【翻訳】One Word - Jim Davis2013年3月20日 翻訳(プレイング) コメント (11)
StarCityGamesより。
大事な一単語。
久しぶりになってしまいました。
翻訳どころか原文を読む時間もなかなか取れずペースは大幅ダウンですが、やる気は消えていませんのでなんとか続けていければと思っています。
戦略についての記事をいくつか訳しましたが、今回の記事はとても読みやすかったです。
どの記事も見方は違えど同じものを見ているような気がしますね。
-----
One Word
JIM DAVIS
2013/3/12
http://www.starcitygames.com/article/25815_One-Word.html
僕の見る限り、マジックプレイヤーには3種類いる:
A. マジックが上手くなりたい人。
B. 本気ではなく、ただマジックをプレイするのを楽しみたい人。
C. マジックが上手くなりたいと思っており、そう口にも出すが、実際には本気ではなく、ただマジックをプレイするのを楽しみたい人。
悲しいかな、最も数が多いのはカテゴリCだ。
これはいつだって目にする。プレイヤーたちは上手くなりたいと言う――今度のPTQを勝ちたい、上手くなって今度のGPでマネーフィニッシュしたい。いや、いずれFNMでトップ8に入りたい、ぐらいのものかもしれない。彼らはやりたいことがあるにもかかわらず、それを達成するために不可欠なステップを踏もうとしない――目標を固めることをしないんだ。
彼らが上手くなりたいというのは本心だと僕は思う。でも、どうすれば上手くなれるかが分からず、それを自分で見つけるだけの情熱と気力を持てないでいる。
どうやって上手くなるか。僕は今日それをたったひとつのシンプルな一単語で示そうと思う。
あなたはPTQやSCGオープンの準備のために何時間も費やしているかもしれない。同じぐらいのスキルを持った友人たちとともにデッキを構築し、たくさんのゲームをプレイする。あなたは自分のアイデアに自信があり、イベントに出かけ、5-3でフィニッシュする。
たぶんこれはとてもよくある光景だ。
「同じ行動を何度も繰り返し、異なる結果を期待すること。」
これを狂気という。
上手くなる方法を表す一単語は何だろう?
「睡眠」かな?最高のプレイをするにはよく寝る必要があることは誰でも知ってる。
あるいは「決意」だろうか?可能な限り練習に打ち込まなきゃならないよね。
「サイドボーディング」はどうだろう?サイド後のゲームが過半数。サイドボーディングを練習せずにどうしたら上手くなれる?
これらは全て重要ではあるけれど、プレイヤーとしてより良くなるための基本的な考え方とはほぼ無関係だ。
もしあなたが大学野球で勝つためにカーブの投げ方を身に付ける必要のあるピッチャーをコーチするとして、「ちゃんと食事を取るように」なんて言うかな?「ウェイトルームに戻ってもっと筋トレするように」と言う?「寒い時期に行われるプレーオフに備えて、寒暖両方のコンディションで練習するように」と言うかい?
いや、言わない――これらは重要ではあるけれど、彼が良いピッチャーに育つかどうかには直結しないアドバイスだからだ。
どうすればより良いプレイヤーになれるか理解しなきゃならない。その方法は、あるゲーム中にあなたがなぜそのプレイをしたのか、そして相手がなぜそのプレイをしたのかを理解することだ。そのゲームについて真剣に考えなければならない。
もう分かったかな?
その一単語とは、「なぜ」だ。
プランニング:なぜ自分はこうするのか?
ゲーム中に行う全ての事柄について、「なぜ?」と自問すべきだ。なぜそうするか分かっていないまま、ただアクションするべきではない。
なぜそうするのか答えられないとしたら、いったい何をやっているのだろう。本当に勝とうとしている?それとも形だけゲームをプレイしているに過ぎないんじゃないか?
