物理的なモノは今でも圧倒的に船で移動させられており、海洋
貿易はその重量と数量で、世界貿易の90%を占めているのだ。
2016年1月11日 月曜日
◆シーパワー論のまとめ:前半 1月8日 地政学を英国で学んだ
シーパワー:海を支配するのは誰か?
15-10/17 The Economist
●アメリカは次の数日間に、世界のほとんどが注目しないところで、台頭しつつある中国海軍の力に挑戦することになる。その挑戦とは、中国が領有権が争われているスプラトリー(南沙)諸島で建設している人工島の、周囲12カイリと推定される領海内でパトロールを実施する形で実行されるのだ。
●米海軍は2012年以降、中国が領有権を主張する構造物のすぐ近くを自由に航行するという、国際法における権利を行使してこなかった。
●この「航行の自由作戦」は、中国の習近平国家主席がワシントンを訪問して、南シナ海での挑戦的な人工島建設に関するアメリカ側の懸念を払拭するのに失敗したために再開されたものだ。もちろん中国側は抗議するだろうが、現状として彼らができるのはそれくらいであろう。
●この米海軍の動きは、現在でも圧倒的な(ただし挑戦される可能性が出てきた)アメリカのシーパワーの行使である。
●「シーパワー」という概念そのものにはきわめて「19世紀」的な響きがあり、ネルソン提督や帝国の野望、そして砲艦外交を彷彿とさせるものだ。ところがシーパワーの偉大な提唱者で、1914年に死去した海軍戦略家のアルフレッド・セイヤー・マハンの著書は、今でも政治指導者や軍事アドバイザーたちに注目されて読まれている。
●マハンは1890年に、「海上貿易と制海権による海の支配は、世界での支配的な影響力を意味する。なぜなら、陸地の富の産物がいかに大きくとも、海ほど必要な交換を容易にするものはないからだ」と書いている。
●シーパワーは、海軍のような「ハード」なものと、貿易や海洋資源の開発を含む「ソフト」なものの両方から成り立っているのだが、この重要性は今後も高まるばかりだ。
●たしかに情報はデジタルの状態で移動するが、人々はいまだに飛行機で移動している。物理的なモノは今でも圧倒的に船で移動させられており、海洋貿易はその重量と数量で、世界貿易の90%を占めているのだ。
●ところが海の航行の自由や、互いが行き来できるような状態というのは、自然に放っておいて実現するものではない。それらはほぼすべての国が自国の利益のためになると考えて同意するような「法の支配」に基づく国際政治体制によって成り立つものだからだ。
●そしてここ数十年間は、その体制を警備するための手段とその意志を持っていたのは、同盟国たちとの緊密なパートナーシップをもっていたアメリカだけだったのだ。
●世界の海洋公共財へのアクセスを維持する米国の覇権的な力が挑戦を受けたのは、第2次世界大戦以降ではたった1度だけであり、しかもそれはソ連によるほんの短期間のものであった。
●ソ連は1970年代に壮大な外洋海軍を築き上げたのだが、そのための建造コストがあまりにもかかってしまい、一部の歴史家たちは、その後20年も経たないうちにソ連の体制を崩壊させた要因の1つがこの建造コストだと分析しているほどだ。
●冷戦が終結した時、高い資金を投入して調達した艦船のほとんどは、さびついたまま北極海の軍港に放置されることになった。
●ところがそのような状態は変化しつつある。10月7日にロシアはカスピ海からシリアのターゲットに向かって、大々的に巡航ミサイルを発射している(何発かはイランに落ちたとするアメリカ側の発表は否定している)。
●プーチン大統領はこのミサイル発射のプロパガンダ的な意味をそれほど強調しておらず、「これで専門家たちはわかっただろうが、ロシアがこれらの兵器を所持しており、しかもそれが本当に存在することを初めて目の当たりにしたのだ」と述べている。
