北朝鮮の核問題への対応において、中国が韓国の希望通り動くことを期待するのはもちろん最初から無理だ。中国が北朝鮮に厳しい圧力を加えるのは現実的に難しいことも韓国はよく理解している。しかし電話での首脳会談や国防相会談さえ応じないという中国の態度は、外交関係の常識に大きく反すると言わざるを得ない。昨年9月、朴大統領は欧米諸国から冷たい視線を浴びながらも、中国で行われた戦勝節記念行事に出席し、これによって韓中関係は一時大きく好転し関係も深まるかと思われたが、これも今回完全に無為に帰してしまった。
問題は状況によって簡単に右往左往する韓国外交部の識見の無さだ。尹長官は昨年7月、当時の韓中関係について「歴史上で最高」と語り「米国と中国の双方からラブコールを受けるのは祝福だ」とも発言した。ところが実際に危機的状況に直面すると、韓国と中国の間には越えられない大きな壁がある事実があらためて突き付けられた。外交政策の責任者が「歴史上で最高」と自慢げに語った言葉が、わずか数カ月後にはむなしい戯言になってしまったのだ。日本との関係も同様だ。韓国外交部は朴大統領就任以来、30カ月以上にわたり「慰安婦問題が解決しなければ首脳会談は行わない」などと威勢良く強硬な態度を取り続けたが、昨年末には突然その方針を百八十度見直し、たちまち日本との合意に至ってしまった。
これまで朴槿恵政権が取り続けてきた中国重視政策の影響で、同盟国である米国からも韓国の中国傾斜を懸念する声が出始めている。北朝鮮による核実験という決定的瞬間に中国がその本心をさらけ出した今、われわれは対日外交に続き対中戦略についても方針の見直しを迫られている。今の政権は発足から3年で米国、中国、日本との関係を全面的に見直すという大きな課題を抱えることになったわけだ。このままでは韓国が外交政策を通じて国としての誇りを持ち続けることも、また国民に「政府は外交によって国益をもたらしている」という信頼を持たせることもできない。今の状況が現政権の外交政策担当者の失敗によるものであるなら、今すぐその担当者を交代させ、新たな戦略と方針を定めねばならない。あるいはもし大統領の間違った指針が今の状況を招いたのなら、大統領自らすぐにでも国民に説明すべきだ。