【ソウル=加藤宏一】4回目の核実験に続く北朝鮮の追加的な軍事挑発の可能性を巡り、米韓が緊密な連携を前面に打ち出してきた。韓国国防省は11日、新たな戦略兵器の展開を米国と協議していると明らかにし、韓国では原子力空母を派遣するとの見方が浮上している。在韓米軍司令官は同日、追加挑発に備えて最高水準の警戒態勢を維持するよう指示した。
韓国国防省の報道官は11日の記者会見で、米軍が前日に戦略爆撃機B52を韓国に飛行させたことに関連して「米国の戦略兵器を朝鮮半島に追加で展開することを韓米が緊密に継続して協議している」と明らかにした。
具体的な兵器の内容を明らかにしていないが、聯合ニュースは2月にも横須賀を母港とする原子力空母「ロナルド・レーガン」の派遣が検討されていると報じた。米韓合同軍事演習「フォール・イーグル」の一環として例年3月に実施される海上訓練を前倒しして、同空母を朝鮮半島に展開するという。北朝鮮の追加挑発をけん制する狙いがあるとみられる。
報道官は差し迫った動きはないとしたが、「前線の一部で(北朝鮮の)兵力が一部増えている」と述べた。韓国軍は南北軍事境界線付近で拡声器を使った宣伝放送を続けているが、「北朝鮮は様々な場所で(放送を聞こえにくくする妨害)放送をしている」と述べた。
韓国軍合同参謀本部の李淳鎮(イ・スンジン)議長は同日、韓国空軍の司令部や米空軍がある京畿道の烏山(オサン)空軍基地を訪れ、「北朝鮮が追加の挑発に乗り出す可能性が高い」と指摘した。同行した在韓米軍のスカパロッティ司令官は最高レベルの警戒態勢を維持するよう指示した。
北朝鮮の朝鮮中央テレビは8日、飛距離が伸びたとみられる潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の新たな発射試験の映像を公開。核実験に続いて軍事力を誇示する狙いがありそうだが、韓国軍の関係者はSLBMの実戦配備には時間がかかるとしながらも「2015年5月の発射試験から技術水準が向上したとみられ、配備を予想より1年早く3~4年以内に実現する可能性は排除できない」と警戒している。
韓国統一省の報道官は11日の記者会見で、安全を考慮して、北朝鮮南部にある南北協力事業の開城工業団地について、12日から生産活動に携わる必要最小限の人員のみに入境を許可する方針を打ち出した。朴槿恵(パク・クネ)大統領は13日に新年記者会見を開く予定だが、北朝鮮に厳しい姿勢を示すとみられる。
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