あるプレイをして、なぜそうしたか答えられないなら、そのゲームのことを真剣に考えていないということになる――間違った理由を持つことは、何も理由を持たないよりも良い。
これは本当に大事なことだからもう一度言わせてほしい。
間違った理由にもとづいてあるプレイをすることは、理由のないプレイをするよりも良い。
オーケー、話を単純にしよう。本当に単純なんだ:
こちらはFlinthoof BoarとStomping Groundと2枚の山を場に出している。
対戦相手はLoxodon Smiterと2枚のタップされた平地と1枚のタップされた森を出している。
アタックする?するのはなぜ?あるいはしないのはなぜ?
明らかにこれは小学生レベルの問題だ。こちらは3/3、相手は4/4を出している。アタックすれば相手はブロックし、こちらの生物は死ぬだろう。したがって、アタックしない。
これはどんなプレイヤーでもほとんど頭を使わずに正解を導けるシンプルなシナリオだ。答えは簡単:アタックしない。
オーケー、変数を追加しよう。
今こちらの手札にはGhor-Clan Rampagerが1枚ある。
アタックする?するのはなぜ?あるいはしないのはなぜ?
これもかなり単純だ。ここではこちらにコンバットトリックがある。3/3で相手の4/4に対してアタックしてブロックされた場合、Ghor-Clan RampagerでFlinthoof Boarを守り、相手のLoxodon Smiterを倒し、トランプルダメージを3点与えることができる。ブロックされなかった場合?すばらしい、簡単なアタックだ。
さらに変数を追加しよう。今、こちらの手札にはGhor-Clan Rampagerに加えて、Boros Reckoner、Mogg Flunkies、山がある。
アタックする?するのはなぜ?あるいはしないのはなぜ?
これは少し注意が必要だ。多くのプレイヤーはここで熟考はしないだろう。こちらにはアタッカーとコンバットトリックがあり、相手のブロッカーを乗り越えることができる。したがって、アタックすべきだ。だけど、それはなぜ?今ここで何を目指すべきだろう?もしアタックすれば彼はブロックし、こちらがパンプして彼のLoxodon Smiterが死に、トランプルダメージが入る。
しかし、ゲームに勝つまでの全体プランに照らしてこの状況を見てほしい。こちらは完全にマナカーブから外れることになってしまう。このターンは他のプレイができず、4ターン目に3マナ生物をプレイする羽目になり、Mogg Flunkiesは5ターン目まで出ないことになる。今はアタックすべきタイミングなんだろうか?このターンはBoros Reckonerをキャストするだけにした場合、4ターン目にGhor-Clan Rampagerを使いMogg Flunkiesをキャストして、全てのマナを効果的に使うことができる。
自分の全体プランにとって何がより重要なのか、なぜ自分はこうするのか?と自問する必要がある。
経験豊富なプレイヤーにはこのシナリオでもシンプルすぎたかもしれないね。もちろん、こういった判断の多くで意思決定のツリーはとても複雑になり、続く数ターン先までプランを立てることが必要になる。
プランニングがこの考えの基礎ではあるけれど、「なぜ?」と問うことの本当の力は相手に目を向けたときに発揮される。
推論:なぜ対戦相手はそうしたのか?
このゲームの真の素晴らしさはここにある。
去年あたりにスタンダードをプレイしていた人にとってはシンプルなシナリオだ:
あなたはダイスロールに負け、相手は2ライフを払ってHallowed Fountainをアンタップイン、そしてエンドした。
なぜ相手はそうしたんだろう?
これを読んでいるみんなは即答するんじゃないかな:彼はこちらのエンドに撃つThought Scourを持っている。
わお、君はエスパーかい?彼が何のカードを持っているか、プレイされる前にどうやって正確に知ることができたんだろう?
