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トンデモ人事部が会社を壊す

残業常習者が会社を壊す

山口 博
【第36回】 2016年1月12日
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管理不在の行き過ぎが残業を放任
裁量をはき違えるな

 ある程度の裁量を与えて、のびのびと仕事をさせることは、もちろん大事なことだ。ただし、残業を自由にさせて、出社時間と退社時間にまで裁量を与えることは、基本的には賛成しかねる。社内外のクライアントが業務をし始める時間に業務を開始し、基本的に定時で業務終了する。残業する場合は、指示があって行う。この当たり前のプリンシパルが、「社員に裁量を与える」という名の下に崩壊しているといわざるを得ない。

 もちろん、裁量労働の対象となった社員は、出社時間と退社時間の裁量を与えられる。しかし、裁量労働対象者となったとたんに、何が変わったかといえば、出社時間が遅くなったこと、それについて何も言われなくなったこと、相変わらず同程度の残業をしていること、残業代が払われなくなったことだけである――というような状況がいかに多いことか。この状況は、裁量労働の下、自己管理している状況とはほど遠く、「単に自身に都合の良いように勝手をさせています」という放任状態としか思えない。

 このように、残業常習者がはびこってしまう状況は、彼らのマインドの問題である。そして、つきつめれば、このようなマインドを放置し、社員に勝手をさせてしまったマネジメントの問題である。裁量を与えることを、社員に勝手をさせることだとはき違えた、マネジメント不在の問題と言えよう。

 従って、マネジメントなきマネジメントを変えなければ、残業常習者のマインドは変わらない。残業常習者のマインド変わらなければ、いくら残業時間の管理と健康管理義務のガイドラインを遵守しようとしても、形ばかりのものに留まってしまうのだ。

※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。
 

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山口 博

やまぐち・ひろし/慶應義塾大学法学部政治学科卒(サンパウロ大学法学部留学)、長野県上田市出身。国内大手保険会社課長、外資系金融保険会社トレーニング・シニア・マネジャー、外資系IT人材開発部長、外資系企業数社の人事部長、人事本部長歴任後、現在、M&Aコンサルティング会社のディレクター。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)。明治大学ビジネススクール招聘講師。日本ナレッジ・マネジメント学会会員。


トンデモ人事部が会社を壊す

サラリーマンの会社人生のカギを握る人事部。しかし近年、人事部軽視の風潮が広まった結果、トンデモ人事部が続々と誕生している。あっと驚く事例をひもときながら、トンデモ人事部の特徴や、経営陣がすべき対処法などを探っていく。

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