5期目終了〜受託と自社サービスの両立がある程度形になった1年
少し前になりますが、11月で無事に5期目が終わりました。
起業してもう5年も経つんですね。あっという間でした。 そして、今まで在籍した会社の中で、ヴェルクが一番長くなりました。
5期は、個人的にも、おそらく対外的にも、この1年はboardのイメージが強い1年でしたが、実はもう1つ、自分が新規の受託案件の”開発"から抜けるという取り組みをしていました。
この1年間やってきたことを振り返ってみたいと思います。
board
2014年8月に正式リリースして1年ちょっと経ってところなので、最近はだいぶ運用も慣れてきましたが、この1年は、うちなりの自社サービスの開発・運営の仕方を模索した1年だったように思います。
1年ちょっと前に書いたブログが「受託開発の会社が本格的にWebサービスを開発・運用してみてぶつかった課題(只今5ヶ月目)」です。
基本的にずっと受託をやってきたので、ユーザサポート・プロモーション・開発の進め方・受託とのバランスなど、色々と課題がある時期でした。
自分の中で、受託をやめてサービスに集中する選択肢はなかったので、この1年、これらの課題に取り組んできたという感じです。
現在どうなのかというと、ユーザサポートは、ある程度自信を持って、自分たちのやり方を見つけたように思います。
この1年間、開発ロードマップを公開するという取り組みを続けてきたり、昨年の3月から、問い合わせの初回回答時間の中央値(12月は6分!)を公開したりと、かなりオープンなスタンスでやっています。
また、問い合わせは基本的にすべて企画・開発を担当している自分が回答しています。
いわゆる絵に書いたようなユーザサポートではないですが、業務システムをずっとやってきた身としては、業務効率化は、単純に頭で考えたり、ユーザの行動を分析したりするだけではわからない部分があると思っていて、そういうものをより肌で感じるため、距離感の近い開発・運営をしていくためにこのようなスタンスで取り組んでいます。
プロモーションは相変わらず難しいですね。
うちのように小さな無名な会社の場合、メディアに取り上げられることもなく、口コミと検索からの流入が基本です。
それでも1年間を通して、安定して新規獲得ができているので、まずは土台としては出来上がった形だと思いますが、これを伸ばすための次の手が必要だなと思っています。
受託とのバランスも相変わらず難しいですが、先にboardの開発・サポートの時間を確保して、それ以外で受託を回すようにしているので、「受託が忙しくなると自社サービスが止まる」ということはなくなりました。
これらについては「受託開発の会社が自社サービスを1年運用してきた内容・結果と今後の課題」に詳しく書いているので、興味がある方は、こちらも合わせてどうぞ。
ひとまず正式リリースから1年経って、年間を通じて、サポートや継続開発をして、事業としては離陸できたかなと思っています。また、自社サービスの開発・運営にも慣れてきて、ある程度、自信がついたのも良かったと思っています。
正直なところ、リリースした時は、ここまで使えってもらえるとは思っていなかったし、そもそもそこに持っていけるイメージもありませんでした。
ちなみに、来月にはboard事業として内部原価も含め単月黒字化ラインまで行きそうな感じです。もっとも、board関連で採用して内部原価が上がる予定なので、つかの間の単月黒字化ですが。
「受託と自社サービスの両立」をずっと言ってきて、自分の中で、自社サービスが収益的にお荷物になっていては意味がないと思っていたので、ひとまずここまで来られたのは良かったなと思います。
自分が新規受託案件の"開発"から抜ける
実は5期の一番のテーマはこれでした。
コードを書くことも好きだし、受託も好きなので、個人的にはあまり受託の開発から抜ける理由はないのですが、一応社長なので、もう少し中期的な取り組みに時間を割くべきかなと思っていました。
元々、創業社長がエンジニアの会社にありがちな、自身ががっつり受託案件の開発に入っていて、かつ、売上の占める割合も非常に高いという状況でした。
ただ、いつまでもこの状態を続けておくのは良くないと常々思っており、また、もう少しboardに時間を割きたいということもあり、この1年は開発に入らないようにしました。
ちなみに、完全に受託から抜けたわけではなく、営業やプロマネとしては引き続き残っていますし、過去に自分が開発した既存案件の追加開発は引き続きやっています。
「社長がいつまでも受託やってたらダメだよ」なんてよく言われたりしますが、抜けることによって現場が大変になったり、クオリティが下がってしまっては本末転倒なので、4年目まではその準備をしてきたという感じで、ある程度土台が整ったので、5期目で受託の開発から抜けるという取り組みをしてみました。