これは実際とても単純だ――あなたは対戦相手が何をしたか観察し、なぜ彼はそうしたのかと問い、推論を行ってとてもロジカルで合理的な答えにたどり着いた。
今のは合理的な答えがただ一つしかない単純すぎる例だったね。スタンダードでは白か青1マナでプレイに値するインスタントは本当にたった1枚しかない。
もしこれがキューブドラフトの場合、相手が何か持っていることは想像できるけど、それはForce Spikeやらソープロやらミスチューやらのうちのどれかとしか言えない。情報は十分じゃない。
しかし、情報はマジックのゲーム中に常に垂れ流され続けているものの一つだ。情報はいたるところに存在し、あなたに拾い上げられて優位を築くために使われることをただ待っている。
情報を見つける鍵は、「なぜ?」と問うことだ。
一見単純に見えるもう一つのシナリオを取り上げよう:
ここはモダンPTQのラウンド4、あなたがどのデッキを使っていて何をしているかは関係ない。対戦相手はダイスロールに勝ち、先攻を選んだ。彼は1ターン目にScalding Tarnを出し、サクった上で2ライフを払いSteam Ventsをアンタップイン、Serum Visionsをキャストした。1枚引いて占術で2枚をボトムに送り、エンド。彼は2ターン目にはDesolate Lighthouseを出してエンドした。
オーケー、さあどうする?彼はおそらく双子を使っていて、今のようなプレイをしてきた。こちらのターンに何を引くか見てみようじゃないか!
いやいやちょっと待ってくれ。ここまで僕がさんざん言ってきたことは何だっけ?
「なぜ?」と問うんだ。なぜ彼はSerum Visionsの占術で2枚ともボトムに送った?なぜ彼は2ターン目に2枚目の土地としてDesolate Lighthouseを出した?色マナを先に出し、Lighthouseを隠し持っておくべきじゃないのか?
彼は2枚の土地とSerum Visionsのある手札をキープし、占術で見たトップ2枚に土地がなかったため両方ともボトムに送ったと考えるのが合理的だろう。
いいね。彼は土地2枚でキープし、Serum Visionsを空振った――素晴らしい。さあこちらのターンだ、何を引くか見て・・・。
落ち着くんだ――まだ終わりじゃない。そう、もう一度言おう:「なぜ?」
相手が土地2枚とキャントリップでキープしたことは読めた――でも、なぜ彼はそんなリスキーなハンドをキープしたんだろう?そして、なぜ彼は2ターン目に何もしなかったのだろう?相手は6枚のカードを持っており、スペルを一つプレイしている。この6枚のカードが何なのか、今の時点でかなりのことが読み取れる。
6枚はかなりの確率で土地ではない。もし土地ならDesolate Lighthouseの代わりに出してきただろうからだ。
6枚はかなりの確率で追加のキャントリップ(Serum VisionsやSleight of HandやGitaxian Probe)ではない。もしそうならLighthouseを出す前に土地を探すために撃っていただろうからだ。
彼はFlame SlashやIzzet Charmのような受動的なカードを何枚か持っているかもしれない。これは断言するにはまだ情報が足りない。
さあもう一度、なぜ彼はこのハンドをキープした?
僕から見てかなり明確だと思えるのは、彼はおそらく既にコンボ(Deceiver ExarchとSplinter Twin)を手札に持っている、ということだ。これは非常にうなずける――彼は土地でもキャントリップでもない6枚のカードを手札に持っており、それらのためにリスキーな土地2枚キープを選んだ。
ここまでの議論をいくらか揺るがし得る唯一のカードがRemandだ。Steam Ventsを持ってはいたが、アンタップインのダメージを受けずにRemandをキャストするために2ターン目にDesolate Lighthouseをプレイした可能性は捨てきれない。Remandをキャストするためにキャントリップのプレイを控えた可能性もある。最近の双子にRemandが入っていることは少ないが、想定しておくことは理に適っている。
次のように結論づけられる:相手はコンボパーツが揃っていて土地のない手札を持っている可能性が高く、あるいはRemandを持っているかもしれない。
相手がこちらの2ターン目のスペルをRemandしなかった場合、彼の手札はテーブルに表向きで置かれているも同然だ。Remandしてきた場合は相手の次のターンの土地と行動からもう少し考えなおす必要があるが、そんなに難しくはないだろう。
驚くべき点は、僕らは土地2枚とキャントリップ1枚のプレイから以上の推論をしたということだ。
あなたは自分のゲームを十分にじっくりとプレイできているだろうか?目の前にある情報を全て拾い上げているだろうか?十分に「なぜ?」と問うことができているだろうか?
情報はある――それを拾い上げて優位を築くために利用できているだろうか?
