【移民危機】ドイツ、移民をオーストリアに送還

  • 2016年01月12日
ドイツ・パッサウの駅で専用列車に向かう難民の列(5日) Image copyright AP
Image caption ドイツ・パッサウの駅で専用列車に向かう難民の列(5日)

ドイツ政府は今月初めから連日、大勢の移民をオーストリアに送還していることが明らかになった。オーストリアの州警察報道官が明らかにした。

オーバーエスタライヒ(上オーストリア)州警察のダビド・フルトネル報道官はAFP通信に対して、「ドイツからオーストリアに送還されてくる移民の数は、12月中は1日60人だったのが、今年初めからは1日200人に増えている」と述べた。送還されるほとんどは旅券など必要書類を持っていない人たちという。ほかには、ドイツで難民資格申請するのを望まず、北欧諸国への移住を希望する人たちもいるという。

ドイツからオーストリアに送還される移民のほとんどはシリア人ではなく、アフガニスタンやモロッコ、アルジェリア出身の人たちという。

ドイツでは大みそか夜にケルン駅で数百人の女性が襲われ、金品を盗まれる大規模な暴行事件が発生。犯人のほとんどは北アフリカやアラブ諸国からの移民ではないかと言われているため、昨年来、移民受け入れを掲げてきたメルケル政権は厳しい批判にさらされいる。

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多くの移民は移住先にスウェーデンを希望するが、今月初めにはスウェーデン政府が流入する数を抑制しようと、デンマークからの入国手続きを厳しくした。

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Image caption 大みそかの事件では、年越しのためにケルン中央駅と大聖堂の間の広場に集まった女性たちが集中的に狙われた。写真は10日撮影。

ノルトラインヴェストファーレン(NRW)州政府の公式発表によると、大みそかの夜にケル中央駅前で女性たちを襲った容疑者たちは「ほとんどが」北アフリカやアラブ諸国からの移民。事情聴取中の容疑者19人のうち、14人はモロッコとアルジェリア出身の男性。10人は亡命希望者で、そのうち9人が2015年9月以降にドイツに到着したという。ほかの9人はドイツに不法入国した可能性があると同州内務省はみている。

同州内務省はさらに、ケルン警察の対応に不備があったと認めている。事件当時に現場警官が対応のための応援を要請しなかったのは「重大なミス」だった上に、容疑者たちの身元などについて十分に情報を公表しなかったことも問題だったとしている。

ケルンの事件に関連する被害届は500件以上に上り、その4割が性的暴行の被害を訴えている。

一方で、報復とみられる事件が9日のケルンで相次いだため、政府はこれを容認できないと厳しく批判した。

2015年には約110万人の亡命希望者がドイツに入国した。

(英語記事 EU migrant crisis: Germany sends migrants back to Austria

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