プラシーボ効果は本当に効くのか、催眠術師を召喚して、試してみた。

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いまどきはネットでチョチョイと検索すれば、どんな情報だってそれなりに集められる。

心理学に関することだってまったく同じで、たとえばこの記事のテーマ「プラシーボ効果」を検索すれば、0.40秒で324,000件がヒットする。なんてお手軽で便利な世の中!

けどね、けどな、そのほとんどが効果の説明をしているだけで、実際に使ってみたという生な報告は見つからないんだ。だったらさ、それが本当に効くってどうしてわかるの?

誰かがやらねば!
誰かが身体を張って確かめねば!

って、そりゃ、オレでしょ。
むしろ、オレしかいないでしょ!

というわけで、オレ、岸★正龍は、自らの身体を実験台として本当に効くのかを試してみた。それがこのシリーズ「心理学人体実験室」。またの名を「黄金の左足」。

さぁ見てくれ、感じてくれ。
おれの人体実験のすべてをご覧にいれよう。

 

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“博士”
熱いの。
“助手”
熱いですね。
“博士”
けれど重要なのは、熱さではなく中身があるかないかじゃからな。
“助手”
まったくその通りです。
“博士”
ま、お手並み拝見といこうかの。
“助手”
ですがその前に博士、なぜ「黄金の左足」なのでしょう?
“博士”
その謎も最後には解けるじゃろう。そこもたのしみに読むとしよう。

 

プラシーボ効果とは、簡単に言えば「思い込みの力」である

 

今回オレが検証するのは、「思い込みの力」と言われているプラシーボ効果だが、そもそもの話、プラシーボ効果を知ってるだろうか?

 

プラシーボというのは、薬効成分を含まない偽薬のことを指し、この偽薬を薬だと偽って投与されたとき病状がなぜか良好に向かってしまうような効果をプラシーボ効果という。

 

噛み砕いて言うと、頭蓋骨開いて脳ミソ捨てたいレベルの頭痛を抱えている人に「これスッゴク効く頭痛薬だよ、飲むと魔法のように治っちゃうよ!マジ効くよ!」といってコンビニとかで売っているドロップを与える。

すると、薬でも何でもないただのドロップなのに、一般的には10人に3人の頭痛が治ってしまう。

30%は小さくない数字だから、科学的・医学的には立証されてないにも関わらず、実際に医学の現場で、でん粉やラクトースや生理食塩水が偽薬として使われている、という、にわかには信じられない、というかむしろ、そんなん嘘でしょ、というのが、プラシーボ効果なのである。

 

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だがしかし!

かつて大事MANブラザーズバンドは「信じ抜くこと」が一番大事だと繰り返し唱えた曲で大ヒットを記録した。大ヒットを記録するくらいだから、彼らのいう通り「信じ抜くこと」または「思い込むこと」によって、人は考えれないパワーを発揮するかものしれない。

グズグズ言ってる時間があるなら、実験すべし! 
そう考え、オレは、実験の準備を進めた。

 

“助手”
博士、これいいのですか! プラシーボ効果の解説は、ほとんど我々の講座から持ってきた文章ですよ!
“博士”
そうじゃが、まるっと持ってきたところはちゃんと引用してるから許してやろう。
“助手”
博士がそうおっしゃるなら…
“博士”
それほど我々の講座は素晴らしいということなのじゃ。
“助手”
プラシーボ効果で火傷ができることまで書いてありますからね。
“博士”
コロンビア大学医学部のハーバート・スピーゲルの実験じゃな。
“助手”
つまり、プラシーボ効果とはというこの講座は、読まないと損ということですね。
“博士”
言いたくないが、プラシーボ効果とはは、いい記事じゃからな。

 

プラシーボ効果を検証するための事前人体実験

 

さて、いきなり困った。

プラシーボ効果を検証するには、痛みや病など、身体の不具合が必要なのだ。だが、不幸にしてオレはいま身体のどこにも不調を抱えていない。さて、どうしたものか、とふと机の上を見たら…

眼鏡!