まとめ
このウサギの穴はものすごく深く、僕はいずれこの記事の続きを書いて今回取り上げた二つのコンセプトを更に掘り下げるつもりだ。
今後の記事で取り上げようと思っているもう一つの重要な考え方があって、それは「自動操縦」というものだ。今回見たような「なぜ?」の多くは、既に経験していることなので深く考えることなく直感的に答えることができる。これが練習とテストプレイが重要な理由だ――他愛もない「なぜ?」にさっさと答え、本当に難しい選択に集中できるようになるんだ。例えば、コンボデッキで1ターン目にPonderやPreordainをキャストすべきかどうかを知らない状態、あるいはZooでWild NacatlやKird Apeを出していくべきかどうかを知らない状態でトーナメントに臨むべきじゃない。一方、自動操縦には危険とデメリットもある。
読んでくれたみんなに感謝。次回、『自前のデッキなんて作れると思ってるの?』第一話、featuring Yogi Brown and Gary Fingersをお楽しみに!
- Jim Davis
大事な一単語。
久しぶりになってしまいました。
翻訳どころか原文を読む時間もなかなか取れずペースは大幅ダウンですが、やる気は消えていませんのでなんとか続けていければと思っています。
戦略についての記事をいくつか訳しましたが、今回の記事はとても読みやすかったです。
どの記事も見方は違えど同じものを見ているような気がしますね。
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One Word
JIM DAVIS
2013/3/12
http://www.starcitygames.com/article/25815_One-Word.html
僕の見る限り、マジックプレイヤーには3種類いる:
A. マジックが上手くなりたい人。
B. 本気ではなく、ただマジックをプレイするのを楽しみたい人。
C. マジックが上手くなりたいと思っており、そう口にも出すが、実際には本気ではなく、ただマジックをプレイするのを楽しみたい人。
悲しいかな、最も数が多いのはカテゴリCだ。
これはいつだって目にする。プレイヤーたちは上手くなりたいと言う――今度のPTQを勝ちたい、上手くなって今度のGPでマネーフィニッシュしたい。いや、いずれFNMでトップ8に入りたい、ぐらいのものかもしれない。彼らはやりたいことがあるにもかかわらず、それを達成するために不可欠なステップを踏もうとしない――目標を固めることをしないんだ。
彼らが上手くなりたいというのは本心だと僕は思う。でも、どうすれば上手くなれるかが分からず、それを自分で見つけるだけの情熱と気力を持てないでいる。
どうやって上手くなるか。僕は今日それをたったひとつのシンプルな一単語で示そうと思う。
あなたはPTQやSCGオープンの準備のために何時間も費やしているかもしれない。同じぐらいのスキルを持った友人たちとともにデッキを構築し、たくさんのゲームをプレイする。あなたは自分のアイデアに自信があり、イベントに出かけ、5-3でフィニッシュする。
たぶんこれはとてもよくある光景だ。
「同じ行動を何度も繰り返し、異なる結果を期待すること。」
これを狂気という。
上手くなる方法を表す一単語は何だろう?
「睡眠」かな?最高のプレイをするにはよく寝る必要があることは誰でも知ってる。
あるいは「決意」だろうか?可能な限り練習に打ち込まなきゃならないよね。
「サイドボーディング」はどうだろう?サイド後のゲームが過半数。サイドボーディングを練習せずにどうしたら上手くなれる?
これらは全て重要ではあるけれど、プレイヤーとしてより良くなるための基本的な考え方とはほぼ無関係だ。
もしあなたが大学野球で勝つためにカーブの投げ方を身に付ける必要のあるピッチャーをコーチするとして、「ちゃんと食事を取るように」なんて言うかな?「ウェイトルームに戻ってもっと筋トレするように」と言う?「寒い時期に行われるプレーオフに備えて、寒暖両方のコンディションで練習するように」と言うかい?
いや、言わない――これらは重要ではあるけれど、彼が良いピッチャーに育つかどうかには直結しないアドバイスだからだ。
どうすればより良いプレイヤーになれるか理解しなきゃならない。その方法は、あるゲーム中にあなたがなぜそのプレイをしたのか、そして相手がなぜそのプレイをしたのかを理解することだ。そのゲームについて真剣に考えなければならない。
もう分かったかな?
