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ニンジャスレイヤー公式ファンサイト:ネオサイタマ電脳IRC空間

近未来都市ネオサイタマを舞台としたサイバーパンク・ニンジャアクション小説「ニンジャスレイヤー」の日本語版公式ファンサイト。翻訳チームが運営しています。

バイオ研究員から脱サラした、妄想持ちの危険ニンジャ:フォレスト・サワタリ(01)

ニンジャスレイヤーに登場するニンジャ組織は、ソウカイヤやザイバツといった大規模な組織だけではありません。今日紹介するのは、独立ニンジャ勢力のひとつサヴァイヴァー・ドージョーの主、異形のバイオニンジャを率いるフォレスト・サワタリです。
  

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「馬鹿者! 制止命令が聞こえなかったのか! ここがナムならお前は死んでいるぞ?」

 

【フォレスト・サワタリ】

ヨロシサン製薬のバイオ研究員に、グエン・ニンジャのニンジャソウルが憑依。バイオニンジャたちを率いて研究所を脱走し、サヴァイヴァー・ドージョーを創設した。極めて不安定な精神状態にあり、しばしばナム妄想に襲われる。

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(アニメイシヨン版サワタリ)

 

 (無印コミカライズ版サワタリ)

 

遭遇時の対応マニュアル

f:id:NinjaHeads:20160104213412p:plain非常に危険です、あわてず対処してください!

◆あなたが邪悪なニンジャである場合◆

あなたがソウカイヤやアマクダリなどの邪悪なニンジャ組織に属している場合、サワタリとの遭遇は死を意味します。ジャングルや地下下水道などに深入りしすぎていませんか? 周囲をよく見渡して、ブービートラップなどが仕掛けられていないか確認してください。仮に無かったとしても、深入りは危険です。シノビニンジャ・クランのニンジャほどのステルス能力はありませんが、それでもサワタリは隠密能力に長けており、周囲の地形を完全に把握しているからです。タケヤリやマチェーテが、暗がりや泥水の中から常にあなたの心臓を狙っているはずです。

また、仲間のバイオニンジャが近くにいる可能性もあります。火炎放射器などで威嚇しながら、すぐにその場を離れてください。仮にサワタリやサヴァイヴァー・ドージョーを仕留めても得られるものはほとんどなく、徒労感を得るだけです。

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◆あなたがネオサイタマ市民である場合◆

幸いなことに、あなたがフォレスト・サワタリと遭遇することは極めて稀です。彼らはネオサイタマ郊外のジャングルや、地下下水道に潜伏していることが殆どです。しかし都市部で彼らと遭遇してしまった場合、死の危険があります。彼らは物資補給など、何らかの作戦行動中である可能性があるからです。部隊にとって障害であるとみなされた場合、サワタリは躊躇なくあなたを殺し、懐から万札を抜き取るでしょう(彼らは常に貧窮しています)。サワタリが単独で行動しており、また極めて空腹状態にある場合は、食料を与えることで難を逃れられるかもしれませんので試してみてください。狂っているので、会話でコミュニケーションを取ろうなどとは考えないほうが良いでしょう。

また、あなたが年頃の豊満な女性である場合、サワタリのヨメとして攫われてしまう可能性がありますので注意してください(幸い、この傾向は近年減少傾向にあります。何らかの理由から、サワタリは人間のヨメを持つことを諦めたようです)。

 

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基本情報ファイル

◆外見的特徴◆

迷彩柄のニンジャ装束に、ベトナムめいた編笠を被っている。マチェーテ、弓矢、タケヤリなどの危険なサヴァイヴァル武器を多数所持。また背囊や装束のポケット、ポーチには各種サヴァイヴァルキットが入っている。身長は約178cmで、ニンジャスレイヤーよりやや低い。瞳の色、髪の色は黒である。


◆戦闘スタイル◆

ジツ:カラテ比率=0:10

主な得物はタケヤリとマチェーテ(ナタ)。電脳都市ネオサイタマでは極めてローテクな武器に思えるが、タケヤリの原材料であるバイオ・バンブーは鋼鉄の4倍の強度を誇り、重金属酸性雨にも耐える。サヴァイヴァル生活にも適した強力な武器なのだ。多数武器を所持しているとみられ、マチェーテ二刀流、毒弓矢、ククリナイフなど、戦況に合わせて様々な武器を持ち替えて戦う。またブービートラップの作成にも長けており、ワイヤー、トラバサミ、無水鍋爆弾などの各種トラップを仕掛け、ナムの地獄を作り出す

憑依ニンジャソウルであるグエン・ニンジャの特徴なのか、異様に打たれ強い。通常のニンジャであれば爆発四散していると思われるニンジャスレイヤーのフィニッシュムーブ(連続サマーソルト・キックやポン・パンチの直撃)を受けたり、ダークニンジャに胸を手刀で貫かれて重油プールに叩き落とされても、しぶとく生き残っていた。

 