●西側の軍部の企画担当者たちはこれを受けて、「ロシアが自国の領海から低空飛行する巡航ミサイルでヨーロッパのほぼ全域を狙えることを実証した」という事実に対処しなければならなくなったのである。
●しかしそれよりもはるかに深刻な挑戦が中国から突きつけられている。創設当初はかなり質素だった中国海軍は、まずは純粋に沿岸防衛を狙っていたが、そこから「近海」において強力な艦隊へと発展してきている。ちなみにその「近海」とは、日本からフィリピンへと連なる第一列島線のことだ。
●現在もその発展は続いており、しかもそれはかなり野心的なものだ。ここ10年間における中国人民解放軍海軍(PLAN)の遠洋作戦は、その頻度が増しただけでなく、技術的にも高度なものになってきている。
●また、インド洋における海賊対処作戦を永続的に維持しつつ、中国は西太平洋のはるか沖合で海上演習を行っている。最近では中国海軍の5隻の艦船が、ロシアと中国の合同演習の後にアリューシャン列島付近を航行した。(後略)
(私のコメント)
海軍力を持つには多大な費用がかかるのであり、海洋国家でも満足な海軍を持つ国は少ない。それは海洋国家であると同時に経済大国でなければ無理だからだ。その条件を満たす国は僅かであり、アメリカ、日本、中国やEUの数か国だ。
アメリカと日本はかつて海洋の覇権をめぐって大戦がありましたが、ソ連も一時アメリカの海洋覇権を脅かした。今はアメリカ海軍の一強であり、原子力空母機動艦隊を持っているのはアメリカだけだ。原子力空母一隻を運用するには年に数千億円の費用がかかる。
なぜそれほど海軍力を持つと費用がかかるのかと言えば、燃料代や船の整備費や高度な技術を持った海軍軍人の人件費がかかるからだ。陸軍にしても小銃を持たせるだけの兵士は過去のものであり、最新兵器を扱うには10年もの訓練を要する。
最近では軍隊の無人兵器の開発が進んできて軍人の数をそろえるよりも開発費に費用と時間がかかるようになって来ている。ロシアにしてもカスピ海型シリアに巡航ミサイルを打ちこみましたが、無人の爆撃機のようなものであり自在に飛んで目標を爆撃する。
海軍の主な役割は、戦時よりも平時における海賊退治であり、ソマリア沖にも海上自衛隊が護衛艦やP3Cを派遣している。海上保安庁も派遣が検討されたが補給などを考えれば海上自衛隊しか対応が出来ない。本格的な戦争ともなれば陸も空も海も無くなりミサイルしか役に立たない。
大東亜戦争でも対艦巨砲の決戦主義から、商船護衛の総力戦に変わっていたのですが、日本海軍は通商破壊作戦を理解していなかったのが敗戦の原因だ。アメリカ海軍はフルスピードで潜水艦を建造して通商破壊作戦を仕掛けて来た。それに対して戦艦大和では燃料バカ食いで何の役にも立っていない。
このように戦略が間違っていれば、国力を総動員しても何の意味も無いのであり、緊張が高まって来た時の海上交通をどのように維持するかが戦略の主目的になる。表題にもあるように海洋貿易は90%も占めており、海上交通をどのように維持するかが日本の戦略になる。
しかし日本の海上自衛隊は遠洋航海用に作られておらず、長期の作戦に耐えられるようにも作られていない。イギリスはフォークランド紛争では半年も軍艦を張りつかせていたが、日本の軍隊は兵站に弱い。相変わらず近海における艦隊決戦的な発想であり、船団護衛用の空母は無く、あるのは対潜用のヘリ空母だ。
全面戦争用には核ミサイルを装備した原子力潜水艦しか役に立たないのでしょうが、平時には威嚇にしか使えない。おそらく想定できることとしては南シナ海における中国の威嚇であり、建設した洋上基地からの通行する艦船への威嚇であり、アメリカ海軍は南シナ海には1隻の軍艦もいない。