その一単語とは、「なぜ」だ。
プランニング:なぜ自分はこうするのか?
ゲーム中に行う全ての事柄について、「なぜ?」と自問すべきだ。なぜそうするか分かっていないまま、ただアクションするべきではない。
なぜそうするのか答えられないとしたら、いったい何をやっているのだろう。本当に勝とうとしている?それとも形だけゲームをプレイしているに過ぎないんじゃないか?
あるプレイをして、なぜそうしたか答えられないなら、そのゲームのことを真剣に考えていないということになる――間違った理由を持つことは、何も理由を持たないよりも良い。
これは本当に大事なことだからもう一度言わせてほしい。
間違った理由にもとづいてあるプレイをすることは、理由のないプレイをするよりも良い。
オーケー、話を単純にしよう。本当に単純なんだ:
こちらはFlinthoof BoarとStomping Groundと2枚の山を場に出している。
対戦相手はLoxodon Smiterと2枚のタップされた平地と1枚のタップされた森を出している。
アタックする?するのはなぜ?あるいはしないのはなぜ?
明らかにこれは小学生レベルの問題だ。こちらは3/3、相手は4/4を出している。アタックすれば相手はブロックし、こちらの生物は死ぬだろう。したがって、アタックしない。
これはどんなプレイヤーでもほとんど頭を使わずに正解を導けるシンプルなシナリオだ。答えは簡単:アタックしない。
オーケー、変数を追加しよう。
Ghor-Clan Rampager / ゴーア族の暴行者 (2)(R)(G)
クリーチャー - ビースト(Beast)
トランプル
湧血 ― (R)(G),ゴーア族の暴行者を捨てる:攻撃クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+4/+4の修整を受けるとともにトランプルを得る。
4/4
今こちらの手札にはGhor-Clan Rampagerが1枚ある。
アタックする?するのはなぜ?あるいはしないのはなぜ?
これもかなり単純だ。ここではこちらにコンバットトリックがある。3/3で相手の4/4に対してアタックしてブロックされた場合、Ghor-Clan RampagerでFlinthoof Boarを守り、相手のLoxodon Smiterを倒し、トランプルダメージを3点与えることができる。ブロックされなかった場合?すばらしい、簡単なアタックだ。
Boros Reckoner / ボロスの反攻者 (R/W)(R/W)(R/W)
クリーチャー - ミノタウルス(Minotaur) ウィザード(Wizard)
ボロスの反攻者にダメージが与えられるたび、クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。ボロスの反攻者はそれに、その点数に等しい点数のダメージを与える。
(R/W):ボロスの反攻者はターン終了時まで先制攻撃を得る。
3/3
Mogg Flunkies / モグの下働き (1)(R)
クリーチャー - ゴブリン(Goblin)
モグの下働きは、単独では攻撃したりブロックしたりできない。
3/3
さらに変数を追加しよう。今、こちらの手札にはGhor-Clan Rampagerに加えて、Boros Reckoner、Mogg Flunkies、山がある。
アタックする?するのはなぜ?あるいはしないのはなぜ?
これは少し注意が必要だ。多くのプレイヤーはここで熟考はしないだろう。こちらにはアタッカーとコンバットトリックがあり、相手のブロッカーを乗り越えることができる。したがって、アタックすべきだ。だけど、それはなぜ?今ここで何を目指すべきだろう?もしアタックすれば彼はブロックし、こちらがパンプして彼のLoxodon Smiterが死に、トランプルダメージが入る。
しかし、ゲームに勝つまでの全体プランに照らしてこの状況を見てほしい。こちらは完全にマナカーブから外れることになってしまう。このターンは他のプレイができず、4ターン目に3マナ生物をプレイする羽目になり、Mogg Flunkiesは5ターン目まで出ないことになる。今はアタックすべきタイミングなんだろうか?このターンはBoros Reckonerをキャストするだけにした場合、4ターン目にGhor-Clan Rampagerを使いMogg Flunkiesをキャストして、全てのマナを効果的に使うことができる。
自分の全体プランにとって何がより重要なのか、なぜ自分はこうするのか?と自問する必要がある。
経験豊富なプレイヤーにはこのシナリオでもシンプルすぎたかもしれないね。もちろん、こういった判断の多くで意思決定のツリーはとても複雑になり、続く数ターン先までプランを立てることが必要になる。
プランニングがこの考えの基礎ではあるけれど、「なぜ?」と問うことの本当の力は相手に目を向けたときに発揮される。
推論:なぜ対戦相手はそうしたのか?