そうか、オレは幸いにして目が悪い。これだ、これを使って人体実験をしよう。題して、

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では具体的に、実験手順を説明していこう。

オレの考えでは、プラシーボ効果で目が良くなるかどうかを検証するためには、事前実験と本番実験、二段階が必要なのだが、第一弾として行なう事前実験は以下の通りである。

 

オレは目が悪い(どれくらい悪いかチェックする)

 ↓

1,視力回復に効くとされるブルーベリーをアホほど食べる

2,視力回復に効くとされる3D視力本をアホほどやる

3,視力回復に効くとされる目の周りのツボを押す

 ↓

実際に視力が回復しているかチェックする

 

実はオレは眼鏡の関係の仕事をしていて、だから視力のことはちょっと詳しいのだが、確かに「ブルーベリー」も「3D視力本」も「ツボ」も、視力回復には効果的ではある。なんなら三種の神器と呼んでもいい。いや、呼ぶことにする。

しかし、自分で試したことはないから、どれくらいの効果があるかを事前実験として試してみるのだ。

 

“助手”
二段階とは複雑なことをしますね。
“博士”
なんじゃ、君には彼の意図がわからんのか。
“助手”
わかりません。博士はおわかりなのですか?
“博士”
当たり前じゃろ。
“助手”
流石です。なんのための事前実験なのか、私にも教えてください。
“博士”
いや、それは、つまり、その、え〜、なんだ、ここで言ってしまうとつまらんじゃろ。ま、お手並み拝見といこう。

 

まず視力検査を行なって、いまの視力を知る

 

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まずは視力検査。

自分で自分を検査する。これまでに5,000人以上の視力検査を行なってきたオレだ。セルフでもまったく問題なく、サクサクと検査を進めた。

 

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結果は……両目で0.05…
さらに下ってしまったようだ。

いや、この人体実験を考えれば下っていたのは逆に好都合。1~3に取り組んんだとき、視力が上がる確率が上がるわけだからな。ポジティブシンキング・イズ・ナンバーワン。たのしく行こうぜ!

事前検査前
両目での視力…0.05

 

三種の神器を投入する

 

では、早速、三種の神器を試していくことにする。

 

はじめに、ドドン、ブルーベリー推参!

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近所のヤマナカで買ったブルーベリーを前にする。

「ブルーベリーって買ったことなかったけど、どえらい高いがや、こんな高いんだで当然効くに違いないて」と早くもプラシーボ効果が発揮されるようなことを考えつつ、最初は高額にビビってソロソロと、けれどそれじゃ勢いでないので、決死の覚悟で一気喰いを敢行してやった。

 

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いや静止画まどろっこいいな。動画で見てくれ、これがオレの決意、これがオレの勢いだ!

 

 

続いて、ドドン、3D視力本!

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すかさず開いて、15分ビッチリと立体視をする(ブルーベリーを食べる前に写真を撮ってしまったため、時系列が乱れたことを心よりお詫びする)。

 

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立体視って連続してやったことあるだろうか? 

オレは連続15分とかはじめての体験だったが、10分過ぎくらいから頭に霞がかかったような、言わば、小さなトリップ状態になった。だが、そこは根性で15分続ける。結果、完全に目と頭が疲弊した。

オレと同じような小トリップを体験したいなら、以下の動画を試してみるといい。特に9:41からの動くステレオグラムは、旅立つには最適だぜ。

 

 

最後に、はぁ~~~、視力回復に効くとされるツボ押し。

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疲弊した目を労るように、魚腰(ぎょよう)、攅竹(さんちく)、晴明(せいめい)、承泣(しょうきゅう)、糸竹空(しちくくう)、瞳子りょう(どうしりょう)、太陽(たいよう)の7つのツボを丁寧に押す。

 

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先ほどの疲れがトロケテいくような快感を覚える。(ツボについては詳しく知りたい人は「視力回復 ツボ」でググってくれ)

さぁこれで三種の神器はすべてこなした。はたしてオレの視力は回復しているのだろうか?

 

“助手”
これで視力は回復するのでしょうか?
“博士”
生物学的には回復するはずじゃ。
“助手”
では結果は期待できるとして、しかしブルーベリーの食べ方、ひどいですね。
“博士”
勢いがあっていいではないか。ま、お手並み拝見といこう。

 

事前実験結果発表!

 

視力回復、三種の神器をすべてこなしたオレは、再び視力検査を行なった。

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上、下、下、左……

 

ヨシキタコレ!!! 

0.05だったオレの視力は、0.1にまで上がっていた!!!

