、遠藤に軍配が上がった。だが、土俵では真逆の展開が待っていた。立ち合いで張られても御嶽海は冷静さを失わない。右のど輪の一撃で遠藤をのけ反らせて難なく押し倒した。「平常心で行ったつもりでしたけど、アマチュア(相撲)の先輩なんでちょっと力は入りました」

 入門するきっかけになった学生相撲の先輩との対戦だった。長野県出身の御嶽海は石川県出身の遠藤と同じ北信越ブロック。「向こうは小学校からエリート。強くてイケメンだった」。同じ地域ながら初対戦は大学時代で、通算2勝3敗。2012年の全日本選手権準決勝で負けて以来の顔合わせだったが「強かったですよ。でも前に出る強さを成長したところとして見せられたと思う」と“恩返し”できて胸を張った。

 注目の対戦に平幕では最多となる懸賞15本(手取り45万円)を右手でガッチリ受け取った。経験したことのない懸賞の数に「気合が入りました。練習したんですよ。こうやって(片手で)取るか、両手で取るか。シチュエーションを考えて」。予行演習のかいもあった。

 帰り際、人気者を倒した23歳は写真やサインを求めるファンに囲まれた。「自分の相撲を取って少しでも上に上がっていきたい」。さらなる出世と人気で先輩を逆転する日も近そうだ。 (永井響太)

 

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