このゲームの真の素晴らしさはここにある。
去年あたりにスタンダードをプレイしていた人にとってはシンプルなシナリオだ:
あなたはダイスロールに負け、相手は2ライフを払ってHallowed Fountainをアンタップイン、そしてエンドした。
なぜ相手はそうしたんだろう?
これを読んでいるみんなは即答するんじゃないかな:彼はこちらのエンドに撃つThought Scourを持っている。
わお、君はエスパーかい?彼が何のカードを持っているか、プレイされる前にどうやって正確に知ることができたんだろう?
これは実際とても単純だ――あなたは対戦相手が何をしたか観察し、なぜ彼はそうしたのかと問い、推論を行ってとてもロジカルで合理的な答えにたどり着いた。
今のは合理的な答えがただ一つしかない単純すぎる例だったね。スタンダードでは白か青1マナでプレイに値するインスタントは本当にたった1枚しかない。
もしこれがキューブドラフトの場合、相手が何か持っていることは想像できるけど、それはForce Spikeやらソープロやらミスチューやらのうちのどれかとしか言えない。情報は十分じゃない。
しかし、情報はマジックのゲーム中に常に垂れ流され続けているものの一つだ。情報はいたるところに存在し、あなたに拾い上げられて優位を築くために使われることをただ待っている。
情報を見つける鍵は、「なぜ?」と問うことだ。
一見単純に見えるもう一つのシナリオを取り上げよう:
ここはモダンPTQのラウンド4、あなたがどのデッキを使っていて何をしているかは関係ない。対戦相手はダイスロールに勝ち、先攻を選んだ。彼は1ターン目にScalding Tarnを出し、サクった上で2ライフを払いSteam Ventsをアンタップイン、Serum Visionsをキャストした。1枚引いて占術で2枚をボトムに送り、エンド。彼は2ターン目にはDesolate Lighthouseを出してエンドした。
オーケー、さあどうする?彼はおそらく双子を使っていて、今のようなプレイをしてきた。こちらのターンに何を引くか見てみようじゃないか!
いやいやちょっと待ってくれ。ここまで僕がさんざん言ってきたことは何だっけ?
「なぜ?」と問うんだ。なぜ彼はSerum Visionsの占術で2枚ともボトムに送った?なぜ彼は2ターン目に2枚目の土地としてDesolate Lighthouseを出した?色マナを先に出し、Lighthouseを隠し持っておくべきじゃないのか?
彼は2枚の土地とSerum Visionsのある手札をキープし、占術で見たトップ2枚に土地がなかったため両方ともボトムに送ったと考えるのが合理的だろう。
いいね。彼は土地2枚でキープし、Serum Visionsを空振った――素晴らしい。さあこちらのターンだ、何を引くか見て・・・。
落ち着くんだ――まだ終わりじゃない。そう、もう一度言おう:「なぜ?」
相手が土地2枚とキャントリップでキープしたことは読めた――でも、なぜ彼はそんなリスキーなハンドをキープしたんだろう?そして、なぜ彼は2ターン目に何もしなかったのだろう?相手は6枚のカードを持っており、スペルを一つプレイしている。この6枚のカードが何なのか、今の時点でかなりのことが読み取れる。
6枚はかなりの確率で土地ではない。もし土地ならDesolate Lighthouseの代わりに出してきただろうからだ。
6枚はかなりの確率で追加のキャントリップ(Serum VisionsやSleight of HandやGitaxian Probe)ではない。もしそうならLighthouseを出す前に土地を探すために撃っていただろうからだ。
彼はFlame SlashやIzzet Charmのような受動的なカードを何枚か持っているかもしれない。これは断言するにはまだ情報が足りない。
さあもう一度、なぜ彼はこのハンドをキープした?