◆オリジン・エピソード◆

物理書籍1巻「ネオサイタマ炎上1」収録の「アポカリプス・インサイド・テインティッド・ソイル」にて初登場。オカキ工場に偽装されたヨロシサン製薬のプラント内を進んでいたニンジャスレイヤー&ナンシーは、そこから今まさに脱走せんとしていたサヴァイヴァー・ドージョーと遭遇することとなる。

ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上 (1)

ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上 (1)

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◆重要エピソード◆

物理書籍3巻「ネオサイタマ炎上3」収録の「ワンミニット・ビフォア・ザ・タヌキ」で再登場。ヨロシサン製薬のプラント内を進んでいたニンジャスレイヤー&ナンシーは、ここを今まさに襲撃せんとしていたサヴァイヴァー・ドージョーと遭遇するのだ。サワタリのナム妄想や、バイオニンジャとバイオインゴットの関係などが初めて明かされた、第一部の重要エピソードである。また、このエピソードには無印コミカライズ版も存在する。

 

ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上 (3)

ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上 (3)

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ニンジャスレイヤー(5) ?ワン・ミニット・ビフォア・ザ・タヌキ?<ニンジャスレイヤー> (角川コミックス・エース)

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トコロザワ・ピラーでモータードクロに対抗すべく背中合わせで戦う二人。ニンジャスレイヤーとサワタリは基本的に敵対関係ではあるが、ソウカイヤやザイバツのように不倶戴天の敵というわけでもなく、しばしば臨機応変に共闘に入る(その後、また戦う)。

 

NINJA FACTS

◆彼のナム妄想は危険域を突破し共産圏へと突入する!◆

フォレスト・サワタリは、主に憑依ニンジャソウルの影響によって、自分自身がベトナム戦争の只中に身をおいていると錯覚している。これ自体が異様な成り立ちだが、原作者ボンド&モーゼズが「ニンジャスレイヤー」の一つのテーマとしてカウンター・カルチャーを重視している事を鑑みると、1960年代後半のベトナム問題に関するムーブメント全体を一個のニンジャに象徴的に人格化したのがフォレスト・サワタリであると考えてよさそうだ。「ランボー」や「地獄の黙示録(アポカリプス・ナウ)」など、それら問題に関する映画がイメージソースのひとつであることも明白で、「アポカリプス・インサイド・テインティッド・ソイル」というエピソード名もそれを暗示している。

 

 

さらに奇妙なことに、このナム妄想におけるサワタリ自身の立場は、定まっていない。ベトコンであったり、米兵の立場であったりと、常に一定せず、混濁し、目まぐるしく行ったり来たりする。例えば「どこにベトコンが潜んでいるかわからんぞ!」と警告したかと思えば、次の瞬間には「連合国側のナパーム攻撃が始まったぞ! 我々を皆殺しにするつもりだな!」といった感じだ。しかしどちらの場合も、地獄のような戦場で仲間を率いて、どうにか生き延びようとしている点だけは共通している。頭の状態はどうあれ、サワタリはとにかく生き延びて部隊を存続させること、部下であるバイオニンジャたちと共にサヴァイヴすることを必死に考え続けているのだろう。


またサワタリに弱点らしい弱点はないのだが、火炎放射器だけは苦手なようだ。閉所で火炎放射器を使用されたり、建物が爆発炎上しているのを見たりすると、グエン・ニンジャ由来のニンジャ頑健性にも関わらず、サワタリは「敵のナパーム攻撃が始まったぞ!」などと突如重度のナム妄想をあらわにし、狼狽して逃げ惑う。ヨロシサン製薬はバイオニンジャの処分ないし駆除時に火炎放射器を用いているらしい描写が散見されるため、サワタリは研究員時代に火炎放射器ないし爆発炎上に対し何らかのトラウマを持つに至ったのかもしれない(ヨロシサンの研究施設は頻繁に爆発事故を起こしている)。

 

「どれだけ殴られても死なない」「過去の因縁はすぐ忘れて宿敵とも手を組む」「エキセントリックな妄想持ち」と、一見するとコミックリリーフめいたキャラに見えるフォレスト・サワタリだが、エピソードを読み進めて彼の背景やサヴァイヴァードージョーの日常に思いを馳せてゆくうちに、ある種のワビサビを感じられるようになるだろう(彼の妄想に引きずり込まれないように気をつけよう)。その哀しさ、可笑しさ、そして妙に頼もしいテンションの高さ、そのすべてが、フォレスト・サワタリというキャラクターの大きな魅力なのだ。

◆未来へ◆

今回は主にフォレスト・サワタリのオリジンと、第2部における彼の立ち位置について紹介しました。「ネオサイタマ炎上」を生き延びたサワタリは、サヴァイヴァー・ドージョーを引き連れて、キョート共和国へと向かいます。次回の(02)では、2部以降大きく存在感を増してきたサワタリの立場と、サヴァイヴァー・ドージョーそのものについて、そしてバイオニンジャたちとの関わりについて、より深く掘り下げてみようと思います。

(Tantou)