結果としては、まずまずうまくいったかなと思っています。会社全体の売上としても必要なラインは上げられたし、自分の売上も4期目と比べて半分以下になりました。
ちなみに、受託の開発から抜けるにあたって、判断基準は以下の点でした。
<他のメンバーとのリスク感覚の一致>
「リスク感覚の一致」はこのブログでも度々書いていますが、これがある程度合っていると、こちらが危ないなと思うタイミングで報告・相談してくれるようになるので、そこまでは任せておきつつ、リスクが出てくれば、遅れることなく対応できるようになります。
この感覚がある程度一致してきたという感触があったので、「他のメンバーに丸投げ」ではなく「うまくリスクヘッジしつつ任せられる」という手応えを感じていました。
<ストック型売上の増加>
自分が開発から抜けて、そのまま間接コストになってしまうと、自分の分のコストをみんなが負う形になります。
もっと人数が多ければ一人あたりの負担は小さいですが、うちの人数(自分を入れて6人)だと、一人あたりの負担が大きくなってしまいます。
そのため、自分を間接コストにしないため、自分が持っている受託案件の保守や、自社サービスのPatto・boardといった月額で入ってくるストック型の売上で、ある程度自分のコストはカバーできる状態にしようと考えていまいた。
5期目の初めの段階ではまだまだでしたが、ある程度boardの売上を伸ばせる想定で、他のメンバーの負担が大きくならない見込みだったので、チャレンジしてみることにしました。
レベニューシェア
実はboardと平行してもう1つサービスの開発をしていました。うち名義ではないので名前は伏せますが。
個人的にはあまりレベニューシェアは好きではなく、うまく行ったケースをあまり聞かないのですが、「人の信用」もあって取り組んでいます。
こちらもひとまずスタートできて、少しずつ売上があがるようになってきています。
なるべく早く、Patto・board・レベニューシェアで、売上の5割まで持って行きたいなと。そうすると、また色々と新しい取り組みができる気がしています。
課題とそれに対する取り組み
<boardの開発>
boardの開発は、これまでほぼ自分一人でやってきた状態だったので、まずはここをどうにかしないといけないと思っています。
ただ、boardの強みや評価頂いていることが、「経営者が開発していること」に起因するものが結構多いので、まずはコアな機能ではなく、既存機能の改善や使い勝手の向上から他のメンバーが入っていく予定です。
他のメンバーは全員受託案件を持っているので、数時間〜数日程度でできる小さな改善をプールしておき、合間ができたらそれを自由にピックアップして、プルリクエストしてもらう運用を試してみています。
「受託の手が空いたら」という、受託との両立で一番ダメなパターンだったりしますが、まずは小さいところからスタートしてみようと思っています。
< boardのサポート>
ユーザサポートも同様ですね。今のところ全て自分で回答していて、それはそれでかなりメリットがあります。
実際のユーザの声や変化が肌感じられますし、使いにくい機能をリリースしてしまったら問い合わせが増えて開発時間が減るので必死です。また、要望に対しては、開発計画・構想を踏まえて回答できるので、おそらく回答のクオリティも高いんじゃないかと思っています。
ただ、導入社数の増加とともに問い合わせは増えるので、まずは、単純な使い方の問い合わせから他のメンバーで対する体制にしていこうと思っています。(4月からサポートスタッフが入る予定)
<エンジニアの採用>
残念ながら、できませんでした。
ちなみに、現在、技術面で自分の代わりになるエンジニアを募集中なので、こんな会社に興味がある人がいたらぜひご連絡ください!
まとめ
5期は、自分が新規受託案件の開発から抜けるという、うちの会社としては大きなチャレンジをして、自分としては、それでできた時間で、中期的な売上を上げるための仕組みを作る取り組みをしていました。
両手を上げて「大成功」とまではいきませんが、きちんと土台はできた気がするので、あとはどれだけ伸ばせるかだと思っています。
そのためには、やはりマーケティング・PRが一番の課題です。無名のベンチャーにとって、これは本当に難しいです。
現時点でも、基本的にインバウンドのみで新規獲得しているので、全くできていないわけではないですが、予算がない・知名度がない中で、今以上に成長率を上げるためには、もう一工夫、何か必要なんだろうなと思っているので、この1年間、それに取り組みたいと思います。
おまけ
5期の社員旅行は香川でうどん食べ歩きでしたが、一人が財布を忘れ、一人が飛行機に間に合わなかったのがハイライトですw