事前実験後
両目での視力…0.1

 

この事前実験によって、「ブルーベリー」も「3D視力本」も「ツボ」も視力回復には効くってことが実証されたわけだ。

さて、ここからが本番。この三種の神器の代わり(偽薬)として、違うものを投与して、それでも視力が回復するのであれば、それは即ちイコール、プラシーボ効果は本物である、と結論づけることができる。

 

オレは早速、三種の神器に似て非なるものを探しに出かけ、「ブルーベリー」との代わり「3D視力本」の代わりに

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「梅干し」と「虫皇帝(毒虫達のバトル本)」を準備した。

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「ツボ」の代わりにはちょっと過激に「蹴り」なんてどうだろう、とほくそ笑みつつ、整理のために本番実験を図解してみた。こんな感じだ。


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なんて素晴らしい実験なのだろう! すべての準備を整えたオレは、いざ本番実験に向かって気合いを溜めていった。

 

“博士”
いやいやいや、これは実験としてまったくダメじゃ!
“助手”
どうしてですか?
“博士”
わからんのか?
“助手”
わかりません。
“博士”
プラシーボ効果を試す実験じゃ。偽薬だと思い込むためには、誰かに騙してもらわないとダメじゃろう。
“助手”
なるほど。「梅干し」と「虫皇帝」と「蹴り」を、どうやって「ブルーベリー」と「3D視力本」と「ツボ」だと思い込むか、ということですね。
“博士”
そうじゃ「毎日唱えて思い込む」なんて子供だましはわしが許さん!
“助手”
はい、誰もが納得できる「思い込み」が必要です。
“博士”
さて、彼はこの問題をどう解決するのか、ま、お手並み拝見といこう。

 

催眠術師、大岩洋二がやってきた

 

6

 

実はこの実験、オレ以外のヤツでは被験者になりえない可能性が高い。「どうやって偽薬三種を神器三種と思い込むか」という、大きな課題があるからだ。

けれどオレは大丈夫。「偽薬三種を神器三種と思い込める」と自信を持って断言しよう。なぜって、オレには必殺技があるからだ。

オレの必殺技=メチャクチャ催眠にかかりやすいこと。

オレは本当に、自慢できるほど催眠にかかりやすい。どれだけでも深く催眠に入ってしまうし、実際に他人のオーラを見たり、前世見たりしたし、軽トランスになら5秒で入ってしまえる(ちなみにオレの前世はトナカイだった。その意味は今もって不明である)。

だから、催眠をかけてもらえば「梅干し」と「虫皇帝」と「蹴り」を、「ブルーベリー」と「3D視力本」と「ツボ」だと思い込むくらいは朝飯前なのだ。

 

そこで一夜明けた次の日。名古屋最強の催眠術師・大岩洋二氏を召喚した。

大岩氏は名古屋で催眠塾を主宰するかたわら、様々な場所で催眠ショーを行なってもいる実力者。その大岩氏の実力の一端がYouTubeにアップされているので、皆さんにも見ていただこう。

 

 

 

余談になるが、過去にオレは大岩氏のショーで、深いところまで催眠誘導されて大騒ぎになったことがある。場所はライブハウス。ステージに上がって催眠状態になったオレは「手を鳴らすと靴を電話だと思って出てしまう」という暗示を受けた。

運の悪いことにそのときのオレは仕事でトラブルを抱えていて「電話」=「クレーム」=「迅速に対応しないと余計こじれる」というプレッシャーを抱えていた。

そこへこの暗示だ。手を鳴らされたオレは、バネ仕掛けの人形のように「もしもし」と靴を耳にあて、そのままステージを降りて外に飛び出し、人通りの多い道路上で靴を耳に当てて「もしもし」を繰り返していたというのだ(もちろん、これは催眠から覚醒したあとで聞いてわかった話)。

大岩氏はそのくらいの手練れだし、オレもある意味それくらいの手練れだ。「思い込む」ことにかけては一片の隙もない。さぁ本番実験に向かうとしようか。大岩さん、プリーズ、オレに催眠を!

 

“博士”
催眠とは考えたな。
“助手”
催眠は、食物の味を変えたりすることができると聞きます。
“博士”
確かに催眠は、思い込みの力=プラシーボ効果を試すにはもってこいじゃ。
“助手”
私、この実験がどうなるのか、たのしみになってきました。
“博士”
うむ、わしもじゃが、ま、お手並み拝見といこう。

 

いざ、本番の人体実験へ

 

大岩氏とオレのコンビなら、催眠に不都合な場所などないが、念には念を入れて人気のない場所を選んだ。しかも一瞬でトランスに入れる驚愕法をとってもらう。

というか、百聞は一見に如かず。まぁ見てくれ。

 

 

完全に入ってる。というか、手をかざされてる時点で、早くもすでにトランスに入ってるじゃんね、オレ(目を見ればわかるよ)。

 

そこからさらに催眠を深化させ
「目が覚めて、目の前に出されるものは、ブルーベリーです」
そう大岩氏が暗示をいれる。

目を覚ましたオレの前には梅干し。

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当然喰らう。ブルーベリーのように。

 

個人的な感想として、喰い終わったあとに、胃が尋常ならざる感じになっていたが、そんなことは人体実験なのだから仕方がない。颯爽と次の実験に向かうオレ。

 

