【フランクフルト=加藤貴行】アイルランド製薬大手のシャイアーは11日、米バイオ医薬品大手のバクスアルタを約320億ドル(約3兆7800億円)で買収することで合意したと発表した。買収で患者数の少ない希少疾患の治療薬で世界首位の座を固める。規模拡大と法人税率の低いアイルランドに機能を集める効果で、年5億ドル以上のコスト削減を見込む。アイルランドを巡る製薬の巨額買収が今年も続きそうだ。
シャイアーはバクスアルタ1株に対し、現金18ドルと自社の米預託証券(ADR)0.1482を割り当てる。今年半ばに買収を完了し、バクスアルタの現在の株主がシャイアー株の34%を保有する見通し。
両社の2015年の売上高の単純合算は約120億ドルの見込みで、売上高の65%を希少疾患分野が占める。シャイアーは毎年1割強の増収を続け、2020年までに売上高200億ドル超えをめざす。買収でバクスアルタが支払う法人税率は現状の約23%から16~17%に軽減できる見込みだ。
製薬業界では昨年11月、米最大手のファイザーがアイルランドに本社を置くアラガンの買収で合意した。シャイアーも近年、法人税率の低さを生かし同業の買収を繰り返している。
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