僕から見てかなり明確だと思えるのは、彼はおそらく既にコンボ(Deceiver ExarchとSplinter Twin)を手札に持っている、ということだ。これは非常にうなずける――彼は土地でもキャントリップでもない6枚のカードを手札に持っており、それらのためにリスキーな土地2枚キープを選んだ。
ここまでの議論をいくらか揺るがし得る唯一のカードがRemandだ。Steam Ventsを持ってはいたが、アンタップインのダメージを受けずにRemandをキャストするために2ターン目にDesolate Lighthouseをプレイした可能性は捨てきれない。Remandをキャストするためにキャントリップのプレイを控えた可能性もある。最近の双子にRemandが入っていることは少ないが、想定しておくことは理に適っている。
次のように結論づけられる:相手はコンボパーツが揃っていて土地のない手札を持っている可能性が高く、あるいはRemandを持っているかもしれない。
相手がこちらの2ターン目のスペルをRemandしなかった場合、彼の手札はテーブルに表向きで置かれているも同然だ。Remandしてきた場合は相手の次のターンの土地と行動からもう少し考えなおす必要があるが、そんなに難しくはないだろう。
驚くべき点は、僕らは土地2枚とキャントリップ1枚のプレイから以上の推論をしたということだ。
あなたは自分のゲームを十分にじっくりとプレイできているだろうか?目の前にある情報を全て拾い上げているだろうか?十分に「なぜ?」と問うことができているだろうか?
情報はある――それを拾い上げて優位を築くために利用できているだろうか?
まとめ
このウサギの穴はものすごく深く、僕はいずれこの記事の続きを書いて今回取り上げた二つのコンセプトを更に掘り下げるつもりだ。
今後の記事で取り上げようと思っているもう一つの重要な考え方があって、それは「自動操縦」というものだ。今回見たような「なぜ?」の多くは、既に経験していることなので深く考えることなく直感的に答えることができる。これが練習とテストプレイが重要な理由だ――他愛もない「なぜ?」にさっさと答え、本当に難しい選択に集中できるようになるんだ。例えば、コンボデッキで1ターン目にPonderやPreordainをキャストすべきかどうかを知らない状態、あるいはZooでWild NacatlやKird Apeを出していくべきかどうかを知らない状態でトーナメントに臨むべきじゃない。一方、自動操縦には危険とデメリットもある。
読んでくれたみんなに感謝。次回、『自前のデッキなんて作れると思ってるの?』第一話、featuring Yogi Brown and Gary Fingersをお楽しみに!
- Jim Davis
コメント
リンクさせていただきました。
他の記事も含め、素晴らしい文章を日本語で読めることにただ感謝するばかり。
リンクさせていただきました。
今後、プレイに悩む度に読み直しさせていただきたいと思い、リンクさせて頂きます。
参考になったようで、良かったです。
こちらからもリンクさせていただきますね。
> 上級スリヴァーさん
プレイングの記事が好きで、そう言っていただけると励みになります。
こちらからもリンクさせていただきました。
> ゆずこまちさん
コメントありがとうございます。
ぜひ、何度も読んでいただけると嬉しいです。
リンクさせていただきました。
勝手ながらリンクさせて頂きました。
非常に面白い記事で思わずリンクさせていただきました。
プレイングについてここまで深く考えているとは勉強になります。
コメントありがとうございます。
リンクさせていただきました。よろしくお願いします。
> K.Yさん
はじめまして。リンクありがとうございます。
他にもいくつかプレイングの記事を訳していますので、よろしければ見ていってください。
リンクさせて頂きました。
お返事遅くなりました。
コメント&リンクありがとうございました。
こちらからもリンクさせていただきますね。
プレイング論は難しい所ですが、これだけ読みやすい文で翻訳されていて驚きました。
是非読み返したいと思い、リンクさせて頂きました。
元気の出るコメントをありがとうございます。
マイペースに続けていこうと思いますのでよろしくお願いします。
こちらからもリンクさせていただきました。