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プロフィール
渡辺学
1986年入社。ゴルフ担当を経て89年からテニス、ラグビー、アメリカンフットボール、アマチュアレスリング、陸上、水泳、サッカーなどの取材に携わった。五輪は夏季2回、冬季3回を現地取材。2001年に運動部デスク、06年から文化部で社会面デスクを担当後、08年から両部の専門委員。早大卒。
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新国立がかわいく見えるザハ・ハディド展
2014年10月27日

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  流線型というと「スーパージェッター」を連想する世代にとって、曲線と鋭角を融合させたあの乗り物のデザインは、ザハ・ハディド氏の案が採用された東京・新国立競技場に通じるものを感じさせる(新国立は小倉競輪が開催される北九州メディアドームにそっくりとの指摘も)。

 

  ということで新宿の東京オペラシティで開催中の「ザハ・ハディド展」をのぞいてみると、ブッ飛んでいた。“建築界のピカソ”と言ったら大げさだが、抽象画のようなイメージ図のごときものがあれば、北京のピル「望京SOHO」の俯瞰図は渦巻状をなし、目がクラクラしてくる。イラク出身で英国に拠点を置く世界的女性アーキテクトで、建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞にも輝いているザハ氏。オペラシティにはデッサンめいた線描図から水彩画チックな都市イメージ図、模型やバナナ型のソファといった家具、食器、装飾品の実物、作品紹介の映像などが展示され、その才気の「逸脱」と「奔放」はあふれるばかりで、新国立競技場などはかわいく見えてくる。

 

  議論を呼ぶ新国立は自転車ヘルメットを思わせる流線型が特徴的だが、展示を見るとザハ氏の「流れる」スタイルでは鋭角デザインが多用されていることも目につく。先端のとがった三角形や結晶の断片にも見える角型を張り合わせた形状の構造物。資料によると、1980年に自身の事務所を設立し、国際コンペティションの勝利などで知名度は高まる一方、「ザハの設計は当時の施工技術や建築思考に収まらない前衛的な内容だったため、長らく『アンビルトの女王』(アンビルト=建設されない)の異名を与えられていました」というのも、よく分かろうという展示内容だ。

 

 1フロアのみ、1時間あればだいたい見て回れるザハ展のもう1つの注目は新国立競技場コーナー。これまで、競技場を管理運営する日本スポーツ振興センター(JSC)からイメージ画像や基本設計図などが公表されてきたが、スケールも細かさも違う。圧巻はおおよそ横10メートル、縦2メートルの場内画。観客一人ひとりがきちんと描かれている上、客席の外に設けられる数々の付帯施設も簡単に示されている。周辺一帯も含めた都市模型もある。これを見ると、どのような新競技場ができるのか、今まで以上に実感をもってイメージできる。

 

 その結果、感じられるのは神宮の森に突如として現れた支配者のごとき圧倒的な存在感。荘厳なムードをたたえる神宮球場など、かすんでしまう。巨大なカブト虫がにらみをきかせるような構図は、根強い批判もあるように周囲との調和を欠く。

 

 ザハ展は、彼女が「全体像」を持っていることもうかがわせる。建物の単品というよりも、複数の施設を総合した「コンプレックス」のような一体感のあるエリアも構想しており、それが実現すると奇抜な建築物も違和感が減る。

 

 ということで、あの巨大かつ斬新すぎる新スタジアムを東京の象徴にするなら、それこそ明治天皇にちなんだ神宮の森を大改造し“ザハ特区”とするぐらいの覚悟がなければ、採用すべきではなかったのではないか?



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