何のために日本はアメリカ海軍に幾つもの海軍基地を提供していますが、南シナ海にアメリカの軍艦が一隻もいないと言うのはどういう訳なのでしょうか。台湾海峡も航行する事も無くなりオバマ大統領のアジアシフトは言葉だけだ。なぜならば中国の中距離弾道対艦ミサイルの射程圏内は危なくて航行が出来ないのだ。
アメリカ海軍は長期間インド洋に空母を2隻以上常駐させてきましたが、ISへの爆撃にしてもやる気が無く効果が上がらなかった。ロシアがクリミア半島を占領してもアメリカ海軍は手も足も出せなかった。要するにアメリカ海軍は張子の虎と化して本来の役割を果たしていない。オバマ大統領がそうさせているのだ。
アメリカ大統領候補のトランプが吠えまくっているのは、それに対する鬱積であり、中国の南シナ海の軍事基地建設にもオバマ大統領は見ているだけだった。例外的にイージス艦のラッセンを航行させましたが、アリバイ作りでありポーズに過ぎない。これでは何のために日本はアメリカ海軍に基地を提供しているのか分からない。
北朝鮮の水爆実験も、日本の憲法改正 → 集団的自衛権の容認もその一環です!
性欲が満たされていない人達には「xvideos.com」が必要…。
> 陸地の富の産物がいかに大きくとも
> 海ほど必要な交換を容易にするものはない
鉄道や道路が整備される前の日本でも、海上交通や川舟による輸送が盛んでしたからねぇ…。動画サイトでアメリカの「BNSF」の映像を見ても、昨今は海上コンテナを二段積みした貨物列車が多いですし…。(←船舶輸送とリンクしている)
> 海洋貿易はその重量と数量で、世界貿易の90%を占めている
軽量で小さな物でも、航空輸送禁止のモノは陸路や航路で輸送されますし…。(←国内も同様)
> アメリカ大統領候補のトランプが吠えまくっている
コシミズブログを見ると、トランプはイスラエルとコネクションがあるという話もあるので、一応念頭に入れておいたほうが良いかも知れませんが…。
> インド洋における海賊対処
大昔の日本でも、「海賊」や「山賊」を生業にする人達が居たそうですからねぇ…。通行船や通行人から金品を徴収したり、強奪する連中…。学校などでカツアゲする生徒がたまに居ますが、ああいう連中の先祖は「海賊」や「山賊」だった可能性もありますよねぇ…。(苦笑)
> 平時における海賊退治
ハイテクが進歩しているワケですから、もっとスマートに対処出来ると思うんですが…。偵察衛星、GPS、無人攻撃機が揃っているワケですし…。効率化してコスパを飛躍的に上昇させないとねぇ…。ま、最も基本的なこととしては、「海賊」や「山賊」にならなくても生活出来るような社会環境整備が重要なワケですが…。「海賊」「山賊」を生み出さないような社会システム作り…。(→社会科学は非常に重要、社会科学を軽視する日本はカス)
> 日本はアメリカ海軍に基地を提供しているのか分からない
ま、アメリカ自体が「海賊」「山賊」であれば救いようが無いワケですが…。(←たかり野郎)
共同訓練を通して運用(戦闘)ノウハウを学べるというのは非常に価値が高いものである。
また、基地で米艦船を修理するのは日本の補給修理技術という重要なものを維持向上できる。
他国から見れば計り知れないメリットと映る。
もちろん、ただではなく、耐火を払える経済力は最低条件ではあるが。
7艦など作戦状況は大統領の意向が大きいだろう。
これは米国が決めることである。
日本は米軍の格段に優れた技術運用などの総合力を
自分のものにし、防衛予算を2倍として、装備品、弾薬補給品などを充実させる機会であろう。
戦闘機などの第1線兵器は開発から退役まで50年以上のスパンもめずらしくない。
この過程で、維持、能力向上、用途転用など各種の
改善がなされる。