再度トランスに入ったオレに
「目が覚めて、目の前に出されるものは、3D視力本です」
との暗示が加えられる。

目を覚ましたオレの前には「虫皇帝」。最初はうまく立体視できなかったものの、しばらくすると立体視が完成し、リアルに毒虫達が立ち上がってくる。

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どんな感じで立ち上がってきたかというと、以下に動画を貼るが <閲覧は自己責任で!> 恐ろしくエグイから。片方は実際喰われて絶命するから。

15分後、事前実験のときに感じた浮遊感や疲労を、オレはここでも同じように感じつつ、最後の実験のため外に出る。

 

再再度トランスに入ったオレに
「私が刺激を加えているのは、視力回復に有効なツボです」
との暗示を加え行動に出る大岩氏。

7

 

さらに
「私が刺激を加える度に、あなたの視力は回復します」
との暗示を加え行動に出る大岩氏

8

 

こうしてツボ押し代わりの蹴りも受けきり…そう、オレはやりきった。なんだか身体や頭のアチコチに違和感がありまくるが、とにかくオレはやりきった。

 

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あとは最後の視力検査へ向かうのみだ……

 

“助手”
ドキドキしますね。
“博士”
どうなるのじゃろう。
“助手”
事前実験終了時の検査では、両目で0.1でしたね。
“博士”
そこからあがっておるのか、おらんのか。
“助手”
ドキドキしますね。
“博士”
うむ、わしもじゃが、ま、お手並み拝見といこう。

 

最終検査結果発表!

 

いよいよ、プラシーボ効果が本物かどうかの審判が下される。オレはいささか緊張しながら検眼テーブルに座り、厳かに視力検査をはじめた……

その結果は!

 

 

ラストの満面の笑みが、もう、結果は表しているだろう。そう、おれの視力は0.1から0.2(がギリギリ見えるところ)まで上がっていた。

本番実験後
両目での視力…0.2(がギリギリ見えるところ)

 

つまり実験成功。

プラシーボ効果は、本当に効くと証明されたのだ!

 

と、そこで、オレのiPhoneが震えた。

見ると大岩氏からのメール。ひょっとしてこの成功を予期してのお祝いメッセージではないか、オレは急いで開いてみた。

 

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なんということを!

おおおおぉぉおぉ……左足が、
オレの、黄金の左足がうずいてきたぜぇぇ……

 

9

 

ケツ出せやぁ!

 

10

 

う~ん、すっキシ。 

by岸★正龍

 

“博士”
なんと、なんと、素晴らしいオチじゃ!
“助手”
はい?駄洒落が? つまらない上に実験全体からいうと、完全に不要なクダリだし。
“博士”
これほど美しいとは一本取られた。
“助手”
博士、私は疑問に思うのですが、これ、プラシーボ効果が効いているのか、催眠が効いているのか微妙じゃないですか?
“博士”
え? ま、そこは、お手並み拝見したということで…

 

岸★正龍の実験を終えて

実験を終えて感じているのは、「思い込みの力はスゴイ!」ってこと。

確かに、最後の結論は、プラシーボ効果が効いているのか、催眠が効いているのか微妙な感じになってしまったが、「思い込みの力」で視力が上がったのは事実だ。それはオレが身をもって実証した。

個人的には、この実験、催眠効いてるからって、梅干しをああやって食べれば身体に多少のダメージあるし、最後の検査のときは「寒っ」ても思ったが、やって良かったと満足してる。

こんなくだらない実験につきあってくれた、催眠術師の大岩さんに心から感謝を!

で、最後はこれで大団円ってことで。

 

 

負けないこと

投げ出さないこと

逃げ出さないこと

信じ抜くこと

駄目になりそうなとき

それが一番大事

 

Special Thanks to 大岩洋二(催眠塾)& Joint Creation

ABOUTこの記事をかいた人

岸★正龍

一般社団法人日本マインドリーディング協会理事。アイウェアブランド「モンキーフリップ」代表取締役。行動心理士。他に類を見ないデザインと心理誘導を駆使したマーケティングで、「モンキーフリップ」を地方発ながら全国に熱いファンをブランドに育て上げる。しかし過去は暗く、小学校低学年はひたすらイジメられる日々だった。そのイジメが苛烈を極めたため、「他人を操れればこんなイジメにあうことはない。意のままに操れたらどんなにいいだろう」と強く想い、心理学、NLP、エリクソン催眠、コールドリーディングやメンタリズム、オカルトや魔術の類いまで貪欲に探求。著書に『超人気キラーブランドの始まりは、路地裏の小さなお店から…』(フォレスト出版)がある。