中野龍三
2016年1月12日09時49分
愛知県一宮市にはヒーローがいる。うそじゃないよ。虐待やいじめ、悩んでいるなら、手紙に書いて専用のポストに入れてごらん。必ず返事がくるから。
一宮や春日井、瀬戸市のスーパーなどの片隅に、20センチほどの小さな赤い箱が置かれている。「君はひとりじゃない!」。その下のポスターで、仮面ライダーに似たヒーローがポーズを決めながら呼びかける。
子どもたちが「ヒーローポスト」に悩みを書いた手紙を入れると、店の人たちが周囲に気づかれないように、ヒーローに届けてくれる。
返事を書くのは、児童虐待防止に取り組むNPO法人「こどもハートクラブ」(一宮市)だ。
「お母さんにたたかれてるの」
「どんなテレビが好きなの?」「また今度教えてね」
子どもの心を解きほぐしながら文通を続ける。「次につながる返事を書くよう心がけています」。代表理事の小林恵明(けいめい、43歳)は言う。投函(とうかん)される手紙は月に計10通以上。多い時は3、4回やりとりし、虐待の兆候をつかむ。
深刻なケースは、児童相談所に通報する。だが、保護された子がその後どうなったか、知らされることはない。
◇
虐待を受けている子どもは「SOS」の声を上げづらい。小林自身がそれをいちばん知っている。
残り:958文字/全文